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リリームの告白

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「うぅ?」
 ゆっくりと光に包まれていた視界が元に戻っていく。
(あれ? あたし、なにしてたんだっけ?)
 頭の中がボーっとする。
「ほら、これが欲しかったんだろ?」
「ふぎいいいいぃぃぃぃぃ!?」
 痛い痛い!
「あぐっ、い、痛い! ゆ、ゆっくりしてよ!!」
「そうか?」
「そうよ!!」
 忘れていた。お母さんが初めての時は気を付けないとめちゃくちゃ痛いって言ってったっけ。
「あうぅ…………」
 これじゃ、初めて経験なしなのはモロバレ……いや、それはもうバレちゃっているか。
 そうじゃなくて、なんだか失敗しているを見られているのが恥ずかしい。
(恥ずかしい……えっ、なに、この感情)
 前まではなかった感情が芽生えている気がした。どうしてだろう、今ではマコトに抱き着いていること事態恥ずかしいし、服を着ずにマコトの前で何度も誘惑していたことも忘れてしまいたいぐらいだ。
(まさか、さっきの魔法で……!)
 この感情が何なのかわからない。でも、マコトのことが愛おしくなっているのがわかった。
(抱き合っているだけなのに、子宮がきゅんきゅんする)
 胸の奥が暖かくなる
(孕みたい、マコトの子供が欲しい……)
 鼓動が早くなる。
(ずっと、ずっと傍にいて欲しい。返したくない)
 マコトがいないなんて……考えたくない!
「あぅ、ああぁ! あぁ―――!!」
「リリーム、無理に動かなくていいぞ」
 ほんの少し腰を上げただけなのに激痛が走る。甘いSEXなんて幻想でしかない。でも―――。
「い、嫌なのよ!」
 マコトと繋がっていることは、うれしい。抱きしめてくれて、うれしい。
 そうだ。うれしいって感情だ。ずっと忘れていた、この感情を教えてくれた……マコトを気持ちよくしてあげたい!
「あ―――うぅん、ひゃっう―――ーあぁ、うぅ」
 激痛で目がちかちかする。感じて言葉を出すけど艶のある声なんて到底出せそうにない。
(もしかしたら、私はサキュバスの中でも性行為が下手なサキュバスなのかも……)
 不安になってしまう。マコトが目の前にいるにもかかわらず、なんだか遠くに行ってしまいそうな気がした。
 男はSEXがうまく女が好き。お母さんから何度も聞いた。お父さんを射止めたのもそうだって聞いた。
 
(もし、SEXが下手だったら……私はマコトに捨てられるの?)

 やだ、やだやだやだ!!
 そんなのは絶対に嫌だ!!
 それだったら、これぐらいの痛みは我慢して―――。
「リリーム、やめておけ」
「マ、コト?」
 脇から持ち上げられて身動きが取れなくなる。痛みはまだジンジンとするけど、動かなくなったことでマシになった。
「ま、まだ気持ちよくないよね? 安心して、サキュバスの血を引いてるからこういうのは……」
「バカ、そういうのはどうでもいいんだよ。痛いんだろ? 無理をするな」
 暴れるあたしに目を合わせてくれる。
「だ、だって……だって!!」
「俺が好きだってことはよくわかったから、ゆっくりでいい。俺たちのペースでやろう」
 うれしいことを言ってくれる。子宮がキュンとなるのがわかる。
「でも……でもぉ……あたし、マコトに嫌われたくないよぉ」
「どうしてそうなった……」
 あきれ顔で言われた。
「わかった。お前が痛くなくなったら、教えてくれ。それまで俺も踏ん張るから」
「……わかった」
 マコトが優しい。あたしの不安をわかってくれて、抱きしめてくれる。痛いけど、悪くない気分になってくる。
(うん。駄目だ……あたし、マコトのことが大好きだ)
 恥ずかしい、でも、心地いい。胸が暖かくなるし、安心する。
 この温もりを手放すなんて考えたくなかった。誰かに渡したくなんてない。例え、姉妹であっても……マコトはあたしのもんだ。
「マコト? お願いがあるんだけど……聞いてくれる?」
「なんだ?」
 つながり合ったまま、子種を手に入れていないのにあたしは進みを急いだ。
「あたしとね……夫婦になって、魔王国で暮らさない?」
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