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魔王との謁見
しおりを挟む「よくきたのぅ……半年振りか?」
「4年ぶりだ。魔王」
魔王の城の一室、玉座に用意された豪勢な造りの椅子に腰かけているのは魔王だ。歴代最強の魔王と言われ、魔族というその他大勢をまとめ上げ、強さ至上主義の住民を納得させた怪物みたいなお父様だ。
見下ろされながらも目つきを変えずに、あろうことかため口で頭も下げないマコトはにやけながら答える。
「頭もそろそろ老いぼれてきたか?」
「言うのぅ。ワシだってだいぶ歳をとったのじゃ……まぁ、お主の国を滅ぼすくらいはまだ余力を残しておるがのぅ」
「……はは、やれるものならやってみろよ」
ピシリッと空気が衝突するように感じる。お互いに顔は笑っているが、油断はしていない。
挑発し合うのもやめてほしい。側近のメイドスライムたちは逃げ出したし、執事のガイルは剣を抜いている。2人にとってはただの挨拶かもしれないが周りはもう戦々恐々としていることに気付いてほしい。
「は、はは、ははは~」
なお、私はこの場で戦いが始まった瞬間、塵と化すことはわかっていたので愛想笑いだけして固まるしかなかった。それぐらいに実力差がある。
お父様は殺気と緩めると同時に私は深く息を吸い込んだ。
「それにしても単身で来るとはのぅ。先に言っておくがまだゴブス王は探している最中じゃ。進展はないぞ」
「わかっている。それよりも今回は別件でこっちにお邪魔させてもらう」
その言葉にお父様の眉毛が動いた。お父様の癖だ。面白い予感がすると眉毛がピクピクと動き出す。
「ほぉ? ガイルから話は聞いているがそちらの姫の詫びでこっちに来るということは貴様の子種を頂くことになる……覚悟はできているのか?」
「ああ、できている」
「……………………そうか」
「お父様?」
長い沈黙の後、身体を震わせているかと思えば、急に腰を上げ珍しく大声で叫んだ。
「その覚悟、見せてもらおう! リリームをメロメロにして見せろ!!」
「ちょ! お父様!?」
領土全土に響くような声で宣言される。子種が欲しい欲しいと思っているがここまで公開処刑されるのはさすがに恥ずかしい。というか、他のに秘密にしてたことがばれるじゃん!!
私は顔を真っ赤にして、一発、お父様の顔にパンチでも入れてやろうと詰め寄ろうとしたときだった。
「ああ、そのつもりだ。リリームをもらうぜ」
「よい、元気な孫を産むために励んで来い」
「リリーム。覚悟はできているな?」
「は、はい……」
右手を掴まれて、そのまま部屋を連れ出された。有無を言わせない男らしい行動にまたもや、よくわからない感情が芽生える。この感情は一体何なんだろう。
一瞬だけ、玉座を振り返るとハンカチを濡らすガイルとガハハと笑うお父様の顔が目に写った。
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