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2人の実力
しおりを挟む冷や汗が止まらない。
子鹿のように震える足が、すぐにでもここから影移動で逃げ出せと本気で諦めている。
近づいてきた2人にユリスは疑問の声を上げた。
「……えっと、誰かしら? じいやの知り合い?」
僕のことは隠してくれるつもりなのか。とぼけた様子をしながら、左手を隠した。
よくよく観察してみると白の力を使おうとしている。
「ユリス、ダメだ。その2人は……」
「……じいや、何を言っているの? もしかして、ボケた……かしら!!」
完全な不意打ちで、ユリスは白の力を発動させた。
おそらく、ホワイトブレインなのだろう。
本来なら白く輝き、2人を戦闘不能にするのだろうと目の前の惨状を見ながら、いやに冷静な頭で最悪の光景を見る。
「へぇ、あんたも使えるだ」
「千坂ちゃ~ん。反応が遅いよ~。もう少しで私が動くところだったよ?」
「なっ……なっ!」
言葉にならないとはこのことだ。
ユリスの両腕が水球に包まれ、光が閉じ込められた。
ユリス自身は気付いてないみたいだが、その程度で済んでよかった。なぜなら、もう片方の女は……いや、優奈は半歩下がりナイフをこちらからは見えない位置で握っている。
「な、なにものなんだ……お前ら」
「あたしは千坂。こっちは優奈。詳しくはその男に聞きな」
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