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新たな目覚め
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「ねえ、いつまで寝ているのよ」
「……おはよう。ユリス」
「なに? 変な顔して、わたしに忠誠でも誓う気になった?」
おどけた顔をして、顔を接近させてくる。
僕はじいやがいなくなった後、川のほとりでただひたすらにじいやが残していった剣を振り続け、じいやの残していったものを受け取り続けた。
ただ、憑依しているだけでそこまでする理由などは無いけど……ただ、身体をもらった礼だけは必ずしようと思った。
「ねぇ、ユリス。話があるんだけど」
「……ああ、そうね。わたしも聞きたいことがあるわ」
「えっ?」
「じいやは、最後笑ってた?」
心臓が止まるかと思った。
彼女は何もかもを見透かし、それで本当に聞きたいことだけを確認してきた。
「どう、して……」
「あなたの体からじいやの気配がしないの。昨日なら、まだしてたけど……今は全くないわ」
ユリスは本当のことを言っている。
気配というのはよくわからないけど、この身体の持ち主がいなくなったことは事実である。
身体の主導権を手に入れた瞬間に、気づくのはすごいと思う……けど。
「答えてくれる? じいやはどうだった?」
「……笑ってたよ」
「そっか……」
それだけ言って、ユリスは背を向けた。
その際に一瞬だけ、彼女の頬を伝う何かが月明かりが照らすのが見えた。
「……おはよう。ユリス」
「なに? 変な顔して、わたしに忠誠でも誓う気になった?」
おどけた顔をして、顔を接近させてくる。
僕はじいやがいなくなった後、川のほとりでただひたすらにじいやが残していった剣を振り続け、じいやの残していったものを受け取り続けた。
ただ、憑依しているだけでそこまでする理由などは無いけど……ただ、身体をもらった礼だけは必ずしようと思った。
「ねぇ、ユリス。話があるんだけど」
「……ああ、そうね。わたしも聞きたいことがあるわ」
「えっ?」
「じいやは、最後笑ってた?」
心臓が止まるかと思った。
彼女は何もかもを見透かし、それで本当に聞きたいことだけを確認してきた。
「どう、して……」
「あなたの体からじいやの気配がしないの。昨日なら、まだしてたけど……今は全くないわ」
ユリスは本当のことを言っている。
気配というのはよくわからないけど、この身体の持ち主がいなくなったことは事実である。
身体の主導権を手に入れた瞬間に、気づくのはすごいと思う……けど。
「答えてくれる? じいやはどうだった?」
「……笑ってたよ」
「そっか……」
それだけ言って、ユリスは背を向けた。
その際に一瞬だけ、彼女の頬を伝う何かが月明かりが照らすのが見えた。
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