死神の館の主様

ぬいぐるみ、シン 爆誕！

（騙された……）
　そう思っても仕方ないはずだ。
　アリスの言う通りに従ったら、なんと体が動かせないぬいぐるみに憑依してしまった。
　確認をしなかった僕自身も落ち目はあるが、これはひどい。
（千坂、助けて･･････）
　頭の中で念じてみるもどうやら効果はないみたいだ。
「マジ？　そんなことがあるの？」
「あるんだってば、千坂ちゃんは疑りすぎだよ～）
　僕のことを忘れてしまったかのように楽しそうに談笑している。
　それにしても、本当に僕は何もできないのだろうか？
　アリスは体を動かすことができないと言っていた。
　なら、それ以外のことはできるのかもしれない。
　現に僕は今、カバンのストラップの視点からかなり際どい視点で2人の会話を盗み聞きいている。
　それは身体の身体機能が動いている。もしくは魂が何か作用しているという事だ。
（そうなると、僕自身の力を使う事は出来るはずだ）
　黒の力を使うことができるのならば、なんとかなるはず。
　手始めに、一番使いやすい。影操作の力を使ってみよう。
（影操作……発動！）
　頭の中で念じて、自分自身の影を動かす。
　右に左に動かす。
　成功だ。
　ついでに、もう一つ試してみる。
（影移動……発動！）
　発動と共にぬいぐるみの体は闇の中へと包まれた。