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魔物ハンターとサキュバス

音無(おとなし) 汐音(しおね) 身長165cm B98 W60 H87 Dカップ ③

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 時刻は24時を回ろうとしていた。
 私は捕まえた2人の魔物ハンターをそれぞれ別の部屋に閉じ込めて、雫の元に向かっていた。
 雫は自宅ではいつも魔改造した地下室にここ最近はこもっている。
 道中でいくつもの部屋がガラス張りにされている扉のおかげで中の様子がうかがえる。

「あっ、やっ、ひゃぅぅ、も、もう!」
「たりないっ、たりないわっ! この程度だと……」

 そこには魔物ハンターの女性たちが自慰行為をしている。
 雫はそれを監視してサキュバスの力の栄養源としているらしい。正直、理屈がよくわからなかった。
 
 5分ほど歩くと雫の元にたどり着く。
 雫は豪華な装飾をした王族の椅子に座ってモニターを監視している。

「雫。あなたの作ったフェロモン催眠がえぐいわ」
「そうですか? いたって普通だと思いますが」

 そういいながらも雫の視線はモニターからは離れない。
 内容を見てみると何かの数値のようだけど……
 気にせずに私は話を続ける。

「いやいや、助けに入った勇敢な子が何もせずにひざから崩れ落ちていったわよ?」
「そうなの。それはその子にそういう才能があったのですよ。じゃなかったらそこまで効果はありませんから」
「そうなんだ」
「ええ、誰だってそういう知識があるから思い込むのです。だから、催眠術にかかってしまう」
「なるほどね、意外と理屈が……えっ、でもそれってサキュバスの力なの?」

 ようするにそれは「その子の才能である」って言っていることと同じように聞こえる。
 ならそれは人の力であり、魔物であるサキュバスの力とは違う気がした。
 雫は椅子を回転させて胸に手を当てて答えた。

「私はサキュバスの力を得ていますが間借りしているようなものです。本物がどういったものかを研究中です」
「そうなの」
「ええ、本当に研究し甲斐がありますよ」
「そっか。で、あの捕まえた3人はいつも通りに快楽催眠をかけておくの?」
「あ~、あれは便利ですがこれ以上かけると実験するときに支障が出る可能性があります」
「そっか」

 少しずつだけど、雫が本音を言ってくれている気がしてほっとした。
 敬語でしゃべって事務的だけど少しずつ安定しているみたい。
 サキュバスの力を得た雫は私を堕とした後、衝動で何人もの犠牲を生み出した。
 廃人にまではなっていないが最初に駆けつけた魔物ハンターたちはさらに地下で性行為を行っている。
 もう日常生活に戻ることはないだろう。
 私はその中で唯一、意識を保って雫と接することができ、雫も無意識だが自分を取り戻していた。
 だから、研究熱心な雫の姿を見ると心が温まる。

「ん? 汐音、どうかしましたか?」
「いいえ、なにもないわ」
「そうですか。それで3人ですが、少しやり方を変えようと思います」
「どんなのにするの?」
「まずは、1人だけこっち側に着くように説得します」
「ふむふむ」
「その時、催眠を使わないで置くのがポイントですね」

 珍しい。サキュバスの力を使うことが目的なのにやめておくのかと思った。
 どんな理由だとと思って聞き返す。

「催眠を使わない理由は?」
「あとで録画を見返すときにめっちゃ興奮するです」
「そ、そう」

 雫の単なる趣味みたいだった。
 雫は話を続ける。
 
「で、3人を集めた後に1人だけ記憶封印の催眠をかけて、他の2人のその様子を観察しようと思います」
「……ああ、そういうことか」
「ええ、目の前で仲間が催眠にかかって落ちていく姿には彼女たちも絶望。そして、もう1人は見捨てたという罪悪感に打ちひしがれるでしょう」
「ドSね。今から始める?」
「そうですね……せっかくなので脳波測定ができる部屋を使いましょう。あっ、説得するのを誰にするかは汐音任せますね」

 そういって、机の方に向いて雫はキーボードを目に見えない速度で打ち始める。
 私は早速、誰を説得するのか思考する。

(勇敢なリーダーか。猪突猛進な少女か。それとも……)


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