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魔物ハンターとサキュバス

姫路(ひめじ) 優衣(ゆい) 身長158cm B78 W53 H76 Cカップ 前編

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「おかしい、です」

 私の名前は姫路(ひめじ) 優衣(ゆい)。俗に言う魔物ハンターです。
 世界中にはびこる魔物の存在を人知れずに隠れて討伐するのが私たち姫路家でした。
 とはいっても魔物なんて生まれてかたあったことはないですし、素質がないと判断された若菜お姉ちゃんは何も知らずに家を出て都会に行きました。
 ただ先日、魔物ハンターの同業者が襲われる事件がありました。
 女性しかいなかったその一族はみな、行方不明になり緊急事態の措置が取られることになったのですが……

「どうして、繋がらないのです」

 何度も電話をかけるも一度も繋がることはないです。
 最初こそはその一族は夜逃げしたんじゃないか? なんて考えがありましたけどこれはお姉ちゃんの身に何かあったと考えるべきです。
 もしかしなくても、お姉ちゃんは……

「いかなきゃ……」

 魔物ハンターの私たちには生まれついての武器を継承します。
 私が継承した武器は鞭でした。正直、こんなものをもって電車で都会に行けば職務質問されれば一発でアウトです。
 でも、今行動しないと後悔する。そう思った私は、家族に事情を話して家を飛び出していきました。

「……ここが学園、です」

 私はお姉ちゃんが通う学園にたどり着くとまず、その広さに驚きます。
 あまりにも周囲に比べて大きすぎます。こんなのが都会に建てられるわけがないです。
 一先ずは偵察として、近くの喫茶店に入り様子を伺います。
 そして、3時間ほど調べつくしてようやく気付きました。

「やっぱり、結界が張ってますね」

 周囲の認識をずらす結界が観察して分かりました。学園を中心に目を見るとはっきりと外殻が揺らいでいるのがわかります。
 このまま一人で突っ込んでも仕方ありません。一度、対策のために戻ろうとしたその時でした。

「ここ、いいかしら?」
「えっ、あっ、はい」

 不自然に私の前に女性の客が座りました。
 彼女の髪は淡い栗色のしたロングで、赤色のメガネが特徴的でした。

「ごめんなさいね。ここから学園を見るのが好きなのよ」
「そうですか……卒業生ですか?」

 情報が得られるかもしれない。そう思った私は行動に出ます。
 危険かもしれない。でも、ある程度のリスクは背負う覚悟はあります。

「いや、違うわ。どちらかと言うと関係者……でも、卒業って意味はあっているのかしら?」
「? それは一体どういう意味ですか」
「ふふっ、気にしないで。それはそうと学園の入学希望者かしら?」

―――チリン、チリン
 女性は机に置かれたベルを鳴らして。店員を呼びつけます。
 ……やけにその音が耳に残る気がしますが気のせいでしょう。
 私の分まで飲み物とケーキを頼んでくださいました。

(すごく親切な方ですね。都会の人はみんなこうなんでしょうか?)

 とにかく、注文が来るまでの間に話を返します。
 ここまでくると魔物ハンターとしての勘がささやきます。この人には何かあると……

「えっと、私は入学希望者ではありません。姉がここに通っているのでどんなものかと見学に来ただけです」
「そうなの。お姉ちゃん思いなのね。でも、あそこは入るのを制限されているって知ってる?」
「はい。でも、いくら連絡しても繋がらないので……」
「わかるわ。そうね、あなたならいいかしら」

 女性の目が急に細くなり、値踏みをされているような感覚がします。
 なんでしょう。もしかすると私はやってしまったかもしれません。
 しかし、すぐに柔らかな笑みを浮かべるといつの間にか運んできたケーキを口にします。

「私もね。あの学園に届けたいものがあるの。代わりにやってくれるなら入る方法を教えてもいいわよ?」
「えっ、正面から入れないんですか? こう、家族とかは……」
「おすすめはしないわ。理由も話せないし、ただ危険としか言えない」

 その時の女性の声は真剣そのものでした。
 私は急に喉が渇き、オレンジジュースを口にして一息をつきます。

(どうすべきか。この人が嘘を言っている気がしない。でも、信用していいかもわからない)

 考えた結果。私は……

「わかりました。届け物を持っていきますので入り方を教えてください」
「わかったわ。荷物を持ってくるからしばらく待ってくれる?」
「はい」

 これが正しい決断だったのかはわかりません。
 ただ、私は信じたいと思った。あの女性の目が真剣そのもので私のことを案じてくれている気がしたから



 小1時間ほどケーキと飲み物を楽しんでいるとようやく女性が帰ってきた

「これよ。落としたら壊れるかもだからそこだけは気を付けてほしいわ」
「了解です」

 小さな白いプレゼントボックスを受け取る。私の手のひらに収まるサイズなので本当に小さい。
 カバンの中に武器と同じ空間にしまう。

「では、行きましょうか」
「はい……って、お会計は?」
「大丈夫よ。すでに支払っておいたから」

 気づかない間にすでに支払いは終わっていたようだ。
 それにしても、この女性。なんだか、人間じゃないような気がしてきた。

(って、そんなわけないか)

 そもそも、人間以外にあったことがない。動物がしゃべるわけないし。
 魔物も出会ったことがないのだし、この感覚は無視していいわね。

「ついたわ。ここよ」
「ここって、学園の裏口じゃないですか」

 やけに歩くなと思ったら、学園の裏口まで案内された。
 てっきり秘密の出入り口があってそこから出入りするのかと思っていた。

「ちょっと待ってね……よし、大丈夫ね」

 女性は胸元からカギを取り出して、私に見せつける。
 外での大胆な行動に驚くけど、正直、同性としたらいまいちだった。
 もし私が異性ならガン見していたかもしれない。

「念のため、目的を確認するわね。あなたはお姉ちゃんを見つける。そして、その荷物を届ける」
「そういえば、誰に届ければいいんですか?」
「あ、言い忘れていたわね。学園長……って言いたいけど、教師の誰かに渡してくれたらいいわ」
「そうなんですか。それなら職員室に向かいます」
「ええ、頑張ってね」

 そういって、カギを開けて私は学園に入った。



 中に入ると、むわっとした熱気が立ち込める。
 まるでサウナみたいだ。
 肌にまとわりつく水滴を腕でぬぐい、先に用事を済ませようと職員室に向かう。
 が、場所がわからないので、生徒に聞くしかない。
 とりあえず、グラウンドの方にいけば誰かいるだろうと思って足を運んだ。

「えっ、なにこれ」

 確かに予想通りに一クラスの人数分の女生徒がいた。
 全員が体操服に着替えて、半分ぐらいがマラソンコースを走っている。
 そこまでは普通だった。もう半分が異常だった。

「う、うんっ! さ、んしゅう、め!!」
「はぁ、早く1周してほしいな」
「ダメだよ。みんな一生懸命やってい……やった! 2周した!!」
「いいなぁ~」

 記録係がパイプ椅子に座って数えている。
 だけど、光景が異様だった。

(なんで、みんな……ペンと一緒にスイッチを持っているの?)

 私はすぐに物陰隠れて、万が一のために鞭を手に取った。
 よくよく見てみると走ってる生徒もなんだか内股では走りにくそうにしている。
 なんでだろうと目を凝らしてみると股から水滴みたいなものが―――

「……えっ!?」

 思わず、声に出して驚いてしまった。
 グラウンドにいる生徒全員がブルマが異様に膨らんでいた。
 それに、座っている方を見るとやけに胸が振動している。
 決定的だったのは最後尾で走っている生徒だった。
 しゃがみ込んで、股に手を押し当てている。
 あれは、間違いなく……大人のおもちゃのバイブを押し込んでいた。
 
―――キーンコーンカーンコーン

 身を潜めているとようやく授業が終わり、着替えるために生徒が隠れている私の近くを通った。

「ふぅ、早く走ってほしいよね」
「だねぇ~。でも、走ってる側も必至だからあまり攻めれないよ」
「わかるわ。だって、あっちはずっとスイッチがONだもんね」

 その会話を聞いて確信する。

(この学園……マジでやばい)

 私はどうやらとんでもないところに来てしまったみたいです。
  

―――キーンコーンカーンコーン

「もう、大丈夫よね?」

 あれから私はもう一度授業が始まるまで身を潜めていた。
 幸運なことに見つからず、再度グラウンドを使うことはないみたいだ。
 だけど、これからどうすれべきか考えてしまう。
 最初は誰かに職員室の場所を聞けばどうにかなると思っていた。
 しかし、事はそう簡単なことではなかった。
 今、職員室に向かっても恐らくは私はあの痴女軍団に犯されて終わりになってしまう。
 その終わりがどういうものかは容易に想像がついてしまう。
 でも、もう一つのすることもできない。だって、私はお姉ちゃんの教室がどこにあるかを知らない。

(八方塞がりになってしまった。どうしよう)

 考えてもどうすればいいかは答えが出ない。
 そもそも一度退却した方がいい気がしてきた。
 だって、私の武器は鞭一つだけ。邪気を払うことができると聞いてるけどやったことがない。
 私は自分の手で持っている鞭を眺め、ため息を一つついた。

「はぁ」
「あれ? そこで何してるの?」
「っ!?」

 見つかってしまった。振り返ると制服姿の生徒が3人もいます。

(まずい、逃げなきゃ……)

 そう思うけど、体は動きません。
 
「えっと、大丈夫?」

 1人が近づいてきます。ここは思い切って、鞭をあてるといいことが……

「あら、それは……」
「ひっ!」

 別段隠していたわけではないのですぐに見つかります。

(やるしかないっ!)

 意を決して、鞭をふるおうとしたその時でした。

「ああ、保護者の方ですね」
「ほえっ?」
「制服を着てないし、鞭を持ってるし、どうしてんですか? 道に迷いましたか?」
「え、ええ」
 
 何を勘違いしているかよくわからないけど、友好に接してくれている。
 もしかして、部外者は問題ないの……いやいや、あんなのをしている時点で危険だ。
 
(だったら、ちょうどいい。職員室の場所を聞いて逃げ出そう)

 決心した。しかし、相手が3人となると簡単逃げ出すことができない。
 なら、利用するまでだ。

「届け物があるんですが、職員室はどこですか?」
「職員室ですか? 向こうの階段を上がって2階に行ったところですね」
「そうなんですか~。ありがとうございます。それでは―――」
「あの、職員室に行くんですか?」
「へっ?」

 しまった。なにかミスをしてしまったかもしれない。
 さっきまで後ろで黙っていたボーイッシュの方がしゃべってきた。
 とにかく、口裏を合わせなければ……

「はい。届け物が……」
「それよりも、保護者会議がありますよね? 行かなくていいんですか?」

 ガッデム! 意味もなく英語で心の中で叫んでしまう。
 そんな保護者会議なんて何回もあるようなものではないはず。なのに、そんな日に当たっちゃうなんて……
 どうしよう。先に職員室に行かないとと返すべきか。それとも、思い出したかのようにふるまうべきか……
 
(いっそのこと走って逃げちゃうっていう手も―――いや、それはないか)


 無言を不審に思ったのか。だんだんを近づいてくる。
 もう駄目だ。そう思った時だった。

「あなたたち、チャイムが鳴っているわよ。そこで何やっているの?」

 私の背後から声が聞こえた。振り返るとメイド服を着た同い年くらいの子が仁王立ちで腕を組んで立っている。

「あっ、しまった!!」
「早くいかなきゃ……ほら、行くよ!」
「う、うん」
「茜! 行くわよ!!」
「わかったわよ!」

 3人は走って校舎の中に消えていった。
 よかった。これで―――

「で、あなた誰? ここの人じゃないわよね」
「あ、あの……」
「保護者でもなさそうだし……まさかと思うけど侵入者?」
「ち、違います! 私は届け物を……」

 急いで誤解を解くように私はカバンの中から小さな箱を取り出した。
 メイドはその箱を確認するとニヤリッと笑った。
 
「届け物? ああ、なるほど。ようやく届いたのね」
「えっ? でも、これ理事長に……」
「私が渡すわ。ああ、そうだ。届けくれたってことは関係者ね。私の名前は藤堂 詩衣里。多分だけど、あなたの仲間よ?」

 
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