クラとフクの異世界畜産有限会社 ~アフリカに行ったら銅像が立つと言われた雨男が異世界に行ったら~

 僕は桜。三国桜。
 小さい頃から牛が大好きだった僕は、熱意を認められて、晴れてこの度、後継者難に悩んでいた繁殖和牛農家の伯父の後継ぎに内定した。
 春からは、県内の農林大学校に通って、卒業したら念願だった牛飼いになれる。
 叔父さんたちが、酪農家を辞めて繁殖農家になったときには、白黒の牛がいなくなって黒い牛ばかりになってショックだったけれど、慣れれば和牛には和牛のいいところがある。
 大きくて、温かくて、人懐こくて。
 本当に牛って大好き。
 それなのに、高校卒業を目前にひかえた十月。
 姪っ子(正確には伯父の孫)のフクちゃんを連れて行った畜産フェスティバルのヒーローショーで、僕はヒーローショーのヒーローとふくちゃんふくちゃん共々異世界に召喚されてしまう。
 召喚先は、獣人ばかりが住む世界の、バミューダ小国群の中の一国。
 召喚の理由は、大国からばかり勇者が出て悔しかったから?
 小国である自国の立場向上のため?
 異世界から召喚した人間には、時たま勇者をもしのぐ能力を備えた人間がいる?
 その人間を本物の勇者として擁立する手はず?
 これって、ダメなタイプの異世界召喚だよね?
 召喚された人間を見回すと、みんな動物の耳が生えている。
 いるのは、虎、猪、うさぎ、犬、鶏、牛、ネズミ……これって、干支?
 そこまで考えて、僕はサァーーッと青ざめた。
 僕とフクちゃんは、辰年生まれ。
 もし特殊な能力を持っているとしたら……辰年が怪しいんじゃない?
 小国の見栄の勇者なんかに担がれちゃったら、きっとずっと帰れなくなる。
 ようやく後継ぎに決まった僕がいなくなったら、叔父さんたちは、きっと何年かしたら牛飼いを辞めてしまう。
 そうしたら……僕が子牛の頃から可愛がってきた、梅子や桃子たちがお肉にされちゃう!?
 鹿の獣人だと偽った僕は、フクちゃんを連れてなんとか王宮から逃げ出した。
 目指すは、本物の神さまがいるという『竜の棲む山脈』。
 梅子と桃子は今十歳。
 繁殖和牛のだいたいの寿命とされるのは十四、五歳。
 リミットは四年、果たして僕とフクちゃんは無事帰れるのか!?

 現地の牛飼いも引くほどの牛好き・クラちゃんの異世界畜産物語。

24h.ポイント 0pt
0
小説 193,578 位 / 193,578件 ファンタジー 44,470 位 / 44,470件

あなたにおすすめの小説

レベル596の鍛冶見習い

寺尾友希(田崎幻望)
ファンタジー
旧副題:~ちなみに勇者さんは、レベル54で、獣の森をようやく踏破したところだそうです~  オイラはノア。  オイラの父ちゃんは、『神の鍛冶士』とまで言われた凄腕の鍛冶士……なんだけど、元冒険者の母ちゃんが死んでからというものの、鍛冶以外ダメダメの父ちゃんは、クズ同然の鉱石を高値でつかまされたり、伝説級の武器を飲み屋のツケに取られたり、と、すっかりダメ親父。  今では、いつも酔っぱらって、元・パーティメンバーからの依頼しか受けなくなっちゃった。    たまに依頼が入ったかと思うと、 「ノア!  オリハルコン持ってこい!」 「ないよ、そんなの!?」 「最果ての亀裂にでも行きゃ、ゴロゴロ落ちとるだろ!」 「どこだよ、そのムチャクチャ遠そうなトコ!?」  てなわけで、オイラの目下の仕事は、父ちゃんが使う鉱石拾いと素材集めってわけ。  そして、素材を集めるため、何度も強敵に挑み続けたオイラは、ついに気付いてしまった。  魔獣は、何も、殺さなくても素材をドロップしてくれること。  トドメさえささなければ、次に行くときまでに、勝手に回復して、素材を復活させてくれていることに!  かくして、オイラの地下倉庫には、伝説の勇者が、一生を通して数個しか入手できないような素材が、ゴロゴロ転がることとなる。 「父ちゃん、そろそろオイラにも、売り物の剣。打たせてくれよ」 「百年早いわ、バカモノ……ひっく」 「……じゃあしょうがない、ご近所さんに頼まれた草刈り鎌でも作るか。  マグマ石とアダマンタイトの合金に、火竜のウロコ、マンティコアの針を付与して。  出来た、ノア特製・雑草の燃える鎌!」 「……!?  お前、なんでそんなの持ってるんだ!?」 「え?普通に、火竜からプチッと」  最強鍛冶見習い・ノアの、常識外れの日常と冒険の物語。  三巻以降のストーリーを加筆修正中。今まで公開してきたお話を引き下げることがあります。

キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》 【書籍化!】 コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。 早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。 そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。 道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが… ※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜 ※カクヨム様でも投稿をしております

退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話

菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。 そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。 超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。 極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。 生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!? これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。

ザ・モブ顔なはずなのに天使とか言われるし、イケメンなはずなのに不細工とか言われている不憫すぎる魔王様を倒せとかで無理なんですけど!!

坂神ユキ
ファンタジー
 事故にあい死んだと思った瞬間、何故か異世界に召喚されてしまった「田中花子」。  モブを自称する彼女の顔は、可愛くもない何処にでもいる平凡な顔だったはずが__  何故かそんな彼女の顔が、【この世のものとは思えないほど美しい】と言われる世界に来てしまう!!  しかも、何故か幼女の姿になって!!!!  自称モブで、目立つことなんて大嫌い。  か弱いヒロインと違って、敵なんて警棒とかその他防犯グッズが火を噴くぜ!!  異世界召喚なんて、モブには関りがない。  そう思っているのに花子が社交辞令などを話せば話すほど、周囲は花子のことを【天より遣わされた美しき無垢な聖女】と言い勘違いする始末。  異世界へ来てしまった恐怖となれない環境からのストレスで、幼児化した体は言うことを聞かずに号泣しかしない。  そんな花子を保護したのは、なんと不細工(花子にとってはイケメン)な優しい魔王様だった!!    これは自称モブなアグレッシブすぎる【優しい無垢な聖女(笑)】と、不憫すぎる魔王様とその仲間たちの愉快な勘違いライフである。 *小説家になろうでも掲載しています。 *カクヨムでも掲載しています。

異世界のんびり料理屋経営

芽狐
ファンタジー
主人公は日本で料理屋を経営している35歳の新垣拓哉(あらかき たくや)。 ある日、体が思うように動かず今にも倒れそうになり、病院で検査した結果末期癌と診断される。 それなら最後の最後まで料理をお客様に提供しようと厨房に立つ。しかし体は限界を迎え死が訪れる・・・ 次の瞬間目の前には神様がおり「異世界に赴いてこちらの住人に地球の料理を食べさせてほしいのじゃよ」と言われる。 人間・エルフ・ドワーフ・竜人・獣人・妖精・精霊などなどあらゆる種族が訪れ食でみんなが幸せな顔になる物語です。 「面白ければ、お気に入り登録お願いします」

【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい

梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。

異世界転生しか勝たん

shiyushiyu
ファンタジー
JK…通称自宅警備員であった私は売れないラノベ作家として、売れる日をいつしか夢見ていた。 決してニートではない。 バイトは作家活動が忙しいからしてないけれど、ラノベ書いてるからニートじゃないし。 確かに冗談で異世界転生してみたいとか思ったけどさ、本当に叶うなんて思わないじゃん? しかも何の冗談?転生した先が自分が書いてたラノベの世界ってそりゃないでしょー! どうせ転生するならもっとちゃんと転生したかったよ! 先の展開が丸わかりの、ドキドキもハラハラもない異世界転生! ―――――――――――― アヤメ…主人公のデブスニート 転生先の小説:#自発ください#いいねで気になった人お迎え~お別れはブロ解で~←これのせいで異世界転生しましたw  登場人物:カラアゲ…大男の戦士       ナポリタン…イケメンチャラ男タンク       アヤメ…勇者(男)に転生した主人公のデブスニート(転生した姿はハンサムな男)       世界を支配しようとする魔王に3人のパーティーで挑む!       基本は勇者の魔法で一発 転生先の小説:バンパイアくんとフェアリーちゃん  登場人物:パセリ…主人公(アヤメが転生した姿)       バジル…口の悪いフェアリー       ルッコラ…泣き虫バンパイア

アラフォー料理人が始める異世界スローライフ

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
ある日突然、異世界転移してしまった料理人のタツマ。 わけもわからないまま、異世界で生活を送り……次第に自分のやりたいこと、したかったことを思い出す。 それは料理を通して皆を笑顔にすること、自分がしてもらったように貧しい子達にお腹いっぱいになって貰うことだった。 男は異世界にて、フェンリルや仲間たちと共に穏やかなに過ごしていく。 いずれ、最強の料理人と呼ばれるその日まで。

処理中です...