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14 トゥオネタル族

316 トゥオネタルの魔王5

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 時はイロナがヤルモと合流した直後……

「では、あとは任せろ」

 イロナVSサタンとの戦いが始まっ……

「いやいや。一緒に戦う作戦だっただろ~」

 らない。ヤルモに止められたイロナもいちおう覚えていたらしく、手をポンッと打った。

「クハハハ。先程の攻撃はなかなか効いたぞ」

 そんなことをしていたらサタンも復活。イロナの攻撃を受けても拍手しながらヤルモたちの元へとやって来た。

「それがお前の言っていた『カミサン』か?」
「まぁそうだけど……」
「美しくて強い者がいるとも言っていたが、その『カミサン』と同一人物か?」
「そうだよ。あんまりカミサンカミサン言わないでくれよ」

 サタンが確認すると、イロナが『カミサン』に反応しているのでヤルモは止めたい。照れたイロナがバシバシ叩くから痛いみたいだ。

「これでトゥオネタル族の戦力が全て揃ったわけだな。さあ、余を楽しませるのだ」
「違う! 貴様が我を楽しませるのだ!」
「イロナ! シーーーッだ!!」

 こうして戦闘は、サタンの名文句はイロナに邪魔されたり、そのイロナを止めようとするヤルモの大声で始まるのであった。

「お、俺は……はぁはぁ……」
「休んどけ! 出番が来たら呼んでやる!!」

 あと、瀕死のペッコをヤルモが黙らせてから……


 イロナが来たと言っても、ヤルモのやることは一緒。大盾を構えてジリジリ前進し、サタンの体勢を崩すことに専念するだけだ。

「グフッ……」

 それなのに、ペッコタッグと比べてサタンのダメージは大きい。

「フンッ! この程度なら主殿はいらないのでは?」

 イロナが強すぎるからだ。ヤルモがサタンをちょっとでも崩すと、ペッコでは攻め込めない隙に強烈な斬撃を叩き込むので、めちゃくちゃ楽なのだ。

「いや、剣を見てみろよ。たった10分でボロボロだぞ」

 余裕があるように見えても、SSS級トリプルのロングソードは早くもご臨終。四天王との連戦もそうだが、サタンの頑丈な体とイロナの馬鹿力では耐えられなかったのだ。

「おお。もうか」
「次はどれでいく?」
「……マイナスの刀にしておこうか」
「ほい。折れたらもったいないから、早めに代えろよ」
「そうだった。鍛冶屋に持ち込めば長持ちするんだった……うむ! まだまだ愛でたいから約束しよう」
「これもいちおう持っておけ」

 戦闘中だというのに、二人はのん気なモノ。サタンが戻る前に、イロナはレジェンドマイナスの長い刀に交換し、予備のロングソードを腰から下げた。

「クハハハ。確かに強いな。どうだ? 二人揃って我が配下にならないか?」

 イロナに斬られまくったのに、まだまだ余裕を見せるサタン。イロナにも興味を持ったのか、また勧誘している。

「誰がなるか。貴様を殺せないなら楽しみが減るだろうが」
「そうだ。そう…だ」

 イロナの答えも当然決まっていたのだが、ヤルモは微妙に乗り損ねた。だってヤルモは楽しむために戦ってないもん。

「ならば仕方がない。そろそろ余も本気を出すとしよう」
「喋ってないでさっさとしろ」
「そうだそうだ……」

 サタンが本気を出していないと聞いてもイロナは態度は崩さない。でも、ヤルモは額に汗が浮かんでる。今まででもけっこうきつかったのに、第一形態なのにまだ上があるのかと焦りがあるようだ。

「行くぞ」
「早っ!?」

 予告通りのサタンの攻撃は、さっきまでの倍の速度になっていたのでヤルモの反応が遅れる。

「チッ……」

 なので、イロナが防御。サタンの剣を刀で受け止めた。

「すまん! オラッ!!」

 盾役は逆。イロナが守ってくれたので、ヤルモが攻撃。バズーカによる渾身の一撃をサタンに御見舞いする。それでまたサタンの体勢が崩れたので、イロナの餌食。サタンは数回斬られて吹っ飛ばされた。

「ナビ! 十発だ!!」
『はい! ファイアー』

 さらに攻撃の手を休めないヤルモ。ナビにロケット弾を発射させてサタンのHPを削る。

「来たぞ!」
「見えてる!!」

 サタンは飛び起きてからの突撃。イロナは心配して教えていたが、ヤルモは前に出てサタンの攻撃を大盾で受け止めた。どうやら今回は、ロケット弾の煙を使ってサタンの動き出しを捉えていたようだ。
 そこにイロナが斬り付け、ヤルモのロケット弾が飛び交う。

 そうこう戦闘を繰り広げていたら着実にサタンのHPが減っているはずだが、そうは上手くいかない。

「【魔界の業火ごうか】」

 サタンの魔法攻撃だ。真っ黒な炎がヤルモたちを襲う。

「うお~。あっち~」
「意外と余裕そうだな」

 見たこともないおそらくこの世界最強クラスの魔法なのに、ヤルモの感想はこんなもん。イロナでも微妙に呆れている。

「レジェンドの盾のおかげだ。元の盾なら溶けてたかもな」
「ふむ……刀で斬り裂くのはやめておいたほうがいいか」
「だな。まだまだ厄介な魔法があるかもしれないから、気を付けていこうぜ」
「なんだかな~」

 ヤルモのおかげで楽ができるのは、イロナとしては楽しくない。これほどの強敵なら難易度が高い戦闘ができるから、もったいないのだろう。

 しかし魔法が加わることで、サタンの攻撃は熾烈を極めるのであった。
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