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06 カーボエルテ王国 王都3
120 マッピング2
しおりを挟むヒルッカが不甲斐ないと泣き出したのであわあわしていたヤルモであったが、自分が悪い点を説明してなんとか落ち着かせようと頑張っている。
「そのままで、どれぐらいダメージを与えられるか実験してただけなんだ。だからゼロでも問題ないんだよ~?」
「実…験……ですか?」
「そうだよ~。次からはドーピングするから、ダメージが入るから心配しないくていいんだよ~?」
「ドーピング……」
「これを付けたらいいんだよ~?」
なんだか幼い子をさらおうとするオッサンみたいなになったヤルモは、攻撃力の上がるアクセサリーを山ほど渡すので、ますます誘拐犯に見える。
「それとこれな。攻撃力の上がるジュースだ。甘くて美味しいよ~? でも、戦闘の前に飲もうね~?」
やはり誘拐犯にしか見えないヤルモ。だが、ヒルッカには誘拐犯しか頼れる者が近くにいない。なので、言うことを聞くしかないので全てのアクセサリーを付けたら、ジュースはヤルモに渡されていたアイテムボックスの革袋に入れた。
「それじゃあ行くよ~? 地図だけはお願いね~?」
「……はい」
ヒルッカも誘拐犯みたいなヤルモが気持ち悪いのか、渋々あとを続くのであった。
特級ダンジョンの上層階はすでに冒険者に解放されているので、何組か先に通ったようでモンスターは少ない。そのおかげで順調にマッピングを続けていたら、ヒルッカからモンスターが居ると聞いたのでストップ。
ヒルッカの準備を待って、ヤルモは突撃して行った。
今回のモンスターは、オークジェネラルが五匹。少し多いので、二匹ほど間引きしてからヤルモは叫ぶ。
「さっきの奴より遅いぞ! 俺が止めた瞬間を冷静に狙え!!」
「はい!!」
オークジェネラルなら足は遅いし的が大きい。ヤルモは大盾だけで戦い、攻撃を受けた瞬間にヒルッカからスリングショットが放たれる。
ここでも、当たったり当たらなかったりヤルモに当たったり。ヒルッカから何度も謝罪があったがヤルモは気にせず攻撃するように言っていたら、大盾で押し返していただけなのにオークジェネラルは全て倒れてしまうのであった。
「やった! やりましたよ! レベルが上がりました!!」
嬉しそうに尻尾を振りながらピョンピョン跳んでヤルモに近付くヒルッカ。ヤルモも自分のことのように喜んでいる。
「やったな! いくつ上がった?」
「3も上がりましたよ!!」
「そ……そうか! 3も上がったか!!」
「レベルが上がったの久し振りで嬉しいです~」
ヒルッカが喜んでいるところに水を差すようなことはしないヤルモ。本当はもっと上がっていると思っていたようだが口には出さず、マッピングを続けるのであった。
* * * * * * * * *
クリスタ班の場合……
「倒すのが遅い!」
ヤルモと分かれてマッピングを続けていたクリスタ班は、イロナ軍曹にしごかれていた。
「こうやるんだ!」
次に出会ったモンスターでいちおう見本を見せてくれるイロナであったのだが……
「勇者様、見えています?」
「いや、線ぐらいしか……」
「もう終わったみたいですよ……」
イロナが速すぎて参考にならない。しかし、それを言うと怒られそうなので、次のモンスターが出ないことを祈るクリスタ、オルガ、リュリュ。
クリスタが慎重に進み、オルガが地図を書き込み、リュリュがクリスタの補助やマッピングの補助とマルチに動いていたら、先客がモンスターと戦っていた。
「チッ……こいつらも勇者に輪をかけて遅いな」
「「まぁまぁ……」」
道を塞ぐように戦う冒険者パーティを見てイロナが苛立つので、クリスタたちはひやひや。飛び出さないように祈っていたらモンスターが倒され、冒険者パーティがクリスタを見た瞬間、謝罪をして道を譲っていた。
クリスタも「ごめんね~」と言いながら通りすぎたが、イロナは舌打ちしながらだったのでめちゃくちゃ態度が悪い。
そうして先を進んでいたら、道を譲られたことでモンスターが出て来てしまった。
「行くよ!」
「「はい!」」
イロナの目があるので、クリスタたちは『ガンガン行こう』。クリスタは盾役をこなしながら後ろに指示を出し、オルガの支援魔法やリュリュの攻撃魔法のタイミングを合わる。
前回の攻略でレベルが上がっていたこともありダメージの通りはよく、三人とは思えないぐらいの早さでモンスターを倒したクリスタたちであった。
「遅い! 我の見本がまったくできてないぞ!!」
「「「だって見えないんですも~~~ん!!」」」
それでもイロナからの叱責が来たので、ついに言っちゃった三人。さすがに見えてないと知ったイロナは、反省するのであっ……
「そっちの二人はしょうがないとして、勇者は見えるだろ?」
「ヤルモさん助けて~~~!!」
いや、オルガとリュリュ分しか反省していないので、早くもクリスタの泣きが入るのであったとさ。
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