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十四章 新居に移っても夜遊び
337 暴走・・・
しおりを挟むボエルたちは女性物の服を着てくれとうるさくなったので、フィリップは不機嫌な顔で寝室に逃げ込む。ここでカイサとオーセは「第二皇子を怒らせた!」と顔を青くしてた。
なのでボエルがフィリップ取扱説明書第二弾。マッサージしたら機嫌が直ると2人を寝室に送り込んだ。
「「チョロイ……」」
「だろ??」
寝室から出て来たフィリップ、上機嫌。カイサとオーセもボエルにだけ聞こえる声で悪口だ。
予定通りメイド訓練が終わると、ランチのあとはボエルは騎士訓練。動きやすい服に着替えたら、フィリップの部屋から出て行った。
今日もフィリップは、やる気なしにバルコニーで日なたぼっこしているので、カイサとオーセは自分たちのやれることをやり始めたけど、外から変な声が聞こえるのでフィリップの下までやって来た。
「この声ってなんですか?」
「下を見たらわかるよ」
「うわっ……人が飛んでった……」
「男の人を棒で殴っている人……アレってボエルさんですよね?」
「そそ。ストレス溜まってるのかな~?」
「「まぁ……溜まるでしょうね……」」
ストレスの原因が心配しているようなことを言うので、カイサとオーセは「お前のせいだよ」とツッコミたい。でも、第二皇子には怖くて言えないよね。
「ボエルさん凄いですね。こんなに強いなんて」
「男の人、バッタバッタと倒してカッコイイな~」
「性格はアレだけど、ボエルは優秀だからね。騎士とメイドをこなせる人間なんて、この城にはボエルだけだ」
「性格も悪くないと思いますけど……」
「いい人ですよ?」
「どこが……あっ! もう! ボエル! 僕の騎士を怪我させるな! この脳筋クマ~~~!!」
「「ああ~……そゆことね」」
唯一の欠点は脳が筋肉で出来ていること。護衛騎士が頭から血を噴き出して倒れる光景を見たカイサとオーセは、怖いと思うよりフィリップの言葉が胸に突き刺さったのであったとさ。
護衛騎士が頭から血を流したのだから、怪我人は医務室に緊急搬送。フィリップは外に出てボエルに説教だ。
でも、「あの程度じゃ死なねぇ死なねぇ」とかあっけらかんと笑っていたので、説教は追加。「治療費、給料から引くぞ」と怒ったら、やっと謝罪の言葉が出た。
フィリップが怒っていた理由は、治療費がフィリップ持ちになってるからだってさ。
「あんなに気前がいいのに、変なところでケチだね」
「あれじゃない? 男にはお金使いたくないとか?」
「違う違う。裏金から出せないからってだけ」
「「殿下!? ……裏金??」」
そのことについてカイサとオーセはヒソヒソ喋っていると、フィリップはいつの間にか2人の後ろに立っていたので驚いたが、裏金のほうが気になってヒソヒソ話は止まらないのであったとさ。
とりあえず、あまり反省していないボエルは護衛騎士から隔離。剣の素振りを始めたからフィリップも「もういいか」とカイサたちを連れ、芝生を横切り玄関に向かう。
しかしその時、門番が血相変えて走って来たので、フィリップは芝生のド真ん中で報告を受ける。
「ローエンシュタイン公爵家のペトロネラ様が訪ねて来ているのですが……」
「ゲッ……」
名前を聞いただけでフィリップは嫌そうな顔になったけど、もう遅い。
「殿下~! どうして私を置いてこんなところにいるの~~~!!」
「ネラさん!? 馬車で突っ込んで来ないで!! 御者! ストーップ!!」
だって、暴走ペトロネラと暴走馬車がセットだもん。御者はどちらの命令を聞けばいいのか悩んだのか反応が遅れたものだから、芝生に車輪が埋まったところで馬車は急停止したのであったとさ。
そんな登場をしたペトロネラには、フィリップが説教。ボエルたちが協力して馬車を石畳まで運んで行く。
お馬さんは怪我していたので、フィリップがコッソり手持ちのポーションを飲ませて「黒馬たちと遊んでていいよ」と優しく助けていたよ。
「この3日、毎日殿下の部屋に行ってたのに~。なんで教えてくれないのよ~」
「ゴメンゴメン。引っ越しの日を意図的に言ってなくてゴメンね」
「酷い!?」
「いや~……言っちゃうと、ウチから通うとか言い出すでしょ?」
「当たり前よ~。2人の愛の巣でしょ~」
「違うよ? 僕の家。世間では牢獄って言われてるよ?」
「愛の牢獄……一生出さない……」
「怖いから!?」
どうやらフィリップはしばらくペトロネラと会いたくなかった模様。メンヘラになりかけてるもん。しかし来てしまったのだから、ペトロネラを2階に御案内。
ペトロネラならたいしてダメ出しをされないかと思い、練習がてらカイサとオーセに給仕をさせてみた。
「その子たちって……まさか浮気??」
「僕たち付き合ってるのはフェイクだし。2人はメイドに雇っただけだよ」
「メイド? てっきりいつの間にか、私とフィー君との間に子供ができてたのかと思ったわ~。はい、ママでちゅよ~??」
「ねえ? 今日ってどれだけ飲んだの? ずっと支離滅裂なこと言ってるよ??」
ペトロネラ、気付けにけっこう飲んでたっぽい。そのせいでこの世界と平行世界を行ったり来たりするから、フィリップも面倒くさそうに相手し続けるのであった……
「この2人って、どういう関係だと思う?」
「話を聞く限り……彼女?のフリ? でも体の関係はありそう……え? 親戚ってワードも出て来た……」
「もうめちゃくちゃね。高貴な人って、変な人しかいないのかしら?」
「ね~? 怖いと思っていたけど、貴族って面白いよね~」
「「フフフフ」」
カイサとオーセ、フィリップたちのせいで偏見がおかしな角度に偏ってしまうのであったとさ。
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※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
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