332 / 347
十四章 新居に移っても夜遊び
332 ネタバラし
しおりを挟む「おい……これ、大丈夫か? お前たち、少女を誘拐して来たんじゃないよな!?」
フィリップを尊大な感じで紹介したボエル、カイサとオーセが腰を抜かしてしまったので大慌て。
フィリップが腹を抱えて笑っているから護衛騎士を怒鳴り付けたけど、護衛騎士も何も聞いてないから「俺たちは言われたことをやっただけだ!」と言い訳してる。
ちなにボエルは、「お客が来るからカツラを投げたら偉そうな感じで紹介して」と言われていただけらしい。
「殿下! 笑ってないでなんとか言えよ!!」
ここでボエルはフィリップを標的に。胸ぐらを掴まれそうになったので、ここは右手を前に出してボエルを止めた。
「あぁ~……笑った。まずは、カイサとオーセ。ゴメンね~。僕、ライアンって名前じゃなくて、フィリップっていうの。第二皇子様だよ~? 貴族っぽいとか、立場が微妙って言ってた理由はそういうことね。驚かせて、本当にゴメンなさい」
フィリップは頭を下げたけど、2人は放心状態なので言葉が頭に入って来ないみたいだ。
「んで、みんなに言っておくけど、この2人、僕より歳上だからね? 身長がちょうどいいから、メイドにスカウトして来ました~」
「「「「「歳上~~~??」」」」」
皆はメイドにすると言うことよりも、年齢に引っ掛かった。カイサとオーセは子供に見えるもん。あと、フィリップも子供に見えるから、年齢がサッパリ思い浮かばないみたい。
なのでフィリップが2人の代わりに自己紹介。ここで平民ってのにボエルが食い付いた。
「平民なんて連れ込んだのか!? それ、陛下もご存知なのか!?」
「ご存知ご存知。ちゃんと許可取ったもん。お兄様も知ってるよ」
「それなら……いいのかな~?」
「とりあえずここじゃなんだから、ボエルはオーセを運んであげて。僕はカイサを連れてく。お前は荷物運んでね。残りは訓練するなり自由にして。あ、夜は歓迎会するからご馳走だ~」
フィリップが完結に言っても、全員ポカン。そんな中、フィリップはカイサを抱きかかえて屋敷に入って行った。
遅れてボエルがオーセを抱え、護衛騎士は各々動く。ただ、いま起こった事態に混乱しているのか、護衛騎士は膝を突き合わせてゴニョゴニョやってるけどね。
フィリップが2階に上るとボエルも追い付いて来たので指示を出す。
「まずは2人を洗ってくれる?」
「いいけどよ~……マジで大人なのか?」
「マジでマジで。カイサはけっこう巨乳だよ~? だからって手を出さないでね? 手を出したら彼女にチクる」
「誰が出すか! 巨乳なのか……」
「出そうとしてない??」
ボエルがカイサの胸に目をやっているので、フィリップも心配。しかし、ここは信用してお風呂に送り込むのであった。
「あ、あの……」
「ん?」
ボエルがお風呂で2人をゴシゴシ洗っていたら、カイサから復活した。
「あの方は、本当に第二皇子様なのでしょうか……」
「あぁ~……見えないよな? はちゃめちゃな悪ガキにしか見えないけど、正真正銘、第二皇子だ。あ、オレは殿下専属のメイドな。ボエルって言うんだ」
「オレ? メイド? 執事だったような……」
「すまん。混乱するよな? その件はあとで説明する。とりあえず、殿下はけっこういいヤツだから、それだけは信じてやってくれ」
「はあ……」
カイサを混乱させる原因はボエルが多数。女で執事もそうだが、第二皇子に対して失礼なことばっかり言ってるもん。
「もういいんじゃな~い? こんなに気持ちいいお風呂、初めてだし~。きっとここは天国なんだよ」
そんな中、湯舟に浸かっていたオーセは現実逃避。
「いや……平民からしたら地獄かもしれない」
「「……へ?」」
「オレも貴族としては最底辺なんだけどな。貴族の女、めちゃくちゃ陰湿で陰険なんだ。もう、最初の頃はぶっ殺してやろうと毎日思ってた」
ボエルとしては現実に引き戻そうと地獄というワードを使ったみたいだけど、例題に2人は興味津々。貴族の常識を初めて聞いたから面白いらしい。
そのおかげで、ボエルに対しては緊張は消えた。ずっと口が悪いし、イジメにあっていたのは好感が持てたみたいだ。
お風呂から上がった3人は、体にタオルを巻いてリビングへ。そこのソファーにフィリップが横になっていたけど、3人はフローリングに並べられた10着の服に目が行った。
「あ、綺麗になったね~。2人とも、好きな服を着て。僕はガン見してるからね~?」
「せめて見るなよ」
「あっ! そりゃそうか。アハハハハ」
ボエルに冷たくツッコまれたフィリップは、笑いながらうつ伏せになって見てないアピール。カイサとオーセは、家臣に酷い言葉遣いで言われても第二皇子が笑っているから微妙な顔。
しかし第二皇子に服を着ろと言われたので、急いで選ぶ。その間にボエルも執事服を急いで着て、途中だけどフィリップに近付いた。
「こんないっぱいの服、どうしたんだ?」
「察しが悪いな~。アクセーン男爵令嬢に何度も手紙渡してたでしょ?」
「アレか!? あの袋!?」
「そそ。身長の低い人のお古を集めてもらったんだよ。城では平民の服では歩かせられないからね~」
この服は、ボエル経緯で何度か手紙のやり取りをして、男爵家でも集められるように下級貴族のいらなくなった物だ。アクセーン男爵令嬢は今年入学だから、10歳児。小さい御学友がいっぱい居るから選ばれたのだ。
報酬は言い値。だが、第二皇子からの依頼だから、そんなに取っていいのかと悩んだ結果、皆から値段の候補を出させて、一律で真ん中の価格設定にしたらしい。
それを感じ取ったフィリップは、細かいお金を払うのは面倒だから倍以上の金貨2枚を全員に握らせた。だからあの場にいる全員は喜んでいたのだ。
フィリップは第二皇子と握手できて喜んでいると勘違いしてたけどね。
10
お気に入りに追加
167
あなたにおすすめの小説
アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~
ma-no
ファンタジー
神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。
その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。
世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。
そして何故かハンターになって、王様に即位!?
この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。
注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。
R指定は念の為です。
登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。
「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。
一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。
猫王様の千年股旅
ma-no
ファンタジー
神様のミスで森に住む白猫に転生させられた老人。
紆余曲折の末、猫の国の王となったけど、そこからが長い。
魔法チートで戦ったり技術チートしたり世界中を旅したりしても、まだまだ時間は有り余っている。
千年の寿命を与えられた猫は、幾千の出会いと別れを繰り返すのであった……
☆注☆ この話は「アイムキャット!!? 異世界キャット漫遊記」の続編です。
できるだけ前情報なしで書いていますので、新しい読者様に出会えると幸いです。
初っ端からネタバレが含まれていますので、気になる人は元の話から読んでもらえたら有り難いですけど、超長いので覚悟が必要かも……
「アルファポリス」「小説家になろう」「カクヨミ」で同時掲載中です。
R指定は念の為です。
毎週日曜、夕方ぐらいに更新しております。
忍チューバー 竹島奪還!!……する気はなかったんです~
ma-no
キャラ文芸
某有名動画サイトで100億ビューを達成した忍チューバーこと田中半荘が漂流生活の末、行き着いた島は日本の島ではあるが、韓国が実効支配している「竹島」。
日本人がそんな島に漂着したからには騒動勃発。両国の軍隊、政治家を……いや、世界中のファンを巻き込んだ騒動となるのだ。
どうする忍チューバ―? 生きて日本に帰れるのか!?
注 この物語は、コメディーでフィクションでファンタジーです。登場する人物、団体、名称、歴史等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ですので、歴史認識に関する質問、意見等には一切お答えしませんのであしからず。
❓第3回キャラ文芸大賞にエントリーしました❓
よろしければ一票を入れてください!
よろしくお願いします。
お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は……
ma-no
キャラ文芸
お兄ちゃんの前世が猫のせいで、私の生まれた家はハチャメチャ。鳴くわ走り回るわ引っ掻くわ……
このままでは立派な人間になれないと妹の私が奮闘するんだけど、私は私で前世の知識があるから問題を起こしてしまうんだよね~。
この物語は、私が体験した日々を綴る物語だ。
☆アルファポリス、小説家になろう、カクヨムで連載中です。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
1日おきに1話更新中です。
【完結】誰でも持っているはずの7つのスキルの内の1つ、運び屋スキルしか持っていなかったけど、最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
誰でも持っているはずの7つのスキルの内1つ【運び屋】スキルしか持っていなかったトリスが転移魔法スキルを覚え『運び屋トリス』となり、その後『青の錬金術師』として目覚め、最強の冒険者として語り継がれるようになる物語
かの世界この世界
武者走走九郎or大橋むつお
ファンタジー
人生のミス、ちょっとしたミスや、とんでもないミス、でも、人類全体、あるいは、地球的規模で見ると、どうでもいい些細な事。それを修正しようとすると異世界にぶっ飛んで、宇宙的規模で世界をひっくり返すことになるかもしれない。
悪行貴族のはずれ息子【第2部 魔法師匠編】
白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
※表紙を第一部と統一しました
★作者個人でAmazonにて自費出版中。Kindle電子書籍有料ランキング「SF・ホラー・ファンタジー」「児童書>読み物」1位にWランクイン!
★第1部はこちら↓
https://www.alphapolis.co.jp/novel/162178383/822911083
「お前みたいな無能は分家がお似合いだ」
幼い頃から魔法を使う事ができた本家の息子リーヴは、そうして魔法の才能がない分家の息子アシックをいつも笑っていた。
東にある小さな街を領地としている悪名高き貴族『ユーグ家』―古くからその街を統治している彼らの実態は酷いものだった。
本家の当主がまともに管理せず、領地は放置状態。にもかかわらず、税の徴収だけ行うことから人々から嫌悪され、さらに近年はその長男であるリーヴ・ユーグの悪名高さもそれに拍車をかけていた。
容姿端麗、文武両道…というのは他の貴族への印象を良くする為の表向きの顔。その実態は父親の権力を駆使して悪ガキを集め、街の人々を困らせて楽しむガキ大将のような人間だった。
悪知恵が働き、魔法も使え、取り巻き達と好き放題するリーヴを誰も止めることができず、人々は『ユーグ家』をやっかんでいた。
さらにリーヴ達は街の人間だけではなく、自分達の分家も馬鹿にしており、中でも分家の長男として生まれたアシック・ユーグを『無能』と呼んで嘲笑うのが日課だった。だが、努力することなく才能に溺れていたリーヴは気付いていなかった。
自分が無能と嘲笑っていたアシックが努力し続けた結果、書庫に眠っていた魔法を全て習得し終えていたことを。そして、本家よりも街の人間達から感心を向けられ、分家の力が強まっていることを。
やがて、リーヴがその事実に気付いた時にはもう遅かった。
アシックに追い抜かれた焦りから魔法を再び学び始めたが、今さら才能が実ることもなく二人の差は徐々に広まっていくばかり。
そんな中、リーヴの妹で『忌み子』として幽閉されていたユミィを助けたのを機に、アシックは本家を変えていってしまい…?
◇過去最高ランキング
・アルファポリス
男性HOTランキング:10位
・カクヨム
週間ランキング(総合):80位台
週間ランキング(異世界ファンタジー):43位
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる