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七章 珍しく昼遊び

163 新しい扉

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 ボエルの恋の行方が気になるフィリップであったが、時間が掛かりそうなので仮病に突入。その日の内に、夜の街に出た。

「戻って来てから、あんまり派手に遊んでないね~」

 ここはミアが働く酒場。フィリップがカッコつけてカウンターでジュースを飲んでいたら、ミアが隣に座った。

「ん~?」
「やっぱり親から怒られたのが尾を引いてるの?」
「それはない。あの当時は浮かれすぎてただけ。若気の至りってヤツだよ」
「若気の至りって……何歳になったの??」
「ハタチ~」
「噓つけ。4年前から20歳って言ってるし、まだ20歳にもなってないだろ」

 フィリップが若気の至りと言うには見た目が若すぎるので通じるわけがない。

「それより、だいぶお腹大きくなったよね? 働いてて大丈夫なの??」
「たいして動いてないから大丈夫だよ。それに私が座ってるだけで、ご祝儀とか言ってお酒が売れるし……」
「プッ……商魂逞しいこって。でも、無理しないでね?」
「わかってるよ。ハタチ君が言う通り、お酒もタバコもやってないよ」
「副流煙も危険って言ったよね?」
「カウンターは禁煙になってるって。ハタチ君、パパかってぐらいうるさいわ~」

 ミアはフィリップの小言にうんざりしているが、聞きたいことはある。

「妊婦のことにも詳しいって、ハタチ君の家はお医者さんなの?」
「ヒミツ~」
「オッパイ奢ってあげるから吐きなよ~?」
「赤ちゃんより先に一杯目をもらうわけにはいかないでしょ。二杯目はお願いね」
「冗談だったのに予約はして行くんだな……」
「アハハ。楽しみにしてるね。ごちそうさま」

 ミアが冷めた目で見る中フィリップはお金を置いて立ち去り、そこに店主がやって来た。

「また金貨置いてったのか」
「うん……派手には遊ばなくなったけど、こういうところは変わらずカッコイイな~」
「わはは。アイツはお前じゃ釣り合いが取れないんだから、いい加減諦めろ」
「諦めたから結婚したんですぅぅ。それより、これ、いつも通りでいいのよね?」
「ああ。やってやれ」
「今日のお酒は5杯まで無料! ハタチ君の奢りだよ~~~!!」
「「「「「うおおおお~~~!!」」」」」

 フィリップが派手にしなくとも、貰いすぎているお店はこんなもん。自分でやらなくとも、夜の帝王はいつまでも夜の街に恩恵をもたらしていたのであった……


 しばし夜の街で楽しく遊んでいたフィリップは、たまには熱を低くしてボエルともベッドイン。この日はマッサージを終えたベッドの上で、ボエルから報告があった。

「へ~。付き合うことにしたんだ~」
「まぁ……殿下の言う通り、お試しでな。そのことをちゃんと説明して理解してもらったよ」
「律儀だね~。そんなのいちいち言わなくていいのに」
「オレは殿下とは違うんだ。噓は言えねぇ」

 ボエルは覚悟の目をしていたので、フィリップは茶化さずにお相手の話なんかを聞いていた。

「だから、まぁ、殿下には……」
「あ、そか。もう僕とはできないってことか」

 ボエルが言いづらそうにするのでフィリップがそのことを汲んであげたら、首を横に振られた。

「いや……それは追々……」
「プッ……男は浮気に入らないんだ~」
「浮気とかじゃなくて、スポーツみたいな?」
「物は言いようだね。ボエルがそれでいいなら、僕は何も言わないよ」
「助かる……それと、ちょっとやってみたいことがあるから付き合ってほしいんだけど……」
「なになに~? ボエルからそんなこと言うなんて興味が湧くな~。バッチこ~い!!」

 基本的にボエルは自分から提案なんてしたことがないので、フィリップは喜んで大の字になったら、下半身をひっくり返された。

「えっと……何するの?」
「いつもオレがやられてることだよ。まぁこっちの穴でもできるだろ」
「ちょちょちょ! ちょっと待っ……あ~~~ん!!」

 こうしてフィリップは、女性のボエルに新しい扉をこじ開けられ、女の子にされたのであったとさ。


 それからしばらくフィリップはお尻をさすっていたけど、ボエルは彼女と仲良くやっているらしいので、お尻の出番はナシ。なので、イーダにやらそうと思ったけど、15歳にはマニアックすぎるとやめていた。
 なのでなので、ここは酸いも甘いも全て知っている大人の女性にお願い。キャロリーナに頼んでみたら、めっちゃマッサージが上手くてフィリップはトロトロになってた。

「こ、こんなテクニック持ってたのね……」
「ウフフ。男の体の扱いなら任せてよぉ~」
「なんで今まで隠してたの?」
「だってぇ……子供には早いと思ってぇ」

 キャロリーナは元性奴隷。若い頃はその美貌で超人気娼婦だったのにあぐらをかかず、マッサージのテクニックにも磨きを掛けていたから文句なしのナンバーワンに君臨していたとのこと。
 そんなキャロリーナだから、男を喜ばせる引き出しの数は半端ないそうだ。

「もう子供じゃないから、全部教えて~」
「12歳は子供でしょ~。もおぅ~」

 フィリップの素性を全て知っているキャロリーナだが、ショタに甘えられたら弱いらしく、そのテクニックを惜しみなく披露するのであった……

「気持ちいいけど、それはやったことあるよ」
「えぇ~。足技も知ってるのぉ~? その歳でなんで知ってるのよぉ~。これはどお~う?」

 でも、ちょいちょいフィリップがエロ知識を披露するので、キャロリーナは「末恐ろしい子供」と思いながら相手をするのであったとさ。
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