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七章 珍しく昼遊び

162 女性の気持ちはそれぞれ

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 日中の初ナンパは成功したのにボエルに邪魔されたので、どうしようかと話し合った結果、ナンパは許されたけど宿屋はNG。ボエルは女子と喋りたいらしい……
 そんな面白くないことはしたくないフィリップであったが、護衛が周りを固めているので下手なことをすると皇帝に報告されるから、泣く泣くその案を採用する。

 ひとまずボエルに狩りを任せてみたけど、あがりまくっていたので1人も釣れず。仕方がないからフィリップがアシストというかお金をチラつかせて、高級なお食事処に2人の女性を連れ込んでいた。

「お前な~。女性に失礼だと思わねぇのかよ」
「ぜんぜん。お姉さんたちも美味しい物食べられて嬉しいよね?」
「「うん!」」
「だって?」
「噓だ~~~!!」

 ボエル、純粋すぎて信じられない模様。このままでは女性不信になりそうだ。

「まぁ始まりはこんなもんじゃない? お金は大事って聞いたことあるし。女性もその気があったら遠慮したりするよ。ね?」
「うんうん。本命にはがめついとか思われたくないもん」
「逃がしたくない場合は、結婚するまで我慢するよね~」
「てことは、いまバクバク食ってるってことは、ナシってことか??」
「「だって、こんなお店、一生に一度行けるかどうかなんだも~ん」」
「どっちなんだ~~~!!」

 ボエル、女心がわからずじまい。発言的に、アリ寄りのアリだと言うのに気付けないとは重症だ。

「ちなみにお兄ちゃんは、実はお姉さんなんだけど、アリ??」
「え……女性だったの?」
「あ……よく見たら胸があるわ」
「じゃあ……彼氏ならアリ。結婚相手ならナシね」
「私は彼氏もナシ」
「うっ……」
「まぁ付き合ってもいいって子がいるんだから、一歩前進じゃない?」
「確かに……」

 とりあえず世論調査程度にフィリップが聞いてあげたら、ボエルも嬉しそう。ただ、違うことも聞きたいみたい。

「弟とやるのはアリか??」
「う~ん……かわいいけど、まだ早いかな~?」
「私はちょっとぐらいなら教えてあげるよ?」
「やった! 宿屋は……ダメっぽいからトイレでもいい??」
「どっちもダメに決まってるだろ!!」

 ショタの調査は、フィリップが調子に乗るからナシ。でも、諦められないフィリップが何をしてくれるのかと聞いたらキスだったので、それならいらないと女性を引かせていた。


 ランチが終わると、女性は仕事に行くと言って解散。ボエルはこのあともあると思っていたので、「メシをたかるズルイ女」とか怒っていた。
 フィリップ的には、どうせマッサージできないのなら次に行きたいので「こんなもんだよ」と大人対応。そのせいでボエルは「器が小さい」と、どんどん小さくなっていた。

 それからもナンパを続けて帝都内をウロウロしたら、夕方前に帰宅。獲物が目の前にあるのに一日中お預けにあったフィリップは、夕食とお風呂を終えた瞬間にボエルにむしゃぶりついていた。

「フゥ~。落ち着いた」
「激しすぎんだよ。気持ち良かったけど……」

 ボエルも溜まっていたのか、マッサージは満足したみたいだ。

「んで……10人ぐらいの女性と喋れたけど、どうだった?」
「どうだったっつってもなぁ……付き合ってもいいってのが2人だけって、厳しい現実を突き付けられただけだ」
「2人もいたんだから、充分な成果でしょ」
「そうだな……ゼロじゃないんだから、可能性もゼロじゃない、か……」
「そそ。ボエルなら、いつか素敵な女性と巡り会えるよ」
「うん……オレ、がんばる!」
「その意気だよ! じゃあ、もう一回いい?」
「なんでいつも台無しにするんだ?」

 せっかくいい感じで励まされたのに、フィリップがマッサージを求めて揉んで来るので、励まされた気分はまったくなくなるボエルであった……

「あ……今日は激しい……ん!」
「ええか~? ええか~? ええのんか~??」

 この日はボエルだけでは物足りなかったフィリップは、イーダの部屋でもマッサージをしたのであったとさ。


 次の日からは、フレドリクパーティの進捗状況を聞いてまだまだ掛かりそうなので夜型にしようかと思っていたフィリップであったが、皇帝に呼び出されたのでビクビクしながら登城。
 執務室では、いつも通り膝の上に乗せられて世間話をしながら撫で回されただけなので、終了間際に「ボエルの服のことじゃなかったの?」と、自分から聞いていた。
 しかし、皇帝はすでにフレドリクから聞いていたらしいので、特に言うことはなかったとのこと。ただ、同性婚を許すと人口に関係するかもしれないから先送り。フレドリクに任せることにしたらしい。

 このことをフィリップが発案したとフレドリクから聞いたから、今日は撫で回しに呼んだらしい……
 フィリップは「だったら言葉で褒めてくれたらよかったのに」と思いながら帰っり、ボエルに報告する。

「父上は及び腰みたいで、ちょっと時間掛かりそうだよ。ゴメンね」
「殿下が謝ることじゃないだろ。国のトップが考えてくれていると聞けただけで、オレは感無量だ」
「だから機嫌がいいんだ~……いや、昨日からなんか機嫌いいよね?」
「な、なんのことだ? いつも通りだぞ??」

 ボエルに焦りが見えたので、フィリップは悪い顔で笑う。

「ふ~ん。あのメイドからラブレター貰ったんだ~」
「なんで知ってるんだ!?」
「あ、そうなの? そんな面白いこと、なんで黙ってるんだよ~」
「え……カマかけやがったな!?」
「全部、吐いちゃいなよ~。僕とボエルの仲でしょ~?」
「そんな顔するから言いたくなかったんだ~~~!!」

 フィリップの予想が100%的中してしまったので、ボエルは陥落。というか、執事にクラスチェンジしてから、メイド仲間からチヤホヤされてると自慢話してヒントを与えたのが悪い。

「それで~……付き合うの?」
「まだ悩んでるところだ」
「向こうも決死の覚悟で告白したんだから、付き合っちゃいなよ」
「好きでもないのに付き合うほうが失礼だろ」
「いやいや。経験値稼ぎに付き合うべきだね。今回は練習。次の子に活かすんだよ」
「なんて酷いこと考えてんだ!?」
「数少ないチャンスを物にするためには、犠牲は必要だよ」

 フィリップが冷静に説得することで、ボエルも付き合う方向に話が進んだ。

「てか、なんでそんなにくっ付けたいんだ?」
「百合展開、萌える! できれば僕もまぜて~~~」
「まぜるか! オレたちの仲に入って来んな!!」

 でも、付き合ったらフィリップがチョッカイ掛けて来そうなので、振り出しに戻ったボエルであったとさ。
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