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五章 二年生も夜遊び

099 他国の王子

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 フィリップが公の場でクリスティーネの胸を揉んだ……ランチ会談から帰ってダグマーとラーシュから説教をされて、夜にはクリスティーネにも説教をされてマッサージをした翌日は、フィリップの11歳の誕生日。
 本人は忘れていたらしく仮病を使って寝ていたら、ダグマーに連れ去られて、寮の1階にある特別室にて家臣だけの寂しい誕生日会。他の生徒に知られたら大変なことになるから隠していると、本人談。

 それで誕生日を思い出したフィリップは、夜にクリスティーネに教えてあげたら「なんで今ごろ言う?」と文句を言われてた。何かプレゼントしたかったらしい。
 フィリップとしては、クリスティーネが祝ってマッサージしてくれるだけで大満足らしいが「いつもと変わらないじゃん?」と言われたので、翌日、2人だけのラブラブな誕生日会を開いていた。
 クリスティーネの誕生日も2人だけで祝う約束をしていたけど、フィリップが高そうな物ばかり渡そうとするので、安物をお願いしていたんだとか。

 そんなことをしていたら夜型になったので、娼館に行って誕生日を自分で派手に祝ってからダンジョン攻略に戻った。
 といっても、まだレベル上げ。この頃にはそこそこレベルが上がっていたので、お腹がたぷんたぷんになる前に地下16階の探索。
 16階の地図を埋めたら、地下17階も調査して、強いモンスターを倒しながら少しずつ進んでいた。

 クリスティーネとの会談はもう1日あったので、その日はディナーでダグマーに情報を流し、また娼館や知り合いとのマッサージで英気を養いつつダンジョン攻略を進めていたら、あっという間に年は替わり、冬休みも終わってしまった。

「ふぁ~あ。行かなくちゃダメ~?」
「当たり前です」

 3学期には昼型に戻ったが、授業はつまらないのでフィリップはゴネていたけど、ダグマーに担がれて学び舎へ。相も変わらずフィリップに取り入ろうとする生徒たちは机で寝てやり過ごし、夜遊びは継続。
 試験期間以外は仮病を使い、ダンジョン攻略を続けていたら19階まで来たところで、ついにフィリップは2年生となったのであった……


「ふぁ~あ。1年生の時とたいして変わんない授業だね~。ふぁ~」

 新学期はフィリップも出席してはいるが、簡単すぎるのであくびをしながら、真面目に授業を聞いてるラーシュの邪魔をしてる。

「まだ始まったばかりだからですよ。たぶん試験は1年生の時より難しくなると思うので、できるだけ出席したほうがいいですよ」
「僕がサボっているような言い方だね~……」
「いえ……そんなことは……大事な日は必ず来るし……」
「やっぱ思ってんじゃん!!」

 ラーシュが心の声を隠すことなく言うので、フィリップも声が大きくなってしまった。ただし、いまは授業中。教室にいる全員から一斉に見られたからには、フィリップも知らない振りして校庭を見てるよ。
 明らかにフィリップの声だったけど、超VIPの生徒だから、誰からもお咎めはなし。授業はすぐに再開した。

 そうして「今年からヒロインが登場して悪役令嬢にイジメられてるんだろな~」と乙女ゲームのことを考えながら校庭を見ていたフィリップであったが、気になるモノがあったので、ラーシュの背中をつついてコソコソと質問する。

「なんですか?」
「あそこの派手な4人組って、何者かわかる?」
「どの4人でしょうか……」
「髪の毛が赤、青、緑、紫のヤツらいるでしょ?」
「あ~……アレは新入生の、小国連合の王子ですね」
「あんな頭で王子なの!?」

 特撮ヒーロー物みたいなカラフルな頭の連中が王族なのでは、フィリップはまた大声。一斉に見られたので口笛を吹いてやり過ごし、ほとぼりが冷めたらラーシュをつついたけど、「休憩時間まで待て」と言われたフィリップであった。


「ここ。西の端の南側によっつの国がありますよね? ここは領土が小さいから、同盟を組んで他国の侵攻に立ち向かっているんですよ」

 予定通り、休憩時間になったらラーシュは地図が載っている教科書を使ってフィリップの教育だ。

「ふ~ん……足したところで、カールスタード王国ぐらいの大きさなんだ」
「いえ……実際のところは大きさはわからないです。大きいかもしれませんし、小さいかもしれません」
「あ、そうか。ちゃんとした距離なんて測れないから、この教科書には国があるとしか書いてないってわけか」
「その通りです。殿下、賢いじゃないですか」
「ラーシュ君。バカにしてるよね?」

 フィリップの問いは、ラーシュは答えずに続きを喋る。

「その小国連合は、たまたま第一王子の年齢が同じということもあり、より団結力が強まっているらしいですよ」
「つまり、幼馴染みの仲良し集団ってわけね。でも、よくもまぁ政情不安のあるこの国に、長男を送ろうと思ったね」
「本当ですね……いくら距離があっても、情報ぐらい届いていそうなのに……」
「それほどの馬鹿か、馬鹿だから勉強させようと思ったか……調べておいてよ」
「いいですけど、女子以外なんて珍しいですね。向こうのほうが背が高くて男らしいから気になるとか……」
「ラーシュ君。心の声は漏らさずに、心の中に留めておこうね?」
「行って来ます!」

 ラーシュは1人で納得して、フィリップの注意は無視して走って行ったのであった。


 数日後……

 教室でラーシュが集めて来た情報を発表だ。

「小国連合がここに来た理由は、殿下の予想の2番目が近かったです。自国で勉強するより、カールスタード学院で学んだほうが国の役に立てると無理して出て来たと、周りに言っていました」
「ふ~ん……ご立派な考えなことで」
「ですね。どこかの第二皇子に聞かせてやりたいぐらいです」
「ラーシュ君。それ、僕のことだよね? 悪口言うなら、もっとバレないように言えない?」
「あ、そうですね。馬鹿皇子に……」
「悪口が酷くなってるから!!」

 最近、ラーシュにナメられっぱなしのフィリップであったとさ。
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