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二章 学校で夜遊び

044 中間試験

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 ラーシュのお気に入りのウリカ嬢は、フィリップのほうを落としたいみたいだったけど、フィリップが「ラーシュのほうが落としやすいよ」と耳打ちしたらめちゃくちゃ悩んでる。

「ところでなんだけど……」
「なんなりと!」
「その胸にリンゴとか詰め物入れるの流行ってるの? みんなやってるよね??」

 ちょっと見ない間に女子たちが、形がまちまちの巨乳になっていたから問い詰めてみたら、ウリカの目は泳いでる。

「こ、これは成長して……」
「みんなペッタンコだったじゃ~ん。僕、噓つく子は嫌いだな~」
「噓ついて申し訳ありません!」
「ちょちょちょ、何やってんの? 前隠して!!」
「リンゴを献上しようと……」
「うん。それ、ラーシュにあげて。喜ぶと思うから」

 焦ったウリカはブラウスのボタンを開けてフィリップにリンゴを差し出したが、フィリップは受け取らずにラーシュに押し付けるのであった。


 帰ってからラーシュにどうなったかと聞いたら「巨乳じゃなかった」とか落ち込んでいたけど、リンゴはしっかり2個とも握っていた。たぶん、胸から出て来たと理解したから捨てられなかったのだろう。
 翌朝に聞いたらまだ食べるか悩んでいたのでフィリップも「もういいや」と割り切っていたけど、帰宅時にはラーシュが怒っていた。

「殿下……ウリカのことを襲ったって本当ですか!?」
「はい? なんのこと??」
「殿下がブラウスを破いたと噂が広がっているのですよ! 本人にも聞いたら、ムリヤリ破られたって……お嫁に行けないと泣いていたんです!!」
「えっと……みんなが嘘を言ってると思わないの? 昨日のやり取り見てたでしょ??」

 たった2日、学校生活を再開させただけで冤罪事件発生。ラーシュには「そんな嘘つきやめとけ」としか助言できないフィリップであったとさ。


 それから数日が経ち、ラーシュとの仲はあまり良くないけど中間試験は無事終わり、今日は返却日。フィリップも結果が気になって出席してる。

「はぁ~……空欄ばかりで出したのに、なんで100点なんだよ……」

 そう。この学校は、テストも受けていないフィリップを主席にするような権力至上主義。フィリップもそれがわかっていたから10点前後が取れるように調整したのに、まったく意味を成さない。

「ラーシュは何点?」
「だいたい80点から100点の間です」
「ふ~ん……頭いいんだ。僕の答案と交換して」
「殿下よりは……なんで100点ばっかり!?」

 ラーシュが大声出すのでフィリップの点数は生徒に知られてしまったが、フィリップは気にせずラーシュの答案と問題用紙を見て採点をやり直している。

(なんだよ。ラーシュも60点前後しか取れてないじゃん。俺は空欄が多すぎたから、答案の全差し替えで、ラーシュは全部埋まってるから丸付けたんだな)

 ラーシュの採点が終わると、他の生徒にも答案を提出させたフィリップ。10人ほど採点が終わると、フィリップはラーシュをつついた。

「どう? 僕の採点間違ってないよね??」
「は、はい……できたと思ったのに、なんでこんなに点数が低いんだ……」
「ラーシュはいいほうだよ? 他は40点から20点の間だもん。まぁこのテストで60点は普通ぐらいかな~?」
「えっと……他の人の得点は何点となっていたのですか?」
「平均75点ってとこ。下駄はかせすぎだよね~。アハハハ」
「いや、テストでこんなこと許されるのですか!? 抗議して来ます!!」
「頼んだ。僕の本当の答案はどこだと怒っていたとも言っておいて~」

 ラーシュを使ってこの腐敗体質を是正するフィリップ。先生に答案用紙を突き付けるラーシュを見ながら、フィリップはこんなことを考えていた。

(何この学校……ここにいる全員、馬鹿ばっかりだぞ。もしかして、全員コネ入学なんじゃね? そういえばお父さんも、コネクションを作って来いとしか言ってなかったな……え~。やだよこんな馬鹿で腹黒な連中と友達になるの~)

 もともとボッチってのは置いておいて、ここで友達になれる人を探すほうが難しいと思うフィリップであったとさ。


 採点問題は大事となり、学長みずからフィリップの前に土下座しに来たので、ラーシュに耳打ちして不正を正すことを約束させたら終了。次回からはどんなテストが出て、どれほどの屍が出るか楽しみに待つフィリップ。
 ひとまず全員の採点のやり直しとなったので答案用紙は回収されたけど、フィリップのだけは終わっていたから本物の答案用紙が戻って来た。

「殿下……10点台ばかりなんですが……」
「うん。これこれ~。ぜんぜんわかんなくて、空欄ばかりだったんだよね~」
「それ、どっちですか? さっきは正解用紙もなしに採点していたし、実は頭がいいとか……」
「わかんなかったから、あとで問題用紙で復習してただけだよ。ギリギリ覚えててよかった~」
「で、ですよね? 殿下がそんなわけないですよね。バカでよかった~」
「ラーシュ君。いい加減にしないと怒るよ?」

 一言多いラーシュとも、友達になれないと再確認したフィリップであったとさ。
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