上 下
42 / 298
二章 学校で夜遊び

042 カールスタード学院のダンジョン

しおりを挟む

 雑な巨乳トラップに引っ掛かりそうになったフィリップは、ダグマーに雑に連れ去られてラーシュの部屋で説教。かなり酷いことを言われていたが、フィリップはヘラヘラしながら謝っていた。
 それで呆れられたのか通じないと諦めたのか解放してもらえたので、ひとまずフィリップは自室に戻り、ダグマーに踏まれてた……

「まだ説教あるの~~~?」
「いえ……殿下は酷い言葉遣いをされてもこんなことされても怒らないので、不思議に思いまして」
「別に怒るようなことでもないし。いまもプレイ中だし」
「優しいのか変態なのか、よくわからない人ですね」
「アハハ。変態はダグマーも一緒じゃん。あ~~~ん!」

 説教はなかったけど、それに似た体罰で喜ぶフィリップであったとさ。


 その日からフィリップは謎の発熱に苦しみ、学校にも行けなくなっていた。

「殿下、大丈夫ですか?」
「なんとか……いつものことだから、ダグマーも無理しないで」
「もしもの時は、カールスタード側の兵士がドアの前にいますから、このベルを鳴らしてくださいね」
「うん。毎日同じこと言わなくてもわかってるって~」

 夜にはメイドは寮の1階に戻らなくてはならないので、ダグマーは心配しながら部屋から出て行く。すると、フィリップは体を起こした。

「やっと出て行った。ダグマーって意外と心配性だな。馬車の時はぜんぜん心配してくれなかったのに……体の関係になったからかな?」

 そう。ご存知、熱魔法。体温を上げて仮病を演じているのだ。

「さあ~て。学校のことはわかったし、どっちから行こうかな~?」

 フィリップが真面目に学校通いしていたのは、情報収集。どんな人やどんな授業があるのかを調べていたのだ。
 その結果、授業はフィリップからしたら超簡単だったので、得点の操作も余裕。ダンジョンも向かう人がいないのは確認したので、こちらも忍び込んでも問題なし。問題があるとしたら……

「娼館がどこにあるかわからないんだよな~」

 子供らしくない問題だけ。

「それに僕が行ってもすぐに入れてくれないだろうし……やっぱりダンジョンからにしとこ。強いに越したことはないしね!」

 方針の決まったフィリップは、日が暮れたら猫耳マントを羽織り、さっそくバルコニーから飛び下りるのであった。


「ヤ、ヤバかった……」

 テンションが上がっていたフィリップでも、6階からのヒモなしバンジーにはちょいチビリ。いくら風魔法で減速しても、怖かったらしい。
 そんな震えるフィリップは気を取り直し、闇夜に紛れてダンジョンへ一直線。巡回兵はいたけどフィリップに気付かずに通り過ぎて行ったので、すぐにダンジョンに到着した。

「確かあっちの建物に……」

 ダンジョンに隣接した建物の扉を氷魔法のピッキングで開けたら、フィリップはロウソクに火を灯して中を漁ってる。この建物も情報収集済みだ。

「あったあった。帰還アイテム……めっちゃ入ってるな」

 あからさまな宝箱を開けたら、卵のような形の帰還アイテムがギッシリ。隣に似たような宝箱がふたつあったので、フィリップは全部開けてみた。

「これ、ダンジョンが立ち入り禁止になってるのに発注は止めてないんじゃないか? アホなのか? いや、業者とズブズブなのかもしれない……それならいっぱい貰って行こっと」

 本当はちょっとだけ盗もうと思っていたフィリップであったが、こんなにあるしお金の無駄遣いをしていそうなので、気兼ねなく100個ほど拝借。
 これだけ無くなるとバレやすいので、満タンに入っていた宝箱の下に余っている服を入れて嵩上げしてる。金庫のお金を盗んだ横領犯みたいだな……


「おお~。久し振りのダンジョンだ~。これこれ~」

 帰還アイテムを手に入れたフィリップは、ダンジョンの扉もピッキングで開けて無断侵入。帝都学院にあるダンジョンと似た、古びた遺跡風の通路を見て感慨深くなっている。

「でも、なんでこんなところにダンジョンなんてあるんだろ? あ、そっか。フィリップが帝都のダンジョンに挑戦する時に、カールスタードのダンジョンの半分とかどうとか言ってたな。その設定か~」

 気になることを思い出したフィリップは、懐中時計を取り出して時間を確認した。

「ここなら近いし、帝都のより深く潜れるな。帰還アイテムもあるから尚更だ。とりあえず5時間ほど頑張るぞ~。お~!」

 1人で気合いを入れた寂しいフィリップは、奥に進んで行くのであった。


「地下1階は、帝都と出現モンスターもアイテムも違いはないかな? 道が違うだけで広さも同じくらいってところか」

 ひとまず地下1階を左回りに歩きながら地図を作り、ザコモンスターも指鉄砲で倒したフィリップは地下2階に移動した。
 ここからも帝都学院のダンジョンとさほど変わらないので、楽勝で進んで行くフィリップ。宝箱を漁り、モンスターを倒していたら地下4階でレベルが上がった。

「おお~。久し振りに上がった~。やっと35だよ。これっていくつまで上がるんだろ? フレドリクは50だったから、そこまでなのかな? ま、それも検証してみたらいっか」

 それからもモンスターを倒して地図を作っていたら、見たこともない部屋を発見した。

「なんだこの部屋? 魔法陣がある……あっちには水の入った皿??」

 ひとまずフィリップは魔法陣の上に乗って中心辺りまで進むと、いきなり光り出したから飛び退いた。

「トラップ? じゃあ、あの水は毒とかかな??」

 魔法陣はあとから調べることにしたフィリップは、水に指を突っ込んでグルグル。冷たい以外は何も感じなかったので、水をペロッと舐めてみた。

「気持ちうまい……もうちょっと飲んでみるか」

 コップですくってステータスを確認しながら一口ずつ飲んでみたら、水の正体はわかった。

「お~。MPが回復してる。つまり、この部屋は回復ポイントか。ゲームにはそんなのなかったのに、便利な機能だな。ということは、あの魔法陣は1階にテレポートできるとか??」

 フィリップは恐る恐る魔法陣に乗ってみたら、見たことのある風景に変わった。

「やっぱりだ! ダンジョンに入ったところだ!!」

 そこはダンジョン1階の階段の横。帰還アイテムを使ったら戻る場所に出たので、フィリップは小躍りしてる。

「あ……しまった……まだ時間あるのに戻っちゃったよ~~~」

 でも、探索途中に戻らされたので、肩を落としてトボトボ帰るフィリップであったとさ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

回復力が低いからと追放された回復術師、規格外の回復能力を持っていた。

名無し
ファンタジー
回復術師ピッケルは、20歳の誕生日、パーティーリーダーの部屋に呼び出されると追放を言い渡された。みぐるみを剥がされ、泣く泣く部屋をあとにするピッケル。しかし、この時点では仲間はもちろん本人さえも知らなかった。ピッケルの回復術師としての能力は、想像を遥かに超えるものだと。

勇者パーティから追放された私ですが何故か肉食系聖女が私を狙ってついてくる!?

卯ノ花
ファンタジー
私、エレイルは異世界に転生した女子校生だ。そしてなんやかんやあって町で有名になってしまい、そこに通りがかった勇者パーティにスカウトされる。 勇者合わせて4人のパーティーで、ハーレム状態の所に入るのはなんともバツが悪いと思って断ろうとすると 「私もあなたか入ってくれると嬉しいです。」 そういったのはこのパーティーで人機は目立つ存在の聖女、オリビエという少女、その可愛さに根負けして入ることになる。 でもその勇者が、クズすぎて私は半年経つ頃には、無能を演じながら、皆と離れるように画作して、ようやく抜け出す事が出来た。 「お前のような、女を入れてしまったことを今では後悔しているよ、だからもうこのパーティから出ていってくれ。」 「はい、分かりました。」 そうして私は酒場をでて行き自由をかみ締めながらつぶやく 「ふぅ〜無能のフリも疲れた〜」 「そうなのですね、私としては行幸です♡」 そう言って周りに誰も居なかったと思ったら何故か後ろには、私を誘った聖女がいて、その彼女な私の体を舐め回す様に、色っぽい眼差しで見つめてくる。 私はこの半年で、大体の事は把握出来ていたそれは、この聖女は・・・ガチ百合で隙あれば私の体に触る肉食系ガチレズの百合っ子聖女だったのだ。 そして私はそんな聖女に・・・

噂好きのローレッタ

水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。 ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。 ※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです) ※小説家になろうにも掲載しています ◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました (旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)

ポテチ ポリポリ ダイエット それでも痩せちゃった

ma-no
エッセイ・ノンフィクション
 この話は、筆者が毎夜、寝る前にボテチを食べながらもダイエットを成功させた話である。  まだ目標体重には届いていませんが、予想より早く体重が減っていっているので調子に乗って、その方法を書き記しています。  お腹ぽっこり大賞……もとい! 「第2回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしています。  是非ともあなたの一票を、お願い致します。

【R18】翡翠の鎖

環名
ファンタジー
ここは異階。六皇家の一角――翠一族、その本流であるウィリデコルヌ家のリーファは、【翠の疫病神】という異名を持つようになった。嫁した相手が不幸に見舞われ続け、ついには命を落としたからだ。だが、その葬儀の夜、喧嘩別れしたと思っていた翠一族当主・ヴェルドライトがリーファを迎えに来た。「貴女は【幸運の運び手】だよ」と言って――…。 ※R18描写あり→*

(仮)攫われて異世界

エウラ
BL
僕は何もかもがイヤになって夜の海に一人佇んでいた。 今夜は満月。 『ここではないどこかへ行きたいな』 そう呟いたとき、不意に押し寄せた波に足を取られて真っ暗な海に引きずり込まれた。 死を感じたが不思議と怖くはなかった。 『このまま、生まれ変わって誰も自分を知らない世界で生きてみたい』 そう思いながらゆらりゆらり。 そして気が付くと、そこは海辺ではなく鬱蒼と木々の生い茂った深い森の中の湖の畔。 唐突に、何の使命も意味もなく異世界転移してしまった僕は、誰一人知り合いのいない、しがらみのないこの世界で第二の人生を生きていくことになる。 ※突発的に書くのでどのくらいで終わるのか未定です。たぶん短いです。 魔法あり、近代科学っぽいモノも存在します。 いろんな種族がいて、男女とも存在し異種婚姻や同性同士の婚姻も普通。同性同士の場合は魔法薬で子供が出来ます。諸々は本文で説明予定。 ※R回はだいぶ後の予定です。もしかしたら短編じゃ終わらないかも。

強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となった!

こはるんるん
ファンタジー
気づいたら大好きなゲームで俺の大嫌いだったキャラ、ヴァイスに転生してしまっていた。 ヴァイスは伯爵家の跡取り息子だったが、太りやすくなる外れスキル【超重量】を授かったせいで腐り果て、全ヒロインから嫌われるセクハラ野郎と化した。 最終的には魔族に闇堕ちして、勇者に成敗されるのだ。 だが、俺は知っていた。 魔族と化したヴァイスが、作中最強クラスのキャラだったことを。 外れスキル【超重量】の真の力を。 俺は思う。 【超重量】を使って勇者の王女救出イベントを奪えば、殺されなくて済むんじゃないか? 俺は悪行をやめてゲーム知識を駆使して、強さがすべての魔法学園で1位を目指す。

ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました

中七七三
恋愛
わたしっておかしいの? 小さいころからエッチなことが大好きだった。 そして、小学校のときに起こしてしまった事件。 「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」 その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。 エッチじゃいけないの? でも、エッチは大好きなのに。 それでも…… わたしは、男の人と付き合えない―― だって、男の人がドン引きするぐらい エッチだったから。 嫌われるのが怖いから。

処理中です...