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ケントとマラーク2

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今日は夜番になった。
夜番といっても、村の西にある木造の小さな見張り塔で、交代時間まで外を黙々と見張るだけ。野盗やモンスターが現れた時に、見張り塔に設置された張り子鐘を鳴らすという役割だ。

サンダーライト傭兵団がこの村に来た当初は、よく略奪目的の野盗や、人里を襲うモンスターとの交戦があったが、最近はわりと静かなものだった。交戦といってもケントやハーヴェイのような新人は、あくまでバックアップ──つまりまともに前線に出たことはなかった。
緊迫するような戦闘は日を経て圧倒的に減ったが、いまだにこの村の警護仕事をサンダーライト傭兵団は引き受けている。
そのため、比較的この辺りも安全になり、団長や副団長たちのような主たるメンツは、この村を出て他の仕事のために出払っている──


夜番ともなれば、本来なら昼間は寝ているものだが、ケントはまだ新人団員。
自分たちのことはなるべく自分たちで──という団長の方針にのっとり、薪割りや武器のチェック、先輩団員たちの衣類やシーツの洗濯など、やることは山積みだった。


パコーン──

薪割りの音が村の中に響く。
ケントは村人たちと一緒に、斧を両手に持って薪割りをしていると、ふと遠くから見慣れた男が歩いてくるのに気づいた──マラークだ。
相棒の様子を見てこいとでも、他の傭兵に言われたのか、不愛想でどこかとぼけた顔をしている。
ケントは向かってくるマラークに気づいていたが、今は特別話すこともないため、薪割りを続けようとした。
しかし、マラークはケントに近づくと、笑みを浮かべて耳元でささやいた。

「──今日も頼むぜ、相棒」

かすれたような声でそう言うと、手のひらでケントの背中をたたいた。
慌ててケントは振り返り、過ぎ去っていくマラークに伝えた。

「え? いや、今日は夜番になって──」

しかし、マラークはこちらを振り返ることもなく、右手をヒラヒラさせながら歩いて行ってしまった。

(朝の会合の時にマラークも俺が夜番だって聞いていたはずだけどな……)

首をかしげながらも、ケントは再び薪割りをはじめた。

     *

──冬は過ぎ、春の季節だが、まだ夕暮れ時は早い。
今日はいつもより少し冷えて、やや風が冷たく感じる。
干した洗濯物を村人たちと一緒に取り込み終えると、村人がケントに話しかけた。

「ご苦労さん、ケントくん。これから夜の見張りかい? 大変だね」

「ええ、まぁ慣れてるんで」

「そうかい。ああ、ちょっと待ってな」

村人が家の中に入っていくと、すぐさま折りたたまれた毛布を持って出てきた。

「今日はちょっと冷えるみたいだ。こいつを持っていきな」

「えっ──」

「いいんだよ、新しい毛布が手に入ってね。お古で悪いけど使いな」

「……ありがとう、ロクシーさん」

ケントはロクシーからもらった折りたたまれた毛布を肩にかけ、日の沈む夕焼けの方角へと歩いていった。
村の西にある入口に建てられた木造の見張り台。朝の交代時間まで二人で見張りの番をする。

(今日は自分とレックスか……)

木とロープで固定されたはしごを颯爽(さっそう)と上っていく。
高台に人影が見えたので、それが先に着いていたレックスだと思い、ケントは話しかけた。

「お待たせ、レックス。ロクシーさんから──え?」

「よー、待ってたぜェ?」

そこにいたのはレックスではなく、ヒザを大きく開いて、傲慢(ごうまん)さを感じさせる態度で大きく座り込むマラークだった。
マラークは手をヒラヒラさせながらニヤリとほくそ笑んでケントを見ていた。

「マラーク!?なんで?」

「なんでって、レックスと代わったんだよ」

「代わったって……」

「一石二鳥だろ?見張りもできて楽しい事もできんぜェ?へへっ」

昼間のマラークの『よろしくな』は、これを見越しての言葉だったのだ。
普段なら見張りの番なんて絶対やりたがらないほど、ワガママで人任せなのに──ケントにはマラークの狙ってる事を即座に理解する事ができてしまった。

「さーて夜は長えぜ?じっくり楽しもうぜ、相棒。あん?なーにつったってんだ、こっちに来いよ」

手招きするマラークに釣られるように、ケントはマラークの隣に座ろうとした。

「オイオイ、そこじゃねぇだろ?」

「え?」

トントンと、マラークは自身の股先の隙間をたたいて、ケントへここに座れと動作で伝えてきた。
小さな疑問を感じながらもケントは、スッと横に移動するとマラークのヒザ元へと座った。

「お、いいもん持ってんじゃねーか」

マラークはケントが手に持っていた毛布をとると、くっついて座っている二人をくるめるように包んだ。
まるで現代のバスタブで、並んで湯につかってるように体を寄せて。
2人は、沈みゆく夕焼けの空を見ながら話した。

「で、どうだったんだ?」

「……なにが?」

「どうせ試したんだろ?魔法をよ」

「ああ……どうにか使えたよ。まだ実用はできない程度の威力だったけど」

「へぇ、なら俺は役に立ったってわけだ。実用的じゃないってことは、もっと精液を取り込まないといけねぇって事だよなぁ」

「……そうだよ」

「じゃ、まぁ今日も当然、精液が欲しいんだろ?」

「……マラークがいいなら」

「オイオイ、俺はオマエのためにわざわざレックスに頼んで時間を作ってやったんだぜェ?言い方ってもんがあるだろ?」

マラークは自身のヒジをケントの頭にのせ、寄りかかって話した。
この物言いはマラークの茶番だ。
よく他人とカケ引きをする時に、こういう物言いをマラークは使う。
でもここで濁(にご)そうとでもするものなら、マラークは絶対にその先に進ませない。
こいつはそういうヤツだというのをケントは知っている。

「……お願いします。今日も俺に精液を飲ませて……ください──」

「へっ……いいぜぇスケベ野郎が──けど夜もなげぇ、簡単に出しちまったらつまんねぇよなァ?なら相互利益、といこうぜ?」

「相互利益?」

「つっても昨日と同じだ。オマエは俺を楽しませる。その報酬に俺はオマエに精液を飲ませる。それでいいだろ?」

昨日の夜はそこまで長くはなかったが、今夜はその数倍といっていいほど時間がある。

「……朝までかわいがってやるよケント。ま、そのぶん大量に出してやっからよォ」

毛布の中に隠れているマラークの手が、ケントの上着を腰から中へとたどって、ケントの両乳首へと直に触れた。

「はぁ!?なにを──」

「黙って前でも見張ってろや」

マラークが何を狙っているかわからないが、見張りの仕事もある。
ケントは、とりあえずマラークに身を任せて、マラークにもたれるように前を見ていた。
するとマラークがかすれた声でケントの耳元にささやく。

「……乳ってよぉ、男でも触り続けると気持ちよくなっちまうらしいぜ?試してみっか」

たしかに現実世界でも、妙に乳首が感じる──的な話は聞いた事がある。
でもまさか──俺とは無縁だろう。そうケントは思っていた。

マラークの指がケントの乳の先端をゆっくりとなぞってゲームのコントローラの操作キーのように回す。
ケントがそれに反応する事はなかったが、それでも何も気にせずにマラークはケントの乳首を優しく触り続けた。

指で乳首を転がし、時には親指と人差し指でつまむようにいじり、時には人差し指でやさしくハジくように、マラークはひたすら毛布の中でケントの乳首をいじり続けた。
いつのまにか夕暮れ時に鳴くカラスの声もしなくなり、外は完全に暗くなっていた。
時間がたつにつれ、ケントがわずかに反応をするようになってきたのを、マラークは見逃さなかった。

「おいおいケントよぉ、どうした?」

「……どうしたって……」

「体がさっきからクネったりしてきてんぜ?へへっ、気持ちよくなってきたんじゃねーの?」

「……べつに」

「あ?」

そういうと目の座ったマラークは、意地悪くケントの乳首を強めに人差し指でハジいた。
それに反応するかのようにケントは、驚きか、感度なのかもわからないまま、体をビクっと反応させてしまった。

「オイオイ、ケントはずいぶんとヤラしい体をしてんだなァ?あぁ?」

毛布の中で、マラークの手が動く。
上着の中で乳首に触れていたマラークの右手が、今度はケントのペニスの先端を服の上からこすった。
ケントもマラークもそこで気づいた。

ケントのペニスの先から出た先走りが、布ズボンの股部位を濡らせてしまっている事に。

「クッ……ハハッ!上出来ってか!これで気持ちよくないなんて言えねぇよなぁ」

マラークは、ケントが濡れている事に興奮したのか、かすれ声とともに、ケントの耳を舐め始めた。
くすぐったいような感じ、それは乳首も最初はそうだった。
自分のペニスをまったく触られていないにも関わらず、感度が全体的にあがってるのか。ケントの先走りは、ケントの布ズボンを少しずつ浸食していった。

「ケント、オマエの変態液で服が濡れまくる前に、下だけ脱いじまえ」

「え……下はさすがに、誰かに見られでもしたら──」

「問題ねぇよ、もし誰か来たら毛布で隠しとけ」

恥ずかしりながらも、ケントは毛布の中で、布ズボンだけを脱ぎ、再びマラークにもたれてその身を任せた。
乳首を両手でいじられながら、耳をチロチロと舐められ、毛布の下では下半身だけ裸という状況に、ケントは少しだけ本音をマラークに漏らした。

「マラーク……ちょっと気持ちいい……かも」

「へっ、いいぜ、まだまだ時間はたっぷりあんだ。抵抗すんなよ、今度は──」

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