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生まれた花

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 視界がぼやける。
 快感に弱い俊は、気持ちがいいと涙が出る。
 花生みとわかったのも、哲と付き合い始め、数回目の性交中の時だった。
 哲に揺さぶられながら、全身に走る痺れに酔って涙を流していると、途中からそれがひまわりになって溢れ始めた。
 当然、愛を交わすどころではなくなったが、哲から花食みであることを打ち明けられ、数年後、紆余曲折ありながらも連理の花枝の契りを交わし現在に至る。

 今日、最初の花は沈丁花だ。
 品のある甘い匂いは脳を溶かす。
 哲は顔を上げて俊の目尻をそっと撫でると、落ちた白い花を拾い上げ口に含んだ。
 途端、哲は恍惚とした表情を浮かべた。
 それはとても淫らにも見え、そうさせているのは俊自身だと思うと満たされた気持ちになる。

――もっと哲を感じたい。

 俊の手が哲の服にかかった。
 ラフに着こなしたシャツを捲り上げると、キスの息継ぎで離れた隙間を縫って脱がせた。
 自分のも、とサマーニットの裾を掴むと、哲からやんわりと止められた。
 代わりに哲が裾を握りそれを脱がせた。

 梅雨に入りかけのこの時期、その先を期待する体は興奮してしっとりと濡れている。
 互いに下履きも取り払えば、昂った雄が二本現れた。
 俊は躊躇いなくそれに手を伸ばすと、両手でそれを握って緩急つけながら扱いた。
 亀頭と裏筋が擦れ合い、さらに哲が手の動きに合わせて腰を揺すり、俊の首筋を撫でる。
 愉悦に手が止まりそうになるが、必死に手を動かすと目尻からまた花が溢れた。

 ヘリオトープがポロポロと落ちるとソファに散らばり、沈丁花の甘い香りに加えてバニラのような匂いが混ざり合う。
 哲はまたヘリオトープをひとつだけ拾い、見せつけるように舌を出しながらそれを食した。
 花を食べているだけなのに、それをいやらしく思うのはなぜだろう。

 口内に唾液が溢れる。
 俊は体を起こして哲をソファに座らせると、鈴口に蜜を溜める彼の陰茎を咥え込んだ。
 むわっと広がる雄の香りさえ芳しい。
 哲は濡れにくい。
 だが、射精した時の白濁の量は大量だ。
 哲が美味しそうに花を食べているのを見て、俊も無性に哲の欲の象徴を飲みたくなったのだ。
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