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第二章:
マイ・フェアリー・レディ⑥
しおりを挟む現世のオタ友・みっちゃんは、結構なお嬢様だった。なんせ小学校からずっと茶華道を習っていて、高校受験の時にやめたけど日舞もやっていて、ついでにお琴とか三味線とかの和楽器も『弾き方はわかるよ~』と言っていたくらいだ。これをお嬢と言わずして何というのか。
とにかくそんな彼女曰く、芸事の所作というのはとにかく反復あるのみ、らしい。何度も何度も繰り返して、考えなくても次はこれ、と自然に体が動くくらいまでやり込むのがデフォなんだとか。飽きっぽいわたしには難しそうだなぁと思っていたし、実際にやってのけてしまうみっちゃんを素直に尊敬してもいた。
が、しかし。である。
(ほ、ほんとだった! めっちゃ緊張してるのに、ちゃんと身体が動いてる……!!)
《うんうん、準備期間中はとっても頑張っていたものね。わたくしも鼻が高くってよ》
全力で笑顔を保ちつつ、ついでにマックスさんに付いてダンスもしつつ、脳内で盛大に叫んでいるわたしである。大概やかましいと思うんだけど、そんなのにもちゃんと労いを返してくれるアンリエットは本当に優しい。うう、最推しが今日も尊い。
――そう。わたしはいま、アンリエットの力を借りていない。なんと、完全に自力で社交ダンスをしているのだ!!
などと大いばりで言ってみたが、当初はそりゃもう悲惨だった。ちょっとでも主導権を譲ってもらったとたん、つまずくわよろけるわ相手の脚を踏んづけるわ。『やっぱ疲れてるじゃない!!』『もう今日は休もう、そうしよう!!』って、みんなを散々心配させてしまうわ……
それでもどうにか形に出来た理由は、これに尽きる。
(だっていつも助けてもらってるから! せっかく推しの中の人になったんだし、ひとつくらい自力でお嬢様っぽいことが出来るようになりたいじゃん!! 目指せ、脱・残念美人路線!!)
《はいはい。まあ、最初にこの人と踊っておけば大丈夫でしょう。お互いに良い牽制になるわ》
(……、はい? けんせいって?)
突然意味深なことを言われて、これまた心の中で首を傾げる。その答えらしきものはガワの人、ではなく、向かい合っている人から返ってきた。
「絶好調だな、イブマリー。体調も良さそうで安心した! ……実はな、俺も踊ってもらえて有り難いんだ。近頃はこういう場に出ると、ほぼ確実に争奪戦だから」
「争奪戦って!?」
「うむ。ちょっとこちらへ」
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よろしくお願いします!
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(9/9追記
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