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第七章:
縁は異なもの転がるもの⑦
しおりを挟むまだちょっとぷるぷるしているティノくんを撫でてあげながら、考えを整理する。
つまり、まだうまく飛べない雷獣さんを誘導してこっちへ来させたのも、イオンにお母さんの居所を教えて街に進撃させたのも、誘拐犯とその背後にいた黒幕だってことになる。目的は捕獲作戦中に推理したように魔王様復活の生け贄、記憶を消した方法はまだわからない、と。
『……ご主人、どしたの? ここぎゅーってなってるよ』
「え、ほんと? ごめんごめん。……なんかすっきりしないなぁ、って思って」
眉間をむいむい押して教えてくれるティノくんに答えつつ、どうにも歯切れが悪い言い方になる。これじゃ逆に心配させそうだ。
なんというかこう、はっきり言葉に出来ない感触みたいなものっていうか。大事なことを見落としてる気がするというか、辻褄はあってるのにどうも落ち着かない。
ああ、ここにオタ友に借りた『エトクロ』公式設定資料集があればなぁ。メインとサブあわせた全キャラのイラスト解説とか裏設定とか、山ほど載ってて見てるだけで楽しかったけど、結構分厚くて最後まで読めてなかったんだよなぁ。さすがは大判フルカラー印刷で一冊三千円ちょいの愛蔵版……
「うー、あれだけでも持ってこれたらよかったのに~~」
「……イブマリー嬢、あれとは?」
「うわっはい!! いやあの設定、じゃなくて実家にあった本の話で!!」
「ほう、古文書の類いですかな。ギルドの書庫を当たればあるいは見つけられるやも」
「えっと、そうかなぁ……」
うっかり口に出していたのを背後のショウさんに聞かれてしまい、真面目に検討までしてもらって冷や汗が出る、あああすみません、確実にないです!!
が、しかし。
「おや、あの書をご存じでしたか。さすがは博識でおられますね」
「っ、えええっ!? あれってこっちにもあるの!?」
「はい。といっても、オリジナルは古すぎて迂闊に持ち出せないので、残念ながら写本なのですが」
まさかの展開に食い付いたわたしに、にこやかにうなずいたフェリクスさんがさっきの包みを再び手に取る。そっと布を広げると、中から現れたのは予想とは全く違うものだった。
「水晶玉?」
「いや、中に何か山ほど詰まってるぞ。圧縮した文字の塊みたいだけど」
「ご明察のとおりです。我々詩人のクランにて、希少な書物を保管するために編み出された術式のひとつでして」
ちょうどこういう水晶とか、透明や半透明をした石の中に魔法で圧縮した情報を封印して、特定の条件を満たさないと引き出せないようにあらかじめ決めておくんだとか。パスワードでセキュリティ強化してるようなもんだろうか。
「こちらの水晶には、クランでも門外不出とされる古文書の内容がまるごと納められています。閲覧するには夜を待たなくてはなりませんが、十中八九必要な裏は取れるはず」
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