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SBO新人研修会(2)

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「むしろプレイスタイルで中の人見破るやつとかいんの? ……え……怖……」
「たまに。本当にたまに。いますね……」
 
 ミオとルカがドン引き。
 確かにプレイスタイルで見破ってくるのはかなり重度の鏡音円オタクに間違いない。
 
「ふーん。まあいいやー。それじゃあこれより一年坊主どもにSBO内でと星光騎士団の研修を始めるよぉ~」
「は、はい!」
「よろしくお願いします」
 
 ミオが後藤に『先に始めるから、ログインしたら教えてね~』と連絡して、まずは施設の使い方。
 みんなにお茶を出してくれたのはこの屋敷のオプション執事、NPCのセバスチャン。
 スケジュールと屋敷の管理をしてくれている。
 
「あと、二階は自分の部屋として使っていいよぉ。開かない部屋はもう持ち主登録してある部屋だからぁ、それは諦めて~って感じだけど~」
「自室にするとどんなことができるんですか?」
「部屋のインテリアとか自由に変えられるのと~、セーブポイントとして使えるかなぁ。別に外の街の宿屋とかにセーブポイントを作ってもいいんだけどぉ、負けた時とかに『最後のセーブポイント』と『星光騎士団拠点』とリスポーン地点の選択ができるんだよねぇ。あとはインベントリ。出歩いて集めたアイテムとか入れて保存しておけるよぉ。他にも副職業? 新しくできた生産職系をレベルアップさせたければ自室でアイテムとか武具とか作れるようになったそうだよぉ。ナッシーは自分の拠点が他にあるんだっけ?」
「はい。ファイブソングという五番目の街もプレイヤーの住宅地があるんですけど、そこで妹と自宅を購入しました。パラメータには反映されないんですけど、アイドルへの応援グッズとか作って売ってます!」
「「え……」」
 
 心なしかセイとマギが変な声を出した。
 ドン引きしたような、ゲームの中でもドルオタ活してんの? みたいな。
 してますがなにか?
 
「部屋でそんなことできるものなんですか?」
「うん、そう。ただ生産職の中には本格的な設備が必要な職業もあるから、それをやりたかったら一階にある空き部屋を改装したらできるかな? たとえば設備が必要な生産職だと鍛冶屋とか。まあ、ゲームシステム的に強い武器はスキルツリーを解放していくとNPCの鍛冶屋で上位武器と交換してもらえるから、困ることはないんだけどね」
 
 プレイヤーが鍛治師をやると、カスタマイズが解禁されるらしい。
 本来であれば武器のスキルツリーを解放し終えると、鍛冶屋で上位武器と交換していくスタイルのSBO。
 プレイヤー鍛冶屋では、武器の製造の際スキルツリーの付与ができる。
 スキルツリーの付与が可能ということは、プレイヤーが覚えられる武器スキルを選ぶことができるようになるということ。
 本来であればほしい武器スキルがある武器まで交換を繰り返さなければならないが、プレイヤー鍛冶屋が作ればその武器スキルの取れるスキルツリーを付与できるため手間が省ける――というわけだ。
 防具、装飾品も同じ。
 
「そう考えると旨みが大きい職業ですね。戦うのが得意ではないプレイヤーにも、他のプレイヤーの役に立てるという充足感が得られていいシステムだと思います」
「だよねー。アイテム集め楽しくなっちゃうよ」
「ハイハイ! 俺たちが持っている初期装備も強くなったりするんですか?」
「初期装備は最初に選択した職業の初期スキルが手に入るものだから、普通に育てた方がいいんじゃないかな。スキルツリーの基礎だから」
 
 ビッキーが首を傾げる。
 ゲーム自体初めてということで、ゲームシステムをそもそもよく理解していない。
 なので、シーナがざっくりとゲームシステムを説明。
 マギはすぐに理解してくれたが、ビッキーは「う、うーん、なんとなくわかった……ような?」と微妙な反応。
 
「まあ、その辺は実戦で覚えたらぁ? とりあえずあと最後にこっち」
 
 と、一階の最初の金縁扉にミオがビッキーとマギを案内する。
 そこは転移陣がある部屋だ。
 
「ここからファーストソングの舞台裏まで転移ができるよ。ステージに直接行ってもいいんだけどぉ、結構ファンの子が多いから“リアルの姿”だと秒で捕まっちゃうんだよねぇ」
「ああ、だから控え室として使っているってことなんですね」
「そうそう。あと、星光騎士団のエンブレムを持ってるとマップから星光騎士団の拠点に転移ができるから、超便利だよぉ~。まあ、帰る場所があると楽だよねぇ。って、わけで、二階の部屋の中から自分の部屋を選んでおいでよぉ~。部屋の持ち主登録が終わったら一階に戻っておいでぇ」
「はい! 行こう、円っち!」
「ゲームの中ではキャラクター名で呼ぶのが礼儀だよ、ビッキー」
「そうなの? わかったよ、マギ!」
 
 二人が和気藹々と二階に駆け上がる。
 さすがに後藤が来る前に部屋を決めてくるだろう。
 
「じゃ、このあとはバトルシステムの研修だねー。スキルツリーはたくさん解放しておくとライブで付与できるバフの数が増えてサーバーのプレイヤーにたくさん興味を持ってもらえるからねー。定期的にレベリングはしなきゃー」
「そうですね。試験前のレベリングはストレス解消にもなりますし!」
「そういえば来月中間テストだね」
「うっ!!」
 
 心臓を抑えて膝をつくセイ。
 中間テスト、去年はなかったが二年生と三年生はある。
 そのまま「なんでだよ……なんでだよおおお!」と叫ぶセイ。
 仕方ない。
 一年生の時に中間がなくて本当によかったとは思っている。
 さすがにあの疲弊し続けた一年生時代に期末以外のテストがあったらと思うとゾッとするので。

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