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本編
第十四話 余命五日の初夜④࿇
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「ふ……っ、ん、ん……っ」
くちゅり……っ、と互いの唇と唾液が混じり合う音が艶めかしく室内に響き、羞恥と同時に官能も湧き上がる。
「は……、ん……っ」
理性などとうの昔に溶け消えてしまっていて、軽く食むような口づけをして離れていった唇に、ぼんやりと甘い余韻に酔い痴れる。
だが、そんなふうに無防備な姿を晒しているアリーチェを見下ろしたクロムは、そのまま白い首筋に顔を埋めてくる。
「……ん……っ」
ちゅ……っ、と軽く吸い付かれ、ぞくりと背筋が震えた。
圧し掛かられ、苦しさを覚えてもいいはずなのに、なぜかクロムの重ささえ気持ちがよくて。
「あ……っ、クロ、ム……ッ」
自らクロムの顔を押し付けるように手を伸ばし、金色の髪に指を絡ませる。
「……も、っと……」
「――……っ!」
もっと気持ちよくなりたいと思ってしまい、素直な甘い吐息を零せば、一瞬見張られた瞳はすぐにギラギラとした光を灯した。
「……いいんですか」
今まで見たこともない、聞いたこともない獰猛な瞳と声色で問いかけられ、ぞくりと背筋が痺れた。
「……だ、って……」
なんだか身体の奥が疼くような感覚があり、熱が治まらないのだ。
どうしたらいいのかわからないのに、“止めてほしくない”と思ってしまう。
「気持ちよく、て……」
潤んだ瞳で「続けてほしい」と訴えれば、クロムは僅かに息を呑み、そのままアリーチェの首筋に唇を這わせてくる。
「あ……っ、ん……っ」
肌の上をそっと唇でなぞられるだけでびくびくと肩が震え、なぜか内股を擦り合わせるような動きをしてしまう。
「あ……っ、だ、め……っ」
舌先で首筋を撫で上げられ、軽く吸い付かれるとぞくぞくとした刺激に襲われて、気持ちがいいのに怖くなる。
「“だめ”?」
「あ……っ!」
耳元近くを舐め上げながら問いかけられ、びくりっ、と身体が揺れた。
「だ、め……っ、な、んか……っ」
これ以上を知ってしまったら。
もっと、と、身体が貪欲になる一方で、心はこの先を知りたくないと訴える。
「な、んか……っ、気持ちよく、て……っ」
クロムに触れられることを考えるだけでぞくぞくするのに、本当にその手に触れられたらどうなってしまうのだろう。
「……」
じわり、と目元に涙を滲ませて訴えたアリーチェに、クロムはぴたりと動きを止めると窺うかのような視線を向けてくる。
眼鏡の奥の赤い瞳が、じ、とアリーチェの顔を見つめて数秒後。
「……」
「!」
僅かな吐息を落として離れていこうとしたクロムの動きに気づいて、アリーチェは縋るような目を向けていた。
「っ、やだ……っ! 止めないで……っ」
その声に、身体を起こしかけていたクロムは再度動きを止め、下からアリーチェの顔を覗き込んでくる。
「だめと言ったり止めないでと言ったり、どっちなんです?」
「っ」
瞳の奥に潜む獰猛な光の色は強いものの、冷静に問いかけられて言葉に詰まる。
止めてほしいのか、続けてほしいのか……。
答えは、最初から決まっている。
「……やめちゃ、いや……」
未知の感覚が怖くて咄嗟に制止の声を上げてしまっただけで、本当は止めてほしいなんて思っていない。
本当は、クロムにもっと触ってほしくて。
もっと気持ちよくなりたくて。
「そんな可愛いことを言うんですね」
平素はツンとした態度ばかりのアリーチェの変わりようがおかしいのか、クロムはくす、と小さな笑みを零して続きの了承を取ってくる。
「触っても?」
「え……?」
「きっと、もっと気持ちよくなれます」
淡々とした声色でかけられる甘い誘惑に、アリーチェの瞳は戸惑いに揺らめいた。
けれど、迷ったのはほんの一瞬だけ。
“天才”と名高いクロムに、きっとアリーチェは隅々まで分析され、解析されてしまうのだろう。
そう思うとなぜか脚の間がじわりと熱を持つ感覚がして、アリーチェは真っ赤な顔でこくりと小さく頷いた。
直後。
「あ……っ!」
腰から脇腹をゆっくりと撫で上げられて、びくん! と白い喉が反った。
「ひぁ……っ!?」
服の上からやわやわと胸の膨らみを撫でられて、変な声まで出てしまう。
「ん……っ、ぁ……っ、ふ……、ぁ……」
じわじわとした熱が昇ってきて、クロムの掌がアリーチェの胸元を揉み込むたびにぴくぴくと身体が反応する。
「ふ……っ、ぁ、ん……っ」
あまりの心地よさに、完全にクロムへ身体を委ねて甘い痺れに酔い痴れる。
「……気持ち、ぃ……」
自然と素直な吐息が零れ落ち、アリーチェはされるがままに仄かに甘い声を響かせる。
「あ……っ、ふ……っ、ん、ん……っ」
首筋を舐めたり吸ったりしながら上半身を余すことなく愛撫され、ぞくぞくとした刺激に生理的な涙が溢れてくる。
ただ、なにか。
どこか、物足りなくて。
――もどかしい。
その、理由。
「脱がせますよ?」
「え……」
胸元に伸びてきたクロムの指先が夜着のボタンを外してきて、アリーチェは一瞬だけうろたえる。
夜着とはいえ、異性の前に出る以上、それなりにきちんとした簡易ドレスを選んでいる。
それでも過ごしやすさを重視した服は脱ぎ着が簡単にできる構造になっていて、上から順々に外されていくボタンに、アリーチェはぎゅ、と目を瞑る。
「や……っ、恥ずかし……っ」
ボタンを外された服の隙間から白い下着が覗いていることを実感し、全身が羞恥に染め上がる。
幼い頃から王子妃の有力候補として貞淑であることを求められてきたアリーチェは、異性に肌を晒した経験など当然ない。
胸元の際どい場所に呪いを刻まれ、その印を魔術師たちに見せなければならなくなった時でさえ、本当にその部分以外を晒すことのないよう最大限の注意を払っていたのだ。
それが。
「もっと気持ちよくなりたいんじゃないんですか?」
決してからかう感じではなく、あくまで柔らかな声色で尋ねられ、思わず肩の力が抜けた。
ぼんやりと下に視線を向ければクロムの優しい瞳と目が合って、妙な安心感が広がっていく。
「……素直で可愛いですね」
一切の抵抗を見せる様子もなく完全に無防備な身体を晒しているアリーチェに、今度こそクロムの口元からはくすりという可笑し気な笑みが洩らされた。
「あ……っ!」
服を開き、直接胸元に滑り込んでいたクロムの掌の感触に、びくりっ、と身体が揺れた。
「あ……っ、あ……!」
先ほどとは違い、ダイレクトに伝わってくるクロムの体温に、先ほどのもどかしさの正体を知る。
「……ぁ……っ、ゃ、あ……っ、あ……!」
服の上からではなく、直接触れてもらえる歓びで身体中が痺れるような感覚に襲われる。
「あ……っ!」
胸の頂に辿り着いた指先がそこで実った果実を転がしてきて、びくん! と背中が仰け反った。
さらには。
「ひゃぁ……っ!? あっ、あ……っ!」
もう片方の果実を襲った生暖かな感触に、アリーチェの口からは甘い嬌声が響き渡る。
「な、に……? ぁあ、ん……っ! あ、あ……っ」
そっと自分の胸元に視線を落とせば、そこにはツン、と存在を主張する赤い果実を口に含んだクロムの姿があって、顔が燃えるように熱くなる。
「ゃ……、ぁあ……っ! あっ、あ……」
思わず「嫌」と顔を覆ってしまうアリーチェだが、それが決して本音ではないことをクロムの方がよくわかっているのだろう。
いやらしすぎるその行為はやめられることなく、むしろぷっくりと膨らんだ果実で遊ぶクロムの指先の動きは大胆なものになっていく。
「あっ、あ……っ、ゃ、ぁあ……っ、ん……!」
片方の果実を舌先で舐め上げたり押し潰したり、時には軽く吸ったかと思えば気まぐれに甘噛みしたりする一方で、器用なクロムの指先は、もう片方の果実を転がしたり摘まんだりと意地悪な動きを繰り返す。
「あ……っ、あっ、あ……!」
ただ、胸の先端を弄られているだけなのに。
甲高い嬌声が上がり、びくびくと腰が打ち震える。
「ぁ……っ、ゃ……、これ……、な、に……っ?」
未知の感覚に怯えつつ、初めて知った快楽は、アリーチェの思考と身体を簡単に溶かしていく。
「気持ちいいですか?」
「……ん……っ、気持ち、ぃ……っ」
アリーチェを冷静に分析する瞳で見つめられ、ぴくんっ、と肩を震わせながら素直な吐息でそれに応える。
「は……っ、ぁ、あ……っ、ん……」
「……俺も、こうしているだけで気持ちがいいです」
「ん……っ」
喋り方は単調にも関わらず、少しだけ熱を持ったクロムの声色に、その声を聞いただけでぞくりと背筋が粟立った。
「……も、っと……」
この先のことなど知らないにも関わらず、なにかをねだるように腰が浮く。
「……いいんですか?」
胸元の果実を舌先で遊びながら顔を上げたクロムに、アリーチェは無意識にこくこく首を振る。
自分の頭が馬鹿になっていることは自覚している。
それでも、止めてほしくなくて。
もっと、この先を――、もっと触れて気持ちよくしてほくて。
「……俺はいいですけど」
ここに来て初めて少しだけ困ったような表情を見せたクロムが苦笑する。
「貴女が困るでしょう」
くちゅり……っ、と互いの唇と唾液が混じり合う音が艶めかしく室内に響き、羞恥と同時に官能も湧き上がる。
「は……、ん……っ」
理性などとうの昔に溶け消えてしまっていて、軽く食むような口づけをして離れていった唇に、ぼんやりと甘い余韻に酔い痴れる。
だが、そんなふうに無防備な姿を晒しているアリーチェを見下ろしたクロムは、そのまま白い首筋に顔を埋めてくる。
「……ん……っ」
ちゅ……っ、と軽く吸い付かれ、ぞくりと背筋が震えた。
圧し掛かられ、苦しさを覚えてもいいはずなのに、なぜかクロムの重ささえ気持ちがよくて。
「あ……っ、クロ、ム……ッ」
自らクロムの顔を押し付けるように手を伸ばし、金色の髪に指を絡ませる。
「……も、っと……」
「――……っ!」
もっと気持ちよくなりたいと思ってしまい、素直な甘い吐息を零せば、一瞬見張られた瞳はすぐにギラギラとした光を灯した。
「……いいんですか」
今まで見たこともない、聞いたこともない獰猛な瞳と声色で問いかけられ、ぞくりと背筋が痺れた。
「……だ、って……」
なんだか身体の奥が疼くような感覚があり、熱が治まらないのだ。
どうしたらいいのかわからないのに、“止めてほしくない”と思ってしまう。
「気持ちよく、て……」
潤んだ瞳で「続けてほしい」と訴えれば、クロムは僅かに息を呑み、そのままアリーチェの首筋に唇を這わせてくる。
「あ……っ、ん……っ」
肌の上をそっと唇でなぞられるだけでびくびくと肩が震え、なぜか内股を擦り合わせるような動きをしてしまう。
「あ……っ、だ、め……っ」
舌先で首筋を撫で上げられ、軽く吸い付かれるとぞくぞくとした刺激に襲われて、気持ちがいいのに怖くなる。
「“だめ”?」
「あ……っ!」
耳元近くを舐め上げながら問いかけられ、びくりっ、と身体が揺れた。
「だ、め……っ、な、んか……っ」
これ以上を知ってしまったら。
もっと、と、身体が貪欲になる一方で、心はこの先を知りたくないと訴える。
「な、んか……っ、気持ちよく、て……っ」
クロムに触れられることを考えるだけでぞくぞくするのに、本当にその手に触れられたらどうなってしまうのだろう。
「……」
じわり、と目元に涙を滲ませて訴えたアリーチェに、クロムはぴたりと動きを止めると窺うかのような視線を向けてくる。
眼鏡の奥の赤い瞳が、じ、とアリーチェの顔を見つめて数秒後。
「……」
「!」
僅かな吐息を落として離れていこうとしたクロムの動きに気づいて、アリーチェは縋るような目を向けていた。
「っ、やだ……っ! 止めないで……っ」
その声に、身体を起こしかけていたクロムは再度動きを止め、下からアリーチェの顔を覗き込んでくる。
「だめと言ったり止めないでと言ったり、どっちなんです?」
「っ」
瞳の奥に潜む獰猛な光の色は強いものの、冷静に問いかけられて言葉に詰まる。
止めてほしいのか、続けてほしいのか……。
答えは、最初から決まっている。
「……やめちゃ、いや……」
未知の感覚が怖くて咄嗟に制止の声を上げてしまっただけで、本当は止めてほしいなんて思っていない。
本当は、クロムにもっと触ってほしくて。
もっと気持ちよくなりたくて。
「そんな可愛いことを言うんですね」
平素はツンとした態度ばかりのアリーチェの変わりようがおかしいのか、クロムはくす、と小さな笑みを零して続きの了承を取ってくる。
「触っても?」
「え……?」
「きっと、もっと気持ちよくなれます」
淡々とした声色でかけられる甘い誘惑に、アリーチェの瞳は戸惑いに揺らめいた。
けれど、迷ったのはほんの一瞬だけ。
“天才”と名高いクロムに、きっとアリーチェは隅々まで分析され、解析されてしまうのだろう。
そう思うとなぜか脚の間がじわりと熱を持つ感覚がして、アリーチェは真っ赤な顔でこくりと小さく頷いた。
直後。
「あ……っ!」
腰から脇腹をゆっくりと撫で上げられて、びくん! と白い喉が反った。
「ひぁ……っ!?」
服の上からやわやわと胸の膨らみを撫でられて、変な声まで出てしまう。
「ん……っ、ぁ……っ、ふ……、ぁ……」
じわじわとした熱が昇ってきて、クロムの掌がアリーチェの胸元を揉み込むたびにぴくぴくと身体が反応する。
「ふ……っ、ぁ、ん……っ」
あまりの心地よさに、完全にクロムへ身体を委ねて甘い痺れに酔い痴れる。
「……気持ち、ぃ……」
自然と素直な吐息が零れ落ち、アリーチェはされるがままに仄かに甘い声を響かせる。
「あ……っ、ふ……っ、ん、ん……っ」
首筋を舐めたり吸ったりしながら上半身を余すことなく愛撫され、ぞくぞくとした刺激に生理的な涙が溢れてくる。
ただ、なにか。
どこか、物足りなくて。
――もどかしい。
その、理由。
「脱がせますよ?」
「え……」
胸元に伸びてきたクロムの指先が夜着のボタンを外してきて、アリーチェは一瞬だけうろたえる。
夜着とはいえ、異性の前に出る以上、それなりにきちんとした簡易ドレスを選んでいる。
それでも過ごしやすさを重視した服は脱ぎ着が簡単にできる構造になっていて、上から順々に外されていくボタンに、アリーチェはぎゅ、と目を瞑る。
「や……っ、恥ずかし……っ」
ボタンを外された服の隙間から白い下着が覗いていることを実感し、全身が羞恥に染め上がる。
幼い頃から王子妃の有力候補として貞淑であることを求められてきたアリーチェは、異性に肌を晒した経験など当然ない。
胸元の際どい場所に呪いを刻まれ、その印を魔術師たちに見せなければならなくなった時でさえ、本当にその部分以外を晒すことのないよう最大限の注意を払っていたのだ。
それが。
「もっと気持ちよくなりたいんじゃないんですか?」
決してからかう感じではなく、あくまで柔らかな声色で尋ねられ、思わず肩の力が抜けた。
ぼんやりと下に視線を向ければクロムの優しい瞳と目が合って、妙な安心感が広がっていく。
「……素直で可愛いですね」
一切の抵抗を見せる様子もなく完全に無防備な身体を晒しているアリーチェに、今度こそクロムの口元からはくすりという可笑し気な笑みが洩らされた。
「あ……っ!」
服を開き、直接胸元に滑り込んでいたクロムの掌の感触に、びくりっ、と身体が揺れた。
「あ……っ、あ……!」
先ほどとは違い、ダイレクトに伝わってくるクロムの体温に、先ほどのもどかしさの正体を知る。
「……ぁ……っ、ゃ、あ……っ、あ……!」
服の上からではなく、直接触れてもらえる歓びで身体中が痺れるような感覚に襲われる。
「あ……っ!」
胸の頂に辿り着いた指先がそこで実った果実を転がしてきて、びくん! と背中が仰け反った。
さらには。
「ひゃぁ……っ!? あっ、あ……っ!」
もう片方の果実を襲った生暖かな感触に、アリーチェの口からは甘い嬌声が響き渡る。
「な、に……? ぁあ、ん……っ! あ、あ……っ」
そっと自分の胸元に視線を落とせば、そこにはツン、と存在を主張する赤い果実を口に含んだクロムの姿があって、顔が燃えるように熱くなる。
「ゃ……、ぁあ……っ! あっ、あ……」
思わず「嫌」と顔を覆ってしまうアリーチェだが、それが決して本音ではないことをクロムの方がよくわかっているのだろう。
いやらしすぎるその行為はやめられることなく、むしろぷっくりと膨らんだ果実で遊ぶクロムの指先の動きは大胆なものになっていく。
「あっ、あ……っ、ゃ、ぁあ……っ、ん……!」
片方の果実を舌先で舐め上げたり押し潰したり、時には軽く吸ったかと思えば気まぐれに甘噛みしたりする一方で、器用なクロムの指先は、もう片方の果実を転がしたり摘まんだりと意地悪な動きを繰り返す。
「あ……っ、あっ、あ……!」
ただ、胸の先端を弄られているだけなのに。
甲高い嬌声が上がり、びくびくと腰が打ち震える。
「ぁ……っ、ゃ……、これ……、な、に……っ?」
未知の感覚に怯えつつ、初めて知った快楽は、アリーチェの思考と身体を簡単に溶かしていく。
「気持ちいいですか?」
「……ん……っ、気持ち、ぃ……っ」
アリーチェを冷静に分析する瞳で見つめられ、ぴくんっ、と肩を震わせながら素直な吐息でそれに応える。
「は……っ、ぁ、あ……っ、ん……」
「……俺も、こうしているだけで気持ちがいいです」
「ん……っ」
喋り方は単調にも関わらず、少しだけ熱を持ったクロムの声色に、その声を聞いただけでぞくりと背筋が粟立った。
「……も、っと……」
この先のことなど知らないにも関わらず、なにかをねだるように腰が浮く。
「……いいんですか?」
胸元の果実を舌先で遊びながら顔を上げたクロムに、アリーチェは無意識にこくこく首を振る。
自分の頭が馬鹿になっていることは自覚している。
それでも、止めてほしくなくて。
もっと、この先を――、もっと触れて気持ちよくしてほくて。
「……俺はいいですけど」
ここに来て初めて少しだけ困ったような表情を見せたクロムが苦笑する。
「貴女が困るでしょう」
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