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自称勇者様
おかしな呼び出し
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ルビィの背に乗ると、あっという間にウバロの街に到着しますが、其の前に森が騒がしい事に気がつきました。一緒に来てくださったルシアン兄様を振り返ると、ルシアン兄様もジッと森を観察しています。
「騒がしいなぁ…」
「そうですわね、オウガ『魔力探知』お願い」
『ええよ!どこ調べるにゃー?』
「あの騒がしい一帯がいいですわ、『魔力探知』」
ルビィに乗ってやってきたのは、何かあった時の為にクオンと王子を探すための『探知』役オウガ、そして結界を使えるノームです。因みに、猫精霊さんは各々言葉使いが『方言』でした…。いえ、可愛いのですよ!?何でバラバラなのか謎なのと、通じ合ってるのが不思議なだけで!
ウバロの街から入って直ぐの森なら、そうそう危険な魔獣は出て来ません。出ても危険ランクAの獣くらいです。SランクやSSランクだって出る『黒の森』なのを考えれば、あの辺りは入門編といったところですね。
精霊の腕輪を通してオウガが探知してくれた一帯に、逃げるように移動する四人の魔力と、離れて一人だけ取り残されている魔力がありました。
「あら?囮かしら?」
「あの入り口で囮ー?随分弱い新人がいるんだねー、絶対死んじゃうから入るだけ無駄だよね」
「オウガ、急いで移動している四人と、囮にも鑑定するわ」
『はーい、任せんさい!』
「まずは移動している四人に、『簡単鑑定』」
移動しているのでザックリとになってしまいますが、鑑定を掛けてみると、護衛で一緒だったのでしょうか?鑑定結果は『パーティ名:世界の運命(ほしのさだめ)』と出ました。なんか、痛いネーミングです。やっちゃった感がします。イタタタッ…。
更に、自称勇者・初級魔術師・脳筋戦士・堕落した回復術師。どれもなんと言っていいのやら。というか、鑑定さん結構辛辣。
(それにしても、自称勇者が罷り通るなら、誰でも勇者名乗りたい放題ですね)
「ルシアン兄様…、なにやら怪しい肩書きなのですが」
「んー…、軽くドカーンってやっちゃおっか?どうせ、弱いし」
「いえ、少々お待ち下さいな。先にお一人になっている方を拝見しますので」
「はーい。決まったら教えてね」
ルシアン兄様、面倒になったら何でも爆発させてしまおうとする癖は、まだ抜けてなかったんですのね。因みに、一人取り残されている方を鑑定してみれば
『放置された第一王子』
とでました。いえ、鑑定さん言葉…。うん、此方のお迎えは、私が行った方が良さそうですわね。
「ルシアン兄様、先にあちらの四人を捕獲してくださいな」
「えー?捕まえるのー?」
「はい、捕獲でお願い致します」
少し不満そうなルシアン兄様にはにっこりと笑顔を見せ、ルビィに指示を出し逃げている自称勇者パーティへと向かって貰いました。捕獲するだけなら、ルシアン兄様だけでも大丈夫ですが、後からフォルス兄様が来てくださいますので、屋敷まで連れて帰るのも大丈夫でしょう。
(もしかしたら、クレイオ兄様も来るかしら?)
昔からフォルス兄様の無茶を抑える役目をしていましたから、仕方無いと諦め顔で一緒に来てくれそうですね。
慌てて森から出てきた自称勇者パーティの頭上へと飛び、突然掛かった影に怯える四人に声を掛けました。
「おかしいですわね?護衛だけが逃げているだなんて」
「役立たずなのかなー?誰からの依頼でやってきたのか、すっごく興味あるなぁ」
兄妹二人で微笑みを浮かべ、自称勇者パーティの目の前に降り立ちました。いきなり空から現れた私達に驚いたのか、未だに空に浮いているルビィに驚いているのか、両方なのか。初級魔術師の女の子が、ぺたりと地面に座り込んでしまいました。
綺麗にしていると思われる猫耳のついた、夜空色のローブが汚れてしまいますわね。縋るように胸に抱きこんでいる杖は、魔力増幅効果を与えますが使用される魔力も増量される無駄打ち使用のものだそうです。
なんて、暢気に魔法使いさんを鑑定していたら、自称勇者さんと脳筋戦士さんが剣を抜いて構えていました。
「へぇ~、誰か分かってないのに剣を抜くんだ?馬鹿だね」
「ルシアン兄様思っていても、お声に出してはいけませんわ」
「セラ、此処は僕に任せてルビィと先に行っていいよ~。いつものあの場所で待ち合わせね」
「はい、わかりました。ルシアン兄様、殺してはいけませんわよ?」
「大丈夫だよ~…。たぶん?」
にこにこと笑うルシアン兄様に、若干の不安はありますが。多分って言いましたしね?小声でしたけど、しっかり聞こえましたわよ?
ま、まぁ…。ルシアン兄様愛用の杖も有りませんし、魔力の増幅も節約も出来ませんので大丈夫ですよね。と、一人無理矢理納得して、ルビィを呼びました。
本当に、半分でも生きていると信じてますからね?ルシアン兄様。
「騒がしいなぁ…」
「そうですわね、オウガ『魔力探知』お願い」
『ええよ!どこ調べるにゃー?』
「あの騒がしい一帯がいいですわ、『魔力探知』」
ルビィに乗ってやってきたのは、何かあった時の為にクオンと王子を探すための『探知』役オウガ、そして結界を使えるノームです。因みに、猫精霊さんは各々言葉使いが『方言』でした…。いえ、可愛いのですよ!?何でバラバラなのか謎なのと、通じ合ってるのが不思議なだけで!
ウバロの街から入って直ぐの森なら、そうそう危険な魔獣は出て来ません。出ても危険ランクAの獣くらいです。SランクやSSランクだって出る『黒の森』なのを考えれば、あの辺りは入門編といったところですね。
精霊の腕輪を通してオウガが探知してくれた一帯に、逃げるように移動する四人の魔力と、離れて一人だけ取り残されている魔力がありました。
「あら?囮かしら?」
「あの入り口で囮ー?随分弱い新人がいるんだねー、絶対死んじゃうから入るだけ無駄だよね」
「オウガ、急いで移動している四人と、囮にも鑑定するわ」
『はーい、任せんさい!』
「まずは移動している四人に、『簡単鑑定』」
移動しているのでザックリとになってしまいますが、鑑定を掛けてみると、護衛で一緒だったのでしょうか?鑑定結果は『パーティ名:世界の運命(ほしのさだめ)』と出ました。なんか、痛いネーミングです。やっちゃった感がします。イタタタッ…。
更に、自称勇者・初級魔術師・脳筋戦士・堕落した回復術師。どれもなんと言っていいのやら。というか、鑑定さん結構辛辣。
(それにしても、自称勇者が罷り通るなら、誰でも勇者名乗りたい放題ですね)
「ルシアン兄様…、なにやら怪しい肩書きなのですが」
「んー…、軽くドカーンってやっちゃおっか?どうせ、弱いし」
「いえ、少々お待ち下さいな。先にお一人になっている方を拝見しますので」
「はーい。決まったら教えてね」
ルシアン兄様、面倒になったら何でも爆発させてしまおうとする癖は、まだ抜けてなかったんですのね。因みに、一人取り残されている方を鑑定してみれば
『放置された第一王子』
とでました。いえ、鑑定さん言葉…。うん、此方のお迎えは、私が行った方が良さそうですわね。
「ルシアン兄様、先にあちらの四人を捕獲してくださいな」
「えー?捕まえるのー?」
「はい、捕獲でお願い致します」
少し不満そうなルシアン兄様にはにっこりと笑顔を見せ、ルビィに指示を出し逃げている自称勇者パーティへと向かって貰いました。捕獲するだけなら、ルシアン兄様だけでも大丈夫ですが、後からフォルス兄様が来てくださいますので、屋敷まで連れて帰るのも大丈夫でしょう。
(もしかしたら、クレイオ兄様も来るかしら?)
昔からフォルス兄様の無茶を抑える役目をしていましたから、仕方無いと諦め顔で一緒に来てくれそうですね。
慌てて森から出てきた自称勇者パーティの頭上へと飛び、突然掛かった影に怯える四人に声を掛けました。
「おかしいですわね?護衛だけが逃げているだなんて」
「役立たずなのかなー?誰からの依頼でやってきたのか、すっごく興味あるなぁ」
兄妹二人で微笑みを浮かべ、自称勇者パーティの目の前に降り立ちました。いきなり空から現れた私達に驚いたのか、未だに空に浮いているルビィに驚いているのか、両方なのか。初級魔術師の女の子が、ぺたりと地面に座り込んでしまいました。
綺麗にしていると思われる猫耳のついた、夜空色のローブが汚れてしまいますわね。縋るように胸に抱きこんでいる杖は、魔力増幅効果を与えますが使用される魔力も増量される無駄打ち使用のものだそうです。
なんて、暢気に魔法使いさんを鑑定していたら、自称勇者さんと脳筋戦士さんが剣を抜いて構えていました。
「へぇ~、誰か分かってないのに剣を抜くんだ?馬鹿だね」
「ルシアン兄様思っていても、お声に出してはいけませんわ」
「セラ、此処は僕に任せてルビィと先に行っていいよ~。いつものあの場所で待ち合わせね」
「はい、わかりました。ルシアン兄様、殺してはいけませんわよ?」
「大丈夫だよ~…。たぶん?」
にこにこと笑うルシアン兄様に、若干の不安はありますが。多分って言いましたしね?小声でしたけど、しっかり聞こえましたわよ?
ま、まぁ…。ルシアン兄様愛用の杖も有りませんし、魔力の増幅も節約も出来ませんので大丈夫ですよね。と、一人無理矢理納得して、ルビィを呼びました。
本当に、半分でも生きていると信じてますからね?ルシアン兄様。
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