47 / 63
第一章
んじゃ、お望み通りにしてやるよ 3(☆)
しおりを挟む
(ガキ共……? そうか。この人達、あの場にいた他の子供達の親か)
鳩尾を蹴った男が苦しみ喘ぐレイヴンの髪を掴んで、無理やり身体を起こした。痛苦に顔を歪めるレイヴンだが、喘鳴と共にこの数日間の嘘を口にする。
「そ……それ、は……た、体調が……ぅ……悪く、て……奥さん、に……つ、伝えて……あっ……て……」
もしかしたら、村の女から男の方に伝わっていなかったのかもしれないと弁明を付け加えるものの、それは耳に入らないのか、男はレイヴンに向かって能面のような笑みを貼り付けた。
「そーか、そーか。奇遇だなぁ。ここにいる俺達もなぁ、体調が悪かったんだよ。お前を甚振ることができなくてなぁ!」
そして他の男二人がレイヴンの両腕を捕らえると、そのまま引き摺るように身体を起こして歩かせた。
まさかこのまま、山を下るのだろうか。では山を下った先は? その先に待ち受けるものなど一つしかない。顔からサッと血の気が引いていくのがわかったレイヴンは、踵に重心をかけた。
「やっ……待って……待って、くださいっ……! せめて……せめてあと二日……」
「うるせぇなあ!!」
「うぐっ……!」
怒号と共に、首を絞められたレイヴンは、言いかけた言葉を強制的に飲み込んだ。飲み込まざるを得なかった。
目の前の男の激しい憤怒の形相は、まるで幼い頃に聞かされた鬼のようだと思った。
「てめぇに拒否権なんてねえんだよ! いいから、黙って罰を受けろ!」
パクパクと口を開閉させるレイヴンからは、返事ではなく唾液が漏れる。それを微塵も気にする様子のない両隣の男が、喘ぐレイヴンをせせら笑った。
「こいつ、自分が罪人だっていう自覚が足りないんじゃねえの?」
「違いねえ。村にいる男共、全員に声を掛けるぞ。この聖女様の曲がった性根を叩き直してやろうぜ!」
殺す気はないのか、男はパッと手を離し再び先頭を歩き出した。
酸欠となり気を失ったレイヴンは、男二人によってそのままズルズルと引き摺られていった。村の男の平均的な体重よりうんと下回るレイヴンではあるものの、気絶した人間を運ぶことは用意ではない。重くて気が立ったのか、それとも気を失うことが気に入らないのか、腕を抱える男の一人が苛立たしげに彼の頬を叩いた。
「チッ! 早く目を覚ませよ!」
「いっ……!」
「おいおい、顔は傷つけるな、顔は! 萎えるだろうが!」
「だってよぉ、腹立つじゃねえか! 罰を受けるやつが呑気に寝てるなんてよぉ!」
気がつくと、男達が言い争いをしていた。頭、顔、鳩尾、脚、とにかく全身に痛みが走るレイヴンは、だらんと首を落としていたものの、もう一人の男の言葉によって改めて己の本分を思い知らされた。
「そもそも聖女なんてもんがいなけりゃ、この村だって飢えに苦しむこともなかったってのに……こんな、こんなやつがのうのうと生きてやがるなんて……許せねえ!」
「……っ……ご、めん……なさ……むぐっ!?」
ついて出た言葉だった。今の自分を苦しめるのはこの男達だが、大昔の罪によって彼らを苦しめているのは他ならない自分なのだ。
そんな謝罪の言葉も……いや、言葉だからこそ聞き入れられないのか、レイヴンの口は先頭の男の手によって塞がれた。
「だから、口を開くなってんだ。いっそここでヤってやろうか?」
「……っ!」
レイヴンは首を左右に振った。恐怖に怯えるその様を見て、気を良くした男は掴んだ手をそのままに、レイヴンの顔を持ち上げた。
「よしよし、いい子だぁ。そんないい子にはちゃ~んと油を使ってやるからなぁ。嫌だよなぁ。痛ぇのは、よ」
「…………っ」
そうしてレイヴンは、男達が彼を罰する為の根城とする小屋へと連れて行かれた。逃げられないよう柱に括られる形で縄で縛られ、他の男達が集まるまで放置された。
日が暮れる前、彼らは早めの食事を済ませた後、そこへ集まった。ぞろぞろと小屋へ入った男達は、暖炉に火を放ちつつ、舌舐めずりをしながら着ている服を脱ぎ出した。
まるで凶器のような無数の雄の象徴が、その猛々しい様をレイヴンへと向ける。
「さあ、数日分の報いだ。たっぷり可愛がってやるからな。覚悟しろよ? レイヴン」
鳩尾を蹴った男が苦しみ喘ぐレイヴンの髪を掴んで、無理やり身体を起こした。痛苦に顔を歪めるレイヴンだが、喘鳴と共にこの数日間の嘘を口にする。
「そ……それ、は……た、体調が……ぅ……悪く、て……奥さん、に……つ、伝えて……あっ……て……」
もしかしたら、村の女から男の方に伝わっていなかったのかもしれないと弁明を付け加えるものの、それは耳に入らないのか、男はレイヴンに向かって能面のような笑みを貼り付けた。
「そーか、そーか。奇遇だなぁ。ここにいる俺達もなぁ、体調が悪かったんだよ。お前を甚振ることができなくてなぁ!」
そして他の男二人がレイヴンの両腕を捕らえると、そのまま引き摺るように身体を起こして歩かせた。
まさかこのまま、山を下るのだろうか。では山を下った先は? その先に待ち受けるものなど一つしかない。顔からサッと血の気が引いていくのがわかったレイヴンは、踵に重心をかけた。
「やっ……待って……待って、くださいっ……! せめて……せめてあと二日……」
「うるせぇなあ!!」
「うぐっ……!」
怒号と共に、首を絞められたレイヴンは、言いかけた言葉を強制的に飲み込んだ。飲み込まざるを得なかった。
目の前の男の激しい憤怒の形相は、まるで幼い頃に聞かされた鬼のようだと思った。
「てめぇに拒否権なんてねえんだよ! いいから、黙って罰を受けろ!」
パクパクと口を開閉させるレイヴンからは、返事ではなく唾液が漏れる。それを微塵も気にする様子のない両隣の男が、喘ぐレイヴンをせせら笑った。
「こいつ、自分が罪人だっていう自覚が足りないんじゃねえの?」
「違いねえ。村にいる男共、全員に声を掛けるぞ。この聖女様の曲がった性根を叩き直してやろうぜ!」
殺す気はないのか、男はパッと手を離し再び先頭を歩き出した。
酸欠となり気を失ったレイヴンは、男二人によってそのままズルズルと引き摺られていった。村の男の平均的な体重よりうんと下回るレイヴンではあるものの、気絶した人間を運ぶことは用意ではない。重くて気が立ったのか、それとも気を失うことが気に入らないのか、腕を抱える男の一人が苛立たしげに彼の頬を叩いた。
「チッ! 早く目を覚ませよ!」
「いっ……!」
「おいおい、顔は傷つけるな、顔は! 萎えるだろうが!」
「だってよぉ、腹立つじゃねえか! 罰を受けるやつが呑気に寝てるなんてよぉ!」
気がつくと、男達が言い争いをしていた。頭、顔、鳩尾、脚、とにかく全身に痛みが走るレイヴンは、だらんと首を落としていたものの、もう一人の男の言葉によって改めて己の本分を思い知らされた。
「そもそも聖女なんてもんがいなけりゃ、この村だって飢えに苦しむこともなかったってのに……こんな、こんなやつがのうのうと生きてやがるなんて……許せねえ!」
「……っ……ご、めん……なさ……むぐっ!?」
ついて出た言葉だった。今の自分を苦しめるのはこの男達だが、大昔の罪によって彼らを苦しめているのは他ならない自分なのだ。
そんな謝罪の言葉も……いや、言葉だからこそ聞き入れられないのか、レイヴンの口は先頭の男の手によって塞がれた。
「だから、口を開くなってんだ。いっそここでヤってやろうか?」
「……っ!」
レイヴンは首を左右に振った。恐怖に怯えるその様を見て、気を良くした男は掴んだ手をそのままに、レイヴンの顔を持ち上げた。
「よしよし、いい子だぁ。そんないい子にはちゃ~んと油を使ってやるからなぁ。嫌だよなぁ。痛ぇのは、よ」
「…………っ」
そうしてレイヴンは、男達が彼を罰する為の根城とする小屋へと連れて行かれた。逃げられないよう柱に括られる形で縄で縛られ、他の男達が集まるまで放置された。
日が暮れる前、彼らは早めの食事を済ませた後、そこへ集まった。ぞろぞろと小屋へ入った男達は、暖炉に火を放ちつつ、舌舐めずりをしながら着ている服を脱ぎ出した。
まるで凶器のような無数の雄の象徴が、その猛々しい様をレイヴンへと向ける。
「さあ、数日分の報いだ。たっぷり可愛がってやるからな。覚悟しろよ? レイヴン」
0
お気に入りに追加
251
あなたにおすすめの小説
人を殺すことも厭わない男がおれのことを気にしてくる
くまだった
BL
前世の記憶を持つ、第三皇子であるアンジュは、ご友人であったリンライリー公子がメイドの腕を切ろうとするのを止めてから、リンライリーに気に入られてしまう。傍にいるという約束が、いつの間にか婚約の契約になっていた。
アンジュは穏やかに過ごしたいのだが、皇帝の後継者争いに巻き込まれいく。アンジュを守ってくれるリンライリーまで倒れてしまい、もう戦うしかないと思うだった。
いつの間にかリンライリーがアンジュの兄皇子たちを操りお互いに殺し合いをさせる。気付かないアンジュはリンライリーが傍にいてくれることに安堵し、好きだと告白するのだった。
溺愛攻めを怒らせた
冬田シロクマ
BL
高校の同級生のハルに、告白され振った。
大人になった時、彼女に振られ家を追い出された所を、ハルに再開し拾われる。
3話から性描写が細かくエグくなります。
監禁、拘束、失禁、尿道責め、4p描写あり。
無理矢理多め。
元題名
・ハルとロン
・溺愛攻めが、性格悪い受けのせいで鬼畜攻めになった話
イヤだイヤだも欲しくなる~学園生の危険なアルバイト~
あいだ啓壱(渡辺河童)
BL
学園生になったばかりの小池春太が主人公。春太は学園生になって初めての夏休みに、幼馴染みの智宏から一緒に高級リゾート地で接客のアルバイトをしないかと誘われる。アルバイトの募集は学園生のみの受付で、面接がなく顔写真と全身写真が必要なだけだった。―――数々のセレブからオーダーを取る度、色とりどりの薔薇を差し出されるという、20日間住み込みで働く50万円のアルバイトとは……?
※R-18作品です。※表紙+挿絵は自作。挿絵多めです。☆モブ責め/複数プレイ/フェラ/乳首責め/乳首調教/媚薬/アナル責め/レイプ要素/尿道責め/空イキ/機械搾精/快楽墜ち、等などが登場します。ご注意下さい。スカ要素はありません。夜のお供にぜひ読んでみて下さい。
【短編集】恋愛のもつれで物に変えられた男女の運命は!?
ジャン・幸田
恋愛
短編のうち、なんらかの事情で人形などに変化させられてしまう目に遭遇した者たちの運命とは!?
作品の中にはハッピーエンドになる場合とバットエンドになる場合があります。
人を人形にしたりするなど状態変化する作品に嫌悪感を持つ人は閲覧を回避してください。
生まれ変わった僕。優しい獣人達に囲まれて幸せです。
アニエル
BL
郁は小学6年生。
父親の事故死をきっかけに母親がネグレクト。
ある日母親が連れ込んだ男のタバコが原因で火災が起き、それに巻き込まれて死んでしまう。
不幸な人生を終えた郁の前に神様が現れて「本当なら幸せになるはずだった」と告げられる。
郁を不憫に思った神様から「異世界へ転生してみない?」と提案されて頷いてみたものの…
生まれ変わった世界は獣人達がたくさんいる世界でした。
エロ展開には*付けます。
※エロ展開は27からになります。
彼氏に身体を捧げると言ったけど騙されて人形にされた!
ジャン・幸田
SF
あたし姶良夏海。コスプレが趣味の役者志望のフリーターで、あるとき付き合っていた彼氏の八郎丸匡に頼まれたのよ。十日間連続してコスプレしてくれって。
それで応じたのは良いけど、彼ったらこともあろうにあたしを改造したのよ生きたラブドールに! そりゃムツミゴトの最中にあなたに身体を捧げるなんていったこともあるけど、実行する意味が違うってば! こんな状態で本当に元に戻るのか教えてよ! 匡!
*いわゆる人形化(人体改造)作品です。空想の科学技術による作品ですが、そのような作品は倫理的に問題のある描写と思われる方は閲覧をパスしてください。
冤罪! 全身拘束刑に処せられた女
ジャン・幸田
ミステリー
刑務所が廃止された時代。懲役刑は変化していた! 刑の執行は強制的にロボットにされる事であった! 犯罪者は人類に奉仕する機械労働者階級にされることになっていた!
そんなある時、山村愛莉はライバルにはめられ、ガイノイドと呼ばれるロボットにされる全身拘束刑に処せられてしまった! いわば奴隷階級に落とされたのだ! 彼女の罪状は「国家機密漏洩罪」! しかも、首謀者にされた。
機械の身体に融合された彼女は、自称「とある政治家の手下」のチャラ男にしかみえない長崎淳司の手引きによって自分を陥れた者たちの魂胆を探るべく、ガイノイド「エリー」として潜入したのだが、果たして真実に辿りつけるのか? 再会した後輩の真由美とともに危険な冒険が始まる!
サイエンスホラーミステリー! 身体を改造された少女は事件を解決し冤罪を晴らして元の生活に戻れるのだろうか?
*追加加筆していく予定です。そのため時期によって内容は違っているかもしれません、よろしくお願いしますね!
*他の投稿小説サイトでも公開しておりますが、基本的に内容は同じです。
*現実世界を連想するような国名などが出ますがフィクションです。パラレルワールドの出来事という設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる