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第一章
聖なる力の秘密 6
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「ん? どうした?」
「……っ……み、見ないで……く、くださ……」
怪訝そうに尋ねるシンが、何も言わないレイヴンの顔を覗き込むようにして窺った。
レイヴンは椅子に座りながらも身を捩り、顔を手で隠しながらも何とか言葉を発するよう、その唇を動かした。
「ぼ…………僕の、身体…………ぜ、全部がそう……です……」
つまり、血液だけではなく、レイヴンの身体を構成するすべてのものがそうであるということ。
村の男達がレイヴンを慰み者として抱くのも、ただ罰を与える為ではない。レイヴンと接触し、彼の身体から排出される体液に触れることで、漁という体力仕事で疲労困憊となった身体を、強制的に回復させる為でもあった。
また実証はされていないものの、自身の肉や骨に関しても同様の効果が得られるだろうとレイヴンは考えていた。
それにしても、顔から火が出るほど恥ずかしくなってしまうのは、いったいなぜなのか。羞恥心など、とうに捨てたはずだった。中性的な容姿をしているとはいえ、レイヴン自身の性自認は男。そして村の男達によってその身を抱かれているとはいえ、彼自身は同性を性の対象として見ているわけではない。
キスも初めてではない。転生を経て繰り返し行われる罰の間、幾度となく弄ばれているのだ。シンに出会い頭、唇を奪われたとはいえ、驚きこそすれ恥ずかしがる理由はないはずだった。
まだ冷めない顔を隠しつつ、視線だけはシンへと戻すレイヴン。対してシンは、レイヴンの返答を元に、さらに何かを考えているようだ。
「体質にしては珍しいな。それとも、何か他に……」
こんな突拍子もない話にその顔から笑みを消し、神妙な面持ちで思考を巡らせているシンの様子を目にして、レイヴンの心は平常心を取り戻しつつあった。
(でも……本当に話して、よかったのかな……)
そして今さらながらの不安が、レイヴンの顔を曇らせた。一度、大きな罪を犯したレイヴンは、それ以上の罪を重ねないよう慎ましく暮らしてきた。村が定めたルールに誰よりも厳粛に、そして忠実に守ってきたのは他でもない彼である。
それを昨日会ったばかりの、それも異国の者だろう人間に己の力を明かしてしまったのだ。
だが、シンの様子からして、もしかしたら村の外……とりわけ異国の方ではこうした力が珍しくないのだろうか? と、レイヴンは自身の胸の前で手を握った。
「レイヴン」
「はい……」
「ちょっとこっち」
名を呼ぶなり、レイヴンに向かって自身の人差し指を内側へクイクイと動かすシン。近くに寄れ、という合図だ。
レイヴンはやや警戒しつつも、おもむろにベッドへと腰を下ろした。
「……っ……み、見ないで……く、くださ……」
怪訝そうに尋ねるシンが、何も言わないレイヴンの顔を覗き込むようにして窺った。
レイヴンは椅子に座りながらも身を捩り、顔を手で隠しながらも何とか言葉を発するよう、その唇を動かした。
「ぼ…………僕の、身体…………ぜ、全部がそう……です……」
つまり、血液だけではなく、レイヴンの身体を構成するすべてのものがそうであるということ。
村の男達がレイヴンを慰み者として抱くのも、ただ罰を与える為ではない。レイヴンと接触し、彼の身体から排出される体液に触れることで、漁という体力仕事で疲労困憊となった身体を、強制的に回復させる為でもあった。
また実証はされていないものの、自身の肉や骨に関しても同様の効果が得られるだろうとレイヴンは考えていた。
それにしても、顔から火が出るほど恥ずかしくなってしまうのは、いったいなぜなのか。羞恥心など、とうに捨てたはずだった。中性的な容姿をしているとはいえ、レイヴン自身の性自認は男。そして村の男達によってその身を抱かれているとはいえ、彼自身は同性を性の対象として見ているわけではない。
キスも初めてではない。転生を経て繰り返し行われる罰の間、幾度となく弄ばれているのだ。シンに出会い頭、唇を奪われたとはいえ、驚きこそすれ恥ずかしがる理由はないはずだった。
まだ冷めない顔を隠しつつ、視線だけはシンへと戻すレイヴン。対してシンは、レイヴンの返答を元に、さらに何かを考えているようだ。
「体質にしては珍しいな。それとも、何か他に……」
こんな突拍子もない話にその顔から笑みを消し、神妙な面持ちで思考を巡らせているシンの様子を目にして、レイヴンの心は平常心を取り戻しつつあった。
(でも……本当に話して、よかったのかな……)
そして今さらながらの不安が、レイヴンの顔を曇らせた。一度、大きな罪を犯したレイヴンは、それ以上の罪を重ねないよう慎ましく暮らしてきた。村が定めたルールに誰よりも厳粛に、そして忠実に守ってきたのは他でもない彼である。
それを昨日会ったばかりの、それも異国の者だろう人間に己の力を明かしてしまったのだ。
だが、シンの様子からして、もしかしたら村の外……とりわけ異国の方ではこうした力が珍しくないのだろうか? と、レイヴンは自身の胸の前で手を握った。
「レイヴン」
「はい……」
「ちょっとこっち」
名を呼ぶなり、レイヴンに向かって自身の人差し指を内側へクイクイと動かすシン。近くに寄れ、という合図だ。
レイヴンはやや警戒しつつも、おもむろにベッドへと腰を下ろした。
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