30 / 49
耀太、現る!
5
しおりを挟む
翌日。
起きて早々、宗佑によってまたも薬を飲まされ、強制的に人型になり不貞腐れた顔の耀太さん……いや、耀太君が、ダイニングでもそもそと遅めの朝食を食べ始めた。
「むすぅ」
「ご飯、口に合わないかな?」
箸の動きは止めないものの、全く美味しそうに食べないので、和食はお気に召さなかったかと納豆を練りながら尋ねた。
ちなみに、今朝の献立はもち麦を混ぜた白米に味噌を塗った焼き鮭、だし巻き玉子にキャベツと揚げの味噌汁、里芋とイカの煮物に林檎と枝豆のサラダだ。品数が多いので目で楽しみ、舌で楽しみ、腹を満たすことができる。
耀太君の起床も遅かったが、俺と宗佑も普段より遅めに起きた為、あらかじめ副菜を多く作っておいて良かったと心底思った。
宗佑曰く、耀太君には白米と漬物があれば充分だからと俺に料理を控えるよう言われたが、おもてなしは必要だろう。
それにしても、ニコリともしないのは堪える。本当に、白米と漬物だけの方が良かっただろうか?
「耀太。朝食を作ってもらったのだから、ちゃんと感想を言いなさい」
「…………美味い」
宗佑に促されて、耀太君は渋々感想を口にした。良かった、と俺は漬物の瓶と佃煮の入ったタッパーを彼に差し出した。
「こっちに漬物と佃煮があるから、どんどん食べて。おかわりも遠慮なく言ってね」
嬉しくなって勧めるもそれが引き金になったのか、耀太君は茶碗の中のご飯を急いで口へと掻き込んだ。
「なんでこんなにばーちゃん料理が美味いんだよおおお! おかわりぃ!!」
ビシッと俺に向かって空の茶碗を差し出してくる。どうやらとても口に合っているらしい。俺は笑って茶碗を受け取った。
キッチンにある炊飯器の下まで行き、ご飯を一膳より少し多めに盛りつけた。育ち盛りのαだし、これでもきっと足らないくらいだ。そう思いつつも茶碗を持って再び耀太君の前にそれを置くと、彼はクンクンと鼻をひくつかせた。
「どうしたの?」
「なあ、なんかここ、焚いた?」
「たく?」
「クンクン……なんつーか、甘い匂いがする。飯と違う……お香みたいなの。甘すぎて頭がこう、くらーってしそう」
甘い匂いと言われてはて、と首を傾げるもそれが何なのかすぐに見当がついた。
きっと俺と宗佑の行為によって撒き散らしてしまったフェロモンだ。行為の最中は寝室に施錠をして、今も開けっぱなしにはしていない。もちろん、外に繋がる窓はすでに開けて換気をしている。それがまさかリビングにまで届いていたというのか? 番になったのだから、俺のフェロモンはもう他者には影響がないと思っていたのだが……
「え~っと……」
「それより、耀太。お前、学校は?」
俺が言い淀んでいると、鮭を食べていた宗佑がさらりと話題を変えてくれた。すると、耀太君は箸を咥えて「うぐっ」と言葉を詰まらせた。
そうだった。耀太君はまだ十六歳。今日は平日だし、学校はもうとっくに始まっている時間だ。まさか……サボり?
「悪ぶるのもいいが、大概にしておかないと。留年なんてことになれば、いくら私でも庇ってやれないぞ」
「ご、午後から行くよ……」
「そうしなさい」
兄には弱いのか、耀太君は尻尾を垂らした。見ていてすごく微笑ましい。俺達に子供が生まれたら、宗佑は面倒見のいい父親になりそうだ。
俺は宗佑の隣の席に戻るとドーナツ型のクッションに尻を敷き、向かいの耀太君へ学校について尋ねた。
「高校生だよね。何処の学校に通っているの?」
耀太君は味噌汁のお椀を持ちつつ、ぶっきらぼうに答えた。
「奏月だよ。ソーゲツ高校」
「ソーゲツ……ああ! 俺の母校!」
「ブフッ!!」
ポン、と手の平で拳を打つと、耀太君が口に含んだ味噌汁を盛大に吹き出した。
「ど、どうしたの?」
気管支にでも入ったのか、苦しそうに咳き込む姿に心配しつつ声をかけると、耀太君が目を皿のように開いて俺を見た。
「ゲホゲホッ……お前っ、奏月に通っていたのか!?」
「え? う、うん。実家から近かったからいいかなって……」
「はああ!?」
「俺が学校に行っていたの、そんなに変……?」
「いや、そうじゃなくてっ……クソ! なんだよ、Ωがトロいとかなんとかいうの、デマじゃねえかっ!」
ドン! と机を叩く様は何かに対して怒っているようだ。どうして憤る必要があるのか。俺は助けを求めるように宗佑を見た。
その視線に気づいた彼は箸を置くと、俺の頭を優しく撫でながら説明をしてくれた。
「奏月は地元では有名な難関校なんだよ。進学校としても有名で部活動にも力を入れている。そこの弟は試験日に寝坊してギリギリ合格、在籍させてもらっているけれどね」
「すごいね、寝坊して受験に合格するなんて」
奏月は当時の担任の先生が推してくれていた高校だった。その頃の俺はすでに先がどうでもよくなっていたので、家から近いという利点だけでそこを受験した。
進学校ならαもいたことだろう。校内で獣人を見かけることはなかったが、俺がよく見ていなかっただけかもしれない。
そういえば、学校のすぐ近くで獣人のαを見かけたことがあった。牙が見えたからその獣人も狼だろう。帽子を目深に被って顔を隠していた。幼い子供を連れて右往左往する様は見るからに怪しく、最初は不審者だと思い意を決して声をかけたのだが、正体は迷子の子供を拾ってただ困っていただけの良いαだった。この頃は自ら声をかけに行くくらい、獣人が怖くなかったのに、いやはや自分が恨めしい。
しかしそうか。俺と高校が同じなのか。
「ソーゲツってことは……お前、今は大学に行ってんの?」
「進学はしたんだけれどね。もう退学しちゃったんだ」
苦笑すると、耀太君は不服そうに俺に尋ねた。
「なんで辞めたんだよ、大学」
「うん。まあ、かくかく然々で……」
俺が退学した経緯を簡単に明かすと、耀太君の顔が百面相か何かのようにコロコロと変わり、終いには嗚咽を漏らして泣き出してしまった。
「なんっだよ、それっ……! 酷い話じゃねえか!! どうしてお前がっ……うぐっ……!」
「そんなに泣くことかな」
「なんでお前は泣かねーんだよっ! もう俺ん家に来いよっ……! さっさと兄貴と結婚しやがれっ!」
怒っているのか憐れんでいるのか。でも言っていることがいちいち優しい。
嬉しくなって宗佑に微笑むと、宗佑もまた俺に微笑み返した。
ああ、幸せだな。
「ありがとう、耀太君」
「君付けすんなぁぁ!!」
そしてこの時、俺の中ではある一つの奇跡が起きていた。その隣には、パンドラの箱がカタカタと音を鳴らし揺れていた。
起きて早々、宗佑によってまたも薬を飲まされ、強制的に人型になり不貞腐れた顔の耀太さん……いや、耀太君が、ダイニングでもそもそと遅めの朝食を食べ始めた。
「むすぅ」
「ご飯、口に合わないかな?」
箸の動きは止めないものの、全く美味しそうに食べないので、和食はお気に召さなかったかと納豆を練りながら尋ねた。
ちなみに、今朝の献立はもち麦を混ぜた白米に味噌を塗った焼き鮭、だし巻き玉子にキャベツと揚げの味噌汁、里芋とイカの煮物に林檎と枝豆のサラダだ。品数が多いので目で楽しみ、舌で楽しみ、腹を満たすことができる。
耀太君の起床も遅かったが、俺と宗佑も普段より遅めに起きた為、あらかじめ副菜を多く作っておいて良かったと心底思った。
宗佑曰く、耀太君には白米と漬物があれば充分だからと俺に料理を控えるよう言われたが、おもてなしは必要だろう。
それにしても、ニコリともしないのは堪える。本当に、白米と漬物だけの方が良かっただろうか?
「耀太。朝食を作ってもらったのだから、ちゃんと感想を言いなさい」
「…………美味い」
宗佑に促されて、耀太君は渋々感想を口にした。良かった、と俺は漬物の瓶と佃煮の入ったタッパーを彼に差し出した。
「こっちに漬物と佃煮があるから、どんどん食べて。おかわりも遠慮なく言ってね」
嬉しくなって勧めるもそれが引き金になったのか、耀太君は茶碗の中のご飯を急いで口へと掻き込んだ。
「なんでこんなにばーちゃん料理が美味いんだよおおお! おかわりぃ!!」
ビシッと俺に向かって空の茶碗を差し出してくる。どうやらとても口に合っているらしい。俺は笑って茶碗を受け取った。
キッチンにある炊飯器の下まで行き、ご飯を一膳より少し多めに盛りつけた。育ち盛りのαだし、これでもきっと足らないくらいだ。そう思いつつも茶碗を持って再び耀太君の前にそれを置くと、彼はクンクンと鼻をひくつかせた。
「どうしたの?」
「なあ、なんかここ、焚いた?」
「たく?」
「クンクン……なんつーか、甘い匂いがする。飯と違う……お香みたいなの。甘すぎて頭がこう、くらーってしそう」
甘い匂いと言われてはて、と首を傾げるもそれが何なのかすぐに見当がついた。
きっと俺と宗佑の行為によって撒き散らしてしまったフェロモンだ。行為の最中は寝室に施錠をして、今も開けっぱなしにはしていない。もちろん、外に繋がる窓はすでに開けて換気をしている。それがまさかリビングにまで届いていたというのか? 番になったのだから、俺のフェロモンはもう他者には影響がないと思っていたのだが……
「え~っと……」
「それより、耀太。お前、学校は?」
俺が言い淀んでいると、鮭を食べていた宗佑がさらりと話題を変えてくれた。すると、耀太君は箸を咥えて「うぐっ」と言葉を詰まらせた。
そうだった。耀太君はまだ十六歳。今日は平日だし、学校はもうとっくに始まっている時間だ。まさか……サボり?
「悪ぶるのもいいが、大概にしておかないと。留年なんてことになれば、いくら私でも庇ってやれないぞ」
「ご、午後から行くよ……」
「そうしなさい」
兄には弱いのか、耀太君は尻尾を垂らした。見ていてすごく微笑ましい。俺達に子供が生まれたら、宗佑は面倒見のいい父親になりそうだ。
俺は宗佑の隣の席に戻るとドーナツ型のクッションに尻を敷き、向かいの耀太君へ学校について尋ねた。
「高校生だよね。何処の学校に通っているの?」
耀太君は味噌汁のお椀を持ちつつ、ぶっきらぼうに答えた。
「奏月だよ。ソーゲツ高校」
「ソーゲツ……ああ! 俺の母校!」
「ブフッ!!」
ポン、と手の平で拳を打つと、耀太君が口に含んだ味噌汁を盛大に吹き出した。
「ど、どうしたの?」
気管支にでも入ったのか、苦しそうに咳き込む姿に心配しつつ声をかけると、耀太君が目を皿のように開いて俺を見た。
「ゲホゲホッ……お前っ、奏月に通っていたのか!?」
「え? う、うん。実家から近かったからいいかなって……」
「はああ!?」
「俺が学校に行っていたの、そんなに変……?」
「いや、そうじゃなくてっ……クソ! なんだよ、Ωがトロいとかなんとかいうの、デマじゃねえかっ!」
ドン! と机を叩く様は何かに対して怒っているようだ。どうして憤る必要があるのか。俺は助けを求めるように宗佑を見た。
その視線に気づいた彼は箸を置くと、俺の頭を優しく撫でながら説明をしてくれた。
「奏月は地元では有名な難関校なんだよ。進学校としても有名で部活動にも力を入れている。そこの弟は試験日に寝坊してギリギリ合格、在籍させてもらっているけれどね」
「すごいね、寝坊して受験に合格するなんて」
奏月は当時の担任の先生が推してくれていた高校だった。その頃の俺はすでに先がどうでもよくなっていたので、家から近いという利点だけでそこを受験した。
進学校ならαもいたことだろう。校内で獣人を見かけることはなかったが、俺がよく見ていなかっただけかもしれない。
そういえば、学校のすぐ近くで獣人のαを見かけたことがあった。牙が見えたからその獣人も狼だろう。帽子を目深に被って顔を隠していた。幼い子供を連れて右往左往する様は見るからに怪しく、最初は不審者だと思い意を決して声をかけたのだが、正体は迷子の子供を拾ってただ困っていただけの良いαだった。この頃は自ら声をかけに行くくらい、獣人が怖くなかったのに、いやはや自分が恨めしい。
しかしそうか。俺と高校が同じなのか。
「ソーゲツってことは……お前、今は大学に行ってんの?」
「進学はしたんだけれどね。もう退学しちゃったんだ」
苦笑すると、耀太君は不服そうに俺に尋ねた。
「なんで辞めたんだよ、大学」
「うん。まあ、かくかく然々で……」
俺が退学した経緯を簡単に明かすと、耀太君の顔が百面相か何かのようにコロコロと変わり、終いには嗚咽を漏らして泣き出してしまった。
「なんっだよ、それっ……! 酷い話じゃねえか!! どうしてお前がっ……うぐっ……!」
「そんなに泣くことかな」
「なんでお前は泣かねーんだよっ! もう俺ん家に来いよっ……! さっさと兄貴と結婚しやがれっ!」
怒っているのか憐れんでいるのか。でも言っていることがいちいち優しい。
嬉しくなって宗佑に微笑むと、宗佑もまた俺に微笑み返した。
ああ、幸せだな。
「ありがとう、耀太君」
「君付けすんなぁぁ!!」
そしてこの時、俺の中ではある一つの奇跡が起きていた。その隣には、パンドラの箱がカタカタと音を鳴らし揺れていた。
2
お気に入りに追加
251
あなたにおすすめの小説
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました
海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。
しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。
偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。
御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。
これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。
【続編】
「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785
すべてはあなたを守るため
高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです
見鬼の女官は烏の妻となる
白鷺雨月
キャラ文芸
皇帝暗殺の罪で投獄された李明鈴。失意の中、処刑を待つ彼女のもとに美貌の宦官があらわれる。
宦官の名は烏次元といった。
濡れ烏の羽のような黒髪を持つ美しき青年は明鈴に我妻となれば牢からだしてやろうと提案する。
死から逃れるため、明鈴は男性としての機能を捨て去った宦官の妻となることを決意する。
【完結】僕の大事な魔王様
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。
「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」
魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。
俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/11……完結
2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位
2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位
2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位
2023/09/21……連載開始
【完結】壊された女神の箱庭ー姫と呼ばれていきなり異世界に連れ去られましたー
秋空花林
BL
「やっと見つけたましたよ。私の姫」
暗闇でよく見えない中、ふに、と柔らかい何かが太陽の口を塞いだ。
この至近距離。
え?俺、今こいつにキスされてるの?
「うわぁぁぁ!何すんだ、この野郎!」
太陽(男)はドンと思いきり相手(男)を突き飛ばした。
「うわぁぁぁー!落ちるー!」
「姫!私の手を掴んで!」
「誰が掴むかよ!この変態!」
このままだと死んじゃう!誰か助けて!
***
男とはぐれて辿り着いた場所は瘴気が蔓延し滅びに向かっている異世界だった。しかも女神の怒りを買って女性が激減した世界。
俺、男なのに…。姫なんて…。
人違いが過ぎるよ!
元の世界に帰る為、謎の男を探す太陽。その中で少年は自分の運命に巡り合うー。
《全七章構成》最終話まで執筆済。投稿ペースはまったりです。
※注意※固定CPですが、それ以外のキャラとの絡みも出て来ます。
※ムーンライトノベルズ様でも公開中です。第四章からこちらが先行公開になります。
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる