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番外編【お正月編 海side】

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 ……という理由から。

「かいさんのばか~。けちんぼ~。にほんしゅ~」

 まだなお足りないとキス(いや、酒か)を強請ってくる柳に、今の今まで好きにさせていたのだ。どちらかといえばオレの方が押し倒されていた身だった。キスをしている間はオレの口の中の酒が味わえると、かつてないほど柳は積極的だった。

 今はオレの下でバタバタと手足をばたつかせているが、酒をしこたま飲んだ彼は力が入らないせいでオレに良いようにされていることにまるで気づいていない。着せ替え人形よろしく衣類を次々と剥がされる。

 だが、力が入らないなりに、彼はなぜか衣類を剥がされることを拒んでいて……。

「……! ああ。ふふっ。これはすみませんでした」

「ふぇっ……、や、やぁっ……!」

 素っ裸にしたとろでようやく気付いたオレも馬鹿だった。なぜ、柳が酒だ酒だと訴え、欲しがっていたのか。酔っ払いは酔っ払いに違いない。確かにそうなのだが、柳は……

「これを隠そうとしてたのか……馬鹿だな、お前」

「う、うやあぁぁ……!」

 男としては健全な、そしてこの子にとっては珍しい生理現象。

 酔っていたとはいえ、散々オレに絡んでいたのだ。そうなってもおかしくはない。

 それがたとえオレを、夫として見ていなくとも、だ。

「……っ、あっ……っ、んっ!」

 身体の中心で昂ぶりを見せる彼の先に指を宛がうと、涙を滲ませながら必死に声を殺して身体を震わせる。そんな健気な様が、庇護欲とともに嗜虐心をも刺激した。

 なぜだろう。楽にしてやりたいのに……苛めたくなる。

「柳」

「っ、……?」

「お前は何の味がするの? ビール? 焼酎? チューハイ? ブランデー?」

「え……? え?」

「オレも酒は好きなんだ。次はオレに飲ませてくれたっていいだろう?」

 酔った勢いで、とは考えなかったし。また、それで済ますつもりもなかった。

 理性は保つことができた。こんな子ども相手に箍が外れることはない。

 それでも、他の子ども相手には決してしないようないたずらも、この幼き妻にはついついしてしまう。

「ぁっ、ぅんあ……やっ、あぁっ……」

 体中の至るところに吸いつくという愛撫だけで、こんなにもいちいち敏感に反応してみせるのは、酒のせいなのか。それとも元からなのか。

 テラテラと溢れる蜜を擽りながら、薄い桜色の胸の突起をちろちろと舐めあげる。嫌だ嫌だと首を横に振ってはいるが、漏れる吐息は次第に甘みを帯びていった。

「柳。気持ちいい?」

「ぁっ、だ……やぁっ、んっ……」

「じゃあ、ここは?」

「……っ! だ、めっ……!」

 反り立つソレを上下に扱いてやると、すぐに限界だと音を上げ始めた。

「早いな。もう?」

「やっ、ぁ……ぁ、……あぁっ……!」

 彼はあっけなく達してしまった。

 自分一人じゃろくに処理もできないような子だ。この一度きりだけで、そのまま意識を手放した。

 そしてすやすやと安らかな寝息を立て始める。もう? とは思わない。彼にとってはようやく、だ。

 あどけない寝顔。

 普段と同様の子どもの顔。

「すぅ……。すぅ……、にゅっく……」

「クッ……変なしゃっくり」

 思わず笑ってしまう。

 変な子ども。

 面白いオレの奥さん。

 普通の少年。

 けれど、オレを笑わせることができる唯一の人間。

「……柳」

「むにゃぁ」

 オレの声掛けに微笑む彼。

 何も知らない、真っ白な彼。

 この子の前髪を撫でながら、オレはある男の顔を思い出す。思い出したところで、何もありはしないのだが。

 柳がこのまま、無邪気な笑顔を見せてくれるのなら、何もかもがどうでもいい。

 お前がたとえ、オレを見ていなくとも。

 オレは一生を約束した。だから。

「日の出はまた来年だな」

「……ん、ぅ……はぁいぃ……」

 約束した。今度こそ。

「守るから……」

 絶対、だ。




 END.

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