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7歳
お爺様(大海side)
しおりを挟む「大海。学校でお友達は出来たか?」
その声に顔を上げると長い足を組んでこっちを見ているお爺様が居た。
……いつの間に?全く気づかなかった。本に集中しすぎたな。
読んでいた本を閉じ、目の前の机に置く。
友達…か。話をする人は何人か居る。それは友人には入らないのだろう上辺だけの関係だからだ。
大体は家のために仲良くしているだけで本当に仲の良い人は居ない。
「はい。とても楽しいです。」
こうして僕は嘘をつく
別にお爺様が嫌いな訳では無い。
必要な嘘はつく。
だって説教されるのはめんどくさいし
小さな頃から大人の嫌なところまで見てきて大人に信じれなくなった。良い人もいるがみんなお金が絡むと別人になる。
そんな訳でこんなひねくれた子供が出来てしまった訳だ。
「そうか、それは良かった。大海、有栖川家は知っているな?」
「はい。もちろんです。」
僕の周りで知らない人は少ないだろう。
学校でもご令嬢やご子息が騒がれているのをよく見る。
「再来週から有栖川家の末のご子息に勉強を教えることになったんだ。小学校に行くお年なのだが病弱で学校へは行けないらしい。」
有栖川家が可愛がっている末っ子が居るのは知っていた。公の場で1度も見ていない謎に包まれている子。
今年が初等部に入る年齢だったのか…
「なぜお爺様が勉強を?」
お爺様は会社を1から初めて大企業までのし上げた人でこんな贅沢な暮らしを出来ているのもこの人のおかげだ。
そんな人が有名企業のご子息相手であれわざわざ家へ出向いて教師をする理由が分からない。
「会社もお前の父親に任せているしそろそろ自分のしたいことをしようかと思ってね。」
「……はあ」
教師がしたいこと…?
「10年前会社を譲った後小学校の教員免許の勉強をコツコツしていたんだ。会社を作る前は国語の教師をしたかったからね。実習に行ったり色々して半年前やっと受かったんだよ。大変だったけど楽しかったよ」
お爺様が実習?!教員免許?!
なんか色々とついていけない……
「それでたまに友人の子供に教えていたんだけどそれが思ったより評判でね、有栖川家に息子の国語の教師になってくれと頼まれたんだ。週3でこっちで曜日も決めさせてもらったし、この所することもなかったしやってみることにしたんだ。楽しみだよ」
楽しみならいいんだけど
「再来週の土曜日に有栖川家に行くんだけど大海も行かないか?教えるご子息がお友達がいないらしく、歳が近い大海もどうかと誘われたんだ。」
付き合いだけでもめんどくさいのに格が上の子と友達になるのは尚更面倒だ。
「せっかくですが、僕は「本」」
「あの本やっと見つけたぞ」
「ほ、ほんとですか?!」
ずっとずっと探していた今は販売停止になっているずっと気になっていたシリーズの最終巻。その本のためなら友達なんていくらでもなる!
「是非!僕もご一緒させていただきます!」
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