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第一章 本当に当たる占い師
第六話 過去の事件
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昭和40年連続少女誘拐事件。この事件が、最近都内各地で頻発している連続ひったくり事件の原因となっていた。
この事件は、昭和60年3月20日にJR北千住駅前で小学5年生の加藤恵美子さん(当時11歳)が誘拐されたことに始まる合計8件の連続誘拐事件である。
犯人からの身代金やその他の要求はなく、始めの頃はただの疾走事件かとも思われた。
しかし反抗現場が繁華街を中心に起こっていること、現場には必ず右足の靴が残されていた事などの共通点から連続誘拐事件として操作が始まった。
警視庁、所轄一丸となって操作がされたがここの事件における初動捜査の遅れによって操作活動は難航。
事件の方も、同年12月2日の誘拐を最後にそれ以降の事件発生はなく、操作規模は縮小後に操作終了となった。
刑事、民事共に時効を迎え、現在では法律による裁きを受けられない未解決事件である。
「河野さん。今から僕の言うことをしっかりと聞いて、覚えてください。メモしても構いません。」
僕は机を挟んで反対側のイスに座っている河野刑事に言った。
「あぁ。分かった。」
「この連続ひったくり事件は、約30年前に起こった、昭和60年連続少女誘拐事件と関係があると考えられます。」
「なぜだ?なんでそんな昔の事件と関係するんだ?」
僕はホワイトボードに2つの地図を貼った。一つは、今回の事件の発生現場を記したもので、もう一つは30年前の事件の発生現場を記したものだ。
「これを見てください。ひったくり事件の最初、押上付近以外の場所はすべて連続誘拐事件の発生場所と一致しています。」
「でも、なんで一箇所目はずれてるんだよ。おかしくないか?」
河野刑事にそう言われて、僕は新たにもう一枚の地図を貼った。
「これは、巷で噂の占い師が現れた場所を示しています。何かわかりませんか?」
「あ!ひったくり事件とは完全に一致しているし、誘拐事件とは2件目から一致している。でも、なんで一件目をずらしたんだ?」
「知名度だと思います。人の多いところでやれば、きっと話題になると考えたのでしょう。」
あぁ~そうかぁ。と河野刑事は納得してくれたようだ。
「赤田くん!確認取れた。逮捕された佐藤は、第一の被害者加藤恵美子の甥に当たる。」
そう言って息を切らしながら波多野刑事が入ってきた。河野刑事に説明する前に話を通してあったのだ。
「ありがとうございました。波多野刑事。これで、この連続ひったくり事件の首謀者と、次の発生現場がわかりました。」
「どこだ?どこに出るんだ?」
「犯人は、第一の被害者加藤恵美子さんのお母様で、被害者の会代表の加藤千恵子さん。場所は代々木公園です。」
「よし。赤髪ありがとう。波多野!行くぞ!」
「おう!」
二人が現場に向かおうとしたので、僕はそれを慌てて止めた。
「待ってください。僕も行きます。」
「でも危険かもしれないぞ?」
「大丈夫です。それから、もう一つお話したいことがあります。」
この事件は、昭和60年3月20日にJR北千住駅前で小学5年生の加藤恵美子さん(当時11歳)が誘拐されたことに始まる合計8件の連続誘拐事件である。
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しかし反抗現場が繁華街を中心に起こっていること、現場には必ず右足の靴が残されていた事などの共通点から連続誘拐事件として操作が始まった。
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「河野さん。今から僕の言うことをしっかりと聞いて、覚えてください。メモしても構いません。」
僕は机を挟んで反対側のイスに座っている河野刑事に言った。
「あぁ。分かった。」
「この連続ひったくり事件は、約30年前に起こった、昭和60年連続少女誘拐事件と関係があると考えられます。」
「なぜだ?なんでそんな昔の事件と関係するんだ?」
僕はホワイトボードに2つの地図を貼った。一つは、今回の事件の発生現場を記したもので、もう一つは30年前の事件の発生現場を記したものだ。
「これを見てください。ひったくり事件の最初、押上付近以外の場所はすべて連続誘拐事件の発生場所と一致しています。」
「でも、なんで一箇所目はずれてるんだよ。おかしくないか?」
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「これは、巷で噂の占い師が現れた場所を示しています。何かわかりませんか?」
「あ!ひったくり事件とは完全に一致しているし、誘拐事件とは2件目から一致している。でも、なんで一件目をずらしたんだ?」
「知名度だと思います。人の多いところでやれば、きっと話題になると考えたのでしょう。」
あぁ~そうかぁ。と河野刑事は納得してくれたようだ。
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そう言って息を切らしながら波多野刑事が入ってきた。河野刑事に説明する前に話を通してあったのだ。
「ありがとうございました。波多野刑事。これで、この連続ひったくり事件の首謀者と、次の発生現場がわかりました。」
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「犯人は、第一の被害者加藤恵美子さんのお母様で、被害者の会代表の加藤千恵子さん。場所は代々木公園です。」
「よし。赤髪ありがとう。波多野!行くぞ!」
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