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ダークエルフの帰還
マルク流ドラゴンステーキ
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村人が用意してくれた大ぶりの入れものにドラゴンの切り身を並べていく。
レッドドラゴンの外皮は赤色だったが、肉自体は白みがかっている。
この状態では臭みが気になることはないものの、口に入れた時に臭くては食べられたものではない。
下味として塩をしっかりとまぶしてから、香辛料とおばさんおすすめの野草を振りかける。
存在感のあるいかにもハーブといった香りから、ローズマリーに近い種類だと判断した。
「マルクさん、火の準備は整ってます。いつでもどうぞ!」
「ありがとうございます。早速、焼きましょうか」
村人の協力を得ながら、調味された切り身の入った入れものを運ぶ。
焼き台に近づくと横長の網の下に十分な火力があり、なかなかに壮観な眺めだった。
「これから焼いていきます。焼き上がったら皿に置くので、食べられる人はどんどん食べてください。あと、たくさん用意があるので遠慮なさらず」
残骸の回収に当たる村人以外はほとんど広場に来ているようで、十数人の人たちが集まっている。
娯楽が少ないこともあり、ドラゴンの肉というのに興味を引かれているのだろう。
ちなみにラーニャも食への関心が高いようで、無言で調理過程を眺めていた。
用意されたトングを使って、どんどん切り身を乗せていく。
筋肉質で脂肪が少ないため、網の上に乗ってもそこまで脂は垂れなかった。
冒険者仲間でヘビを食べる者がいて、おすそ分けしてもらったことがあるが、実際に焼いてみると似たような印象を受ける。
「……ドラゴン=は虫類の仲間なのか」
地球上に翼が生えて炎を吐く種類はいないため、正確なことは分からない。
あえて分類するのならば、は虫類が一番近い気もする。
順番に並べるうちに乗りきらなくなった。
まだまだ残りがあるので、第一陣が焼けた後に乗せるとしよう。
トング片手に焼き加減を見ながら、焼き上がるのを待つ。
牛焼肉なら火の通りが甘くても大丈夫なこともあるが、今回は野生生物かつドラゴンのため、生焼けは避けなければならない。
しっかりと火が通った部分を味見すると、脂肪分の少ない鳥肉のような味がした。
「ほほう、これは美味しそうだね」
「お先に入らせて頂きました」
蒸し風呂から上がったリリアとクリストフが戻ってきたようだ。
二人ともさっぱりした顔をしており、少しうらやましい気持ちになる。
「もう少しで焼けますよ。あと、風呂上がりに煙を浴びると匂いがついちゃいませんか?」
「それなら構わないさ。また入ればいいだけだからね」
「ここに来る途中、二人でいい匂いがすると話していました。たくさん動いてお腹が空いてしまったものですから」
リリアがはにかむような笑みを浮かべた。
実際に焼いている俺からすれば普通の匂いに感じるが、焼肉屋の営業で肉の焼ける匂いに慣れてしまったのかもしれない。
彼女とクリストフがこうした料理に慣れていなければ、新鮮に感じられて匂いも美味しそうに感じるのだろう。
「蒸し風呂はいかがでしたか? ドラゴン討伐の立役者の皆さんが先に召し上がってください。わしと村の者たちはその後で構いません」
「いやー、なんだか悪いね」
「クリストフさん、すごく食べたそうな顔してますよ」
「ははっ、顔に出ていたか」
「そろそろ焼けるので、村の人が用意してくれた席に座ってください」
そう伝えるとリリアとクリストフは広場の一角に用意された椅子に移動した。
木製の長いテーブルが置かれており、大人数で食べられるようになっている。
「……さてと、これで完成だな」
確実に火が通ったのを確認して、二人前を皿に乗せる。
美味しそうな焼き目がつき、見た目は白身魚と鳥肉を足して半分にしたような雰囲気だ。
何も言わずに出されたら、ドラゴンの肉とは分からないだろう。
俺は二枚の皿を手にして、リリアとクリストフの席へ運んだ。
「焼きたてのドラゴンステーキです。熱いので気をつけて食べてください」
「おおっ、とてもいい匂い」
「マルク殿、見事な腕前です」
「見た目はよくできたんですけど、味は分かりませんよ」
「これで味が悪いはずがないよ」
クリストフはこれ以上我慢できないといった様子で、ナイフとフォークを手に取った。
洗練された動きでステーキを切り分けてから、フォークで刺して口に運んだ。
「最高の味だ! シェフを呼んでくれ……ってマルクくんだったね」
「そんなに美味しいのですか?」
リリアもクリストフに続いて、ドラゴンステーキを切り分ける。
彼女もテーブルマナーが身についているようで、無駄のない上品な動きだった。
「……さっぱりした中にも濃厚な風味。こんな味は初めてです」
ステーキを口に含んだリリアは目を見開いていた。
とても驚いた様子で口の辺りに手を置いて、もぐもぐと咀嚼している。
「これならば十枚でも二十枚でも食べられそうです」
「まだまだたくさんあるので、どんどんおかわりしてください」
「さあさあ、せっかくだし村の人たちも食べて」
クリストフが陽気な声で呼びかけた。
その声に合わせるように手の空いた人から順番に座っていく。
「この後も肉が運ばれてくるので、遠慮せずに食べてください」
俺は村の人と協力しながら、焼き上がったドラゴンの肉を出していった。
レッドドラゴンの外皮は赤色だったが、肉自体は白みがかっている。
この状態では臭みが気になることはないものの、口に入れた時に臭くては食べられたものではない。
下味として塩をしっかりとまぶしてから、香辛料とおばさんおすすめの野草を振りかける。
存在感のあるいかにもハーブといった香りから、ローズマリーに近い種類だと判断した。
「マルクさん、火の準備は整ってます。いつでもどうぞ!」
「ありがとうございます。早速、焼きましょうか」
村人の協力を得ながら、調味された切り身の入った入れものを運ぶ。
焼き台に近づくと横長の網の下に十分な火力があり、なかなかに壮観な眺めだった。
「これから焼いていきます。焼き上がったら皿に置くので、食べられる人はどんどん食べてください。あと、たくさん用意があるので遠慮なさらず」
残骸の回収に当たる村人以外はほとんど広場に来ているようで、十数人の人たちが集まっている。
娯楽が少ないこともあり、ドラゴンの肉というのに興味を引かれているのだろう。
ちなみにラーニャも食への関心が高いようで、無言で調理過程を眺めていた。
用意されたトングを使って、どんどん切り身を乗せていく。
筋肉質で脂肪が少ないため、網の上に乗ってもそこまで脂は垂れなかった。
冒険者仲間でヘビを食べる者がいて、おすそ分けしてもらったことがあるが、実際に焼いてみると似たような印象を受ける。
「……ドラゴン=は虫類の仲間なのか」
地球上に翼が生えて炎を吐く種類はいないため、正確なことは分からない。
あえて分類するのならば、は虫類が一番近い気もする。
順番に並べるうちに乗りきらなくなった。
まだまだ残りがあるので、第一陣が焼けた後に乗せるとしよう。
トング片手に焼き加減を見ながら、焼き上がるのを待つ。
牛焼肉なら火の通りが甘くても大丈夫なこともあるが、今回は野生生物かつドラゴンのため、生焼けは避けなければならない。
しっかりと火が通った部分を味見すると、脂肪分の少ない鳥肉のような味がした。
「ほほう、これは美味しそうだね」
「お先に入らせて頂きました」
蒸し風呂から上がったリリアとクリストフが戻ってきたようだ。
二人ともさっぱりした顔をしており、少しうらやましい気持ちになる。
「もう少しで焼けますよ。あと、風呂上がりに煙を浴びると匂いがついちゃいませんか?」
「それなら構わないさ。また入ればいいだけだからね」
「ここに来る途中、二人でいい匂いがすると話していました。たくさん動いてお腹が空いてしまったものですから」
リリアがはにかむような笑みを浮かべた。
実際に焼いている俺からすれば普通の匂いに感じるが、焼肉屋の営業で肉の焼ける匂いに慣れてしまったのかもしれない。
彼女とクリストフがこうした料理に慣れていなければ、新鮮に感じられて匂いも美味しそうに感じるのだろう。
「蒸し風呂はいかがでしたか? ドラゴン討伐の立役者の皆さんが先に召し上がってください。わしと村の者たちはその後で構いません」
「いやー、なんだか悪いね」
「クリストフさん、すごく食べたそうな顔してますよ」
「ははっ、顔に出ていたか」
「そろそろ焼けるので、村の人が用意してくれた席に座ってください」
そう伝えるとリリアとクリストフは広場の一角に用意された椅子に移動した。
木製の長いテーブルが置かれており、大人数で食べられるようになっている。
「……さてと、これで完成だな」
確実に火が通ったのを確認して、二人前を皿に乗せる。
美味しそうな焼き目がつき、見た目は白身魚と鳥肉を足して半分にしたような雰囲気だ。
何も言わずに出されたら、ドラゴンの肉とは分からないだろう。
俺は二枚の皿を手にして、リリアとクリストフの席へ運んだ。
「焼きたてのドラゴンステーキです。熱いので気をつけて食べてください」
「おおっ、とてもいい匂い」
「マルク殿、見事な腕前です」
「見た目はよくできたんですけど、味は分かりませんよ」
「これで味が悪いはずがないよ」
クリストフはこれ以上我慢できないといった様子で、ナイフとフォークを手に取った。
洗練された動きでステーキを切り分けてから、フォークで刺して口に運んだ。
「最高の味だ! シェフを呼んでくれ……ってマルクくんだったね」
「そんなに美味しいのですか?」
リリアもクリストフに続いて、ドラゴンステーキを切り分ける。
彼女もテーブルマナーが身についているようで、無駄のない上品な動きだった。
「……さっぱりした中にも濃厚な風味。こんな味は初めてです」
ステーキを口に含んだリリアは目を見開いていた。
とても驚いた様子で口の辺りに手を置いて、もぐもぐと咀嚼している。
「これならば十枚でも二十枚でも食べられそうです」
「まだまだたくさんあるので、どんどんおかわりしてください」
「さあさあ、せっかくだし村の人たちも食べて」
クリストフが陽気な声で呼びかけた。
その声に合わせるように手の空いた人から順番に座っていく。
「この後も肉が運ばれてくるので、遠慮せずに食べてください」
俺は村の人と協力しながら、焼き上がったドラゴンの肉を出していった。
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