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06 なんかよくわかんないけど……、楽しそうだね?

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 ~ ぷううぅぅ

 高い壁に囲まれた細長い小道から、間の抜けた高音が鳴る。
 その小道には、道を埋め尽くすほどの女性達がおり、道の突き当りには、一人の少年がいた。
 その少年は、なにやら言葉を発っしているが、大勢の女性達の声によってかき消されてしまっているようで、何を言っているのかあは分からない。
 だが、その表情ははっきりと、苦しみを訴えていた。
 そして、その苦しみの正体というのが――、

 ~ ぶっ……ぶうぅぅ

 小道に、低音が鳴り響く。
 その――オナラの音は、少年の目の前にいる綺麗なロングヘアーの少女が発した音だった。
 赤い髪の少女はオナラを手に握ると、

「ごめんね。ちょっと臭いのが、でちゃったかも」

 そう言いつつも、少女はグーに握った手――オナラの掴んでいる手を少年の鼻先へともっていくと、少し開き、ガスを散らさないよう、少年の鼻を、手のひらの中に閉じ込めてしまう。
 普通の握りっ屁よりも、さらに悪質な形であり、その場では――基本の形式となっていた。
 濁った空気は少年鼻の周辺に滞留し続け、吸い込まれるのを、今か今かと待ちつづけているようである。
 しかし、吸い込みたくなければ、逃げればいいのだ。

 まあ――逃げられればの話だが。

 少年の体は、毒と臭いのせいで、自由に動かすことができず、逃げようにも、足は竦んでしまっている。
 逃げるという段階は、もうどうしようもないほどに、終わってしまってるのだった。
 無理もない。
 少年から見れば、数百人ほどの人数に迫られているのだから。
 だが、少年はまだ知らなかった――その全体の数を。
 少年の噂は、すでに街の隅まで届いており、どういうわけか、少年を一目見ようと――あわよくば、腹に溜まっているどす黒いものを嗅いで貰いたいと、街のいたるところから、集まってきているのだった。
 つまり、その全体の人口は――数百人どころの騒ぎではないのである。
 と、先ほどのガスを一嗅ぎしてしまった少年の頭がぐらりと揺れた。
 そして、苦しそうになにやら声を発しているようだが、その声は弱弱しく、場にいる誰の耳にも届いていない。

「ちゃんと嗅いでくれて、ありがとうね」

 赤い髪の少女は少年の反応に満足すると、後ろに並ぶ少女と入れ替わるようにして、列の中へと消えていった。そして、今度は入れ替わった少女が――、

 ~ ブッ、ビビッ

 小道にオナラの音が響き、少年の鼻へと臭いが届けられ、 その後も同じように――、

 ~ ぼぶぅ

 人が次々と入れ替わっていく――。

 ~ ブップゥ

 ――。

 ~ ぶっ

 ――。

 ~ ブウゥゥッ

 そうして、数人が入れ替わった頃――、

「っていうか、何でこんな場所でやってるの? ここ、ちょっと狭いし、もう少し広い場所でやらない?」

 そんな少女の言葉をきっかけに、場所を変わることになり、少年の体は数人に軽々と運ばれ、広場の方へと移動することになった。
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