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「はあっ……はあぁっ……」
石畳の道を、少年が息を切らし、全力疾走していく。
長くも短くも無い黒髪はぼさっとしており、服装は、パーカーにデニム。
見知った街を散歩するような、ラフな格好だ。
しかし、その視線はきょろきょろとしており、道がわかっていない様子である。
表情には、緊張が滲んでおり、時折背後を気にする様は、まるで何かから逃げているようだ。
「なんで……こんな」
少年の声に震えが混じる。
額には、大粒の汗が浮かんでおり、切羽詰った表情で、横道へと入ってく。
「つーか……まじで……どこなんだよ、ここ」
少年ぶつぶつ言いながらも、必死で足を動かし、横道を探しては、適当に入っていった――それがいけなかった。
物事を冷静に判断せず、行き当たりばったりに行動した結果、少年はついに――、
「……は?」
少年の進んだ先には、四、五メートルほどの高い壁があった。
左右も然り、少年を背の高い壁が囲んでいる。
残された道は背後だけであり、少年は行き止まりに来てしまったのである。
「……嘘だろ」
呆然とする少年。
と――その背後から、
「――ひっ!」
足音が聞こえ、それに反応するように、少年の肩が震えた。
その音は、一人分、二人分――と、少しずつ数を増やしていく。
「……なんで」
足音の正体を理解し、少年は疑問に表情を歪める。
その正体は、決して恐いものではない。
だが、少年は本能的に、危機感をおぼえていたのだった。
「いや、おかしいだろう」
少年は現状のおかしさに、笑いが込み上げてくる。
追いかけられる理由が、思い当たらない。
追いかけて“もらう”ような要素なんて、何一つ無いのだ。
思い過ごしなんかではない。それを、十数年、自分という人生を生きてきたからこそ、はっきりとわかる。
いや、自分でなくても、おかしい。
何故なら――。
石畳の道を、少年が息を切らし、全力疾走していく。
長くも短くも無い黒髪はぼさっとしており、服装は、パーカーにデニム。
見知った街を散歩するような、ラフな格好だ。
しかし、その視線はきょろきょろとしており、道がわかっていない様子である。
表情には、緊張が滲んでおり、時折背後を気にする様は、まるで何かから逃げているようだ。
「なんで……こんな」
少年の声に震えが混じる。
額には、大粒の汗が浮かんでおり、切羽詰った表情で、横道へと入ってく。
「つーか……まじで……どこなんだよ、ここ」
少年ぶつぶつ言いながらも、必死で足を動かし、横道を探しては、適当に入っていった――それがいけなかった。
物事を冷静に判断せず、行き当たりばったりに行動した結果、少年はついに――、
「……は?」
少年の進んだ先には、四、五メートルほどの高い壁があった。
左右も然り、少年を背の高い壁が囲んでいる。
残された道は背後だけであり、少年は行き止まりに来てしまったのである。
「……嘘だろ」
呆然とする少年。
と――その背後から、
「――ひっ!」
足音が聞こえ、それに反応するように、少年の肩が震えた。
その音は、一人分、二人分――と、少しずつ数を増やしていく。
「……なんで」
足音の正体を理解し、少年は疑問に表情を歪める。
その正体は、決して恐いものではない。
だが、少年は本能的に、危機感をおぼえていたのだった。
「いや、おかしいだろう」
少年は現状のおかしさに、笑いが込み上げてくる。
追いかけられる理由が、思い当たらない。
追いかけて“もらう”ような要素なんて、何一つ無いのだ。
思い過ごしなんかではない。それを、十数年、自分という人生を生きてきたからこそ、はっきりとわかる。
いや、自分でなくても、おかしい。
何故なら――。
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