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二 元上司
二 元上司 九
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帰りたい。もう既に帰りたいです。
和やかに私にも明美ちゃんにも話しかけてくれる有沢さんのおかげで、和気あいあいとしてるし、明美ちゃんののんびりした可愛い声で笑われると、ほのぼのしちゃうけど。
部長が睨んでくるんです~~!
珈琲と煙草を交互に飲んだり食べたり。
美味しいのかな?
「みなみ、来い」
「!?」
血液型診断で盛り上がっていた二人が、橘部長を凝視する。
「俺はお前、有沢はそっちに話があるんだから席、隣に来い」
ポンポンと自分の席の隣を叩きながら、淡々とそう言う。
これが仕事ならば喜んで隣で勉強したけど、何を考えているのか分からないからちょっと嫌です。
私が固まっていると、明美先生が可愛く首を傾げて私たちを交互に見た。
「えっと、橘さんはみなみ先生狙いだったんですね~」
「ちがっ ちがうの! 橘ぶちょ……」
私が言い終わる前に有沢さんが立ちあがり、私にウインクする。
「橘さんは俺の教育係だったんだけど、俺が大分に転勤と入れ替わりでみなみちゃんが就職して橘さんが教育係に着いたんだよ。ややこしいでしょ?」
「えー! じゃあ、みなみ先生の上司だった人なんですね~。通りでみなみ先生が緊張してると思った~」
呑気にそうクスクス笑う明美ちゃんが憎らしい……。
「明美ちゃんこそ合コン初めてなのに、なんで私より緊張してないの!」
「えっ それは~」
ちらっと有沢さんを上目づかいで見つめると、有沢さんは爽やかに笑う。
「――合コンが初めてとか初々しくて可愛いね」
「そそ、そんなこと」
真っ赤な明美ちゃんの恋をはらはら見守りつつ、勇気を出して隣に座る。
「よお。びっくりした?」
「何にですか? 部長が福岡から来てからびっくりしてばっかりです」
そう言うとククっと楽しそうに笑われた。
「――運命かと思ったって言ったら笑う?」
「へ?」
い、今なんて?
聞き間違い?
「可愛がってた後輩が、勝手に婚約して辞めたかと思ったら、実は俺の実家の近くで働いてるなんて、運命と思って嬉しかったんだよ」
そう言うと、珈琲を飲み干すのだけど、
あんな鬼の部長が、そんな言葉を口に出すとは思ってなかったからどんな言葉を言えば良いのか分からずおろおろしてしまう。
「あんな、真は俺の子じゃなくて、今は実家の親父たちが養子として育ててるから」
「??」
「実はさ、あり」
「此方、サービスの『どっきどっきどっきり苺パフェになります!!』
会話を遮るように、ガツンと乱暴に置かれたのは、四人分は余裕でありそうな巨大パフェ。
それを乱暴に置いたのは、バーテンダー姿の――侑哉だ。
めっちゃ睨みつけてくる侑哉だ。
なんでバーデンダ―の格好してるの?
なんで睨んで来てるの??
私に無言のアピール?
横に視線をずらしたら、部長が私を見て面白そうに笑っている。
「お前の弟、めっちゃシスコンだな」
「ちがっ」
「侑哉くん?」
明美先生が侑哉の顔を見て、目を丸くする。
「やーん。侑哉くんだ! 同じ高校だった侑哉くん!わー懐かしい!」
「あ、明美……」
侑哉も今気付いたのか、驚いた顔をした後、甘く微笑んだ。
私たちを置いてけぼりにするような、二人だけの顔で。
和やかに私にも明美ちゃんにも話しかけてくれる有沢さんのおかげで、和気あいあいとしてるし、明美ちゃんののんびりした可愛い声で笑われると、ほのぼのしちゃうけど。
部長が睨んでくるんです~~!
珈琲と煙草を交互に飲んだり食べたり。
美味しいのかな?
「みなみ、来い」
「!?」
血液型診断で盛り上がっていた二人が、橘部長を凝視する。
「俺はお前、有沢はそっちに話があるんだから席、隣に来い」
ポンポンと自分の席の隣を叩きながら、淡々とそう言う。
これが仕事ならば喜んで隣で勉強したけど、何を考えているのか分からないからちょっと嫌です。
私が固まっていると、明美先生が可愛く首を傾げて私たちを交互に見た。
「えっと、橘さんはみなみ先生狙いだったんですね~」
「ちがっ ちがうの! 橘ぶちょ……」
私が言い終わる前に有沢さんが立ちあがり、私にウインクする。
「橘さんは俺の教育係だったんだけど、俺が大分に転勤と入れ替わりでみなみちゃんが就職して橘さんが教育係に着いたんだよ。ややこしいでしょ?」
「えー! じゃあ、みなみ先生の上司だった人なんですね~。通りでみなみ先生が緊張してると思った~」
呑気にそうクスクス笑う明美ちゃんが憎らしい……。
「明美ちゃんこそ合コン初めてなのに、なんで私より緊張してないの!」
「えっ それは~」
ちらっと有沢さんを上目づかいで見つめると、有沢さんは爽やかに笑う。
「――合コンが初めてとか初々しくて可愛いね」
「そそ、そんなこと」
真っ赤な明美ちゃんの恋をはらはら見守りつつ、勇気を出して隣に座る。
「よお。びっくりした?」
「何にですか? 部長が福岡から来てからびっくりしてばっかりです」
そう言うとククっと楽しそうに笑われた。
「――運命かと思ったって言ったら笑う?」
「へ?」
い、今なんて?
聞き間違い?
「可愛がってた後輩が、勝手に婚約して辞めたかと思ったら、実は俺の実家の近くで働いてるなんて、運命と思って嬉しかったんだよ」
そう言うと、珈琲を飲み干すのだけど、
あんな鬼の部長が、そんな言葉を口に出すとは思ってなかったからどんな言葉を言えば良いのか分からずおろおろしてしまう。
「あんな、真は俺の子じゃなくて、今は実家の親父たちが養子として育ててるから」
「??」
「実はさ、あり」
「此方、サービスの『どっきどっきどっきり苺パフェになります!!』
会話を遮るように、ガツンと乱暴に置かれたのは、四人分は余裕でありそうな巨大パフェ。
それを乱暴に置いたのは、バーテンダー姿の――侑哉だ。
めっちゃ睨みつけてくる侑哉だ。
なんでバーデンダ―の格好してるの?
なんで睨んで来てるの??
私に無言のアピール?
横に視線をずらしたら、部長が私を見て面白そうに笑っている。
「お前の弟、めっちゃシスコンだな」
「ちがっ」
「侑哉くん?」
明美先生が侑哉の顔を見て、目を丸くする。
「やーん。侑哉くんだ! 同じ高校だった侑哉くん!わー懐かしい!」
「あ、明美……」
侑哉も今気付いたのか、驚いた顔をした後、甘く微笑んだ。
私たちを置いてけぼりにするような、二人だけの顔で。
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