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参、被害者で加害者で、今はただの恋に溺れた美形魔王で。
十二
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ダンが俺の頭の上に置いたものは、救急箱だった。
「なんだよ、これ」
「何度も何度も噛んで、快楽に変わっていく。今日は痛かったかもしれんから、手当てをしてやるってことだ」
なんで偉そうに言うんだ。体中、噛み痕だらけなんだから手当ぐらい当たり前だろ。
いや、まてよ。
あの極悪非道と謳われた魔王が、俺のために走って救急箱を取りに行き、怪我なんて弱いからするんだと蔑んでいたのに、噛んだぐらいで手当てを申し入れてきた。
なんて強力な惚れ薬を作ってしまったんだろうな、カミーユは。
「しかし、初夜に大嫌いなんて初々しい反応をベットでされるとは思わなんだ。痴話喧嘩なんて新婚っぽくて悪くないな」
「しょ!? し? え、は?」
結構本気で俺は気持ちを伝えたはずなんだが、ダンの脳内ではさっきの俺は、風呂場で噛まれて機嫌悪くなった、初心な新婚初夜の態度って片づけているのか。
本当に俺は失望して悲しかったのに、か。
「何をしている。手当をするから戻れ」
「俺は、新婚なんて思っていない。一人前になるまで待ってって言ったし、婚前交渉しないって言った」
「私はただ、日本の奥ゆかしい伝統である『あ、いやっ』は恥ずかしいだけで嫌じゃないという愛撫を、しただけだ。それ以上のことはしていないだろ」
あっきれた。
おもいっきりキャリーケースを投げつけると、背中に目がついているのか華麗に避けた。
「私の嫁はDVしちゃうのか」
「ばかあ、よくみろ、この胸を」
上半身の服を脱ぐと、ぷっくりと赤くはれた乳首が、痛々しく震えていた。
「服を着るときだって擦れて痛かった。痛いって暴れても、噛むし、歯で捩じるように摘まむし、ちぎれそうなほど引っ張るし、全然、全然、気持ちよくなかった。この」
へたくそ!
俺の言葉に、大げさに救急箱を大理石に落とすと、ダンはよろめいた。
観葉植物を薙ぎ払いながら、壁に倒れて、俺を驚いた顔で見る。
「私に、かのような言葉を投げつけるとは」
「痛い愛撫は、ただの暴力だよ。俺は優しくしないと、家には戻らない」
「だが毎日開発しないと、雌乳首には」
「優しくしないと、家には帰らないっ」
もう一度叫ぶと、声が震えてしまった。
毎日、ダンの愛撫に恐怖を感じながら、新婚ごっこなんてふざけるな。
俺だって、色々と脅迫されるネタは握られているし、権力や地位や、力では敵わない。
だからもうダンの良心と、惚れ薬の効果を信じるしかないんだよ。
痛いのは嫌だ。なんだろう、征服されているだけで悲しくなるんだ。
「どうするんだ、ダン」
投げ飛ばしたキャリーケースを取りに行こうとダンの前を横切ろうとして、腕を捕まえられた。
「ようやくお前に再会できたんだ。手放すなんてありえない」
「で、どうするんだ」
「開発は我慢する」
苦渋の表情だったが、渋々宣言してくれた。
前世と違って今のダンは、意外と俺のことを優先してくれるらしい。
惚れ薬の効果なんだろうけど、魔王の噛み癖は封印してくれるなら、まあ。
もう少し呪いを解くためにそばに居てやっても、いい。
「まずは、優しく」
「そうだ。やさしくだよ」
「優しく、その熟れた……じゃない、腫れた乳首に軟膏を塗って手当てをしてやろう。私の可愛いリン、おいで」
確かに一番ひりひり痛んで、若干腫れているかもしれない。手当てを自分から志願したダンの心意気を買って、手当てぐらいさせてやろう。
「なんだよ、これ」
「何度も何度も噛んで、快楽に変わっていく。今日は痛かったかもしれんから、手当てをしてやるってことだ」
なんで偉そうに言うんだ。体中、噛み痕だらけなんだから手当ぐらい当たり前だろ。
いや、まてよ。
あの極悪非道と謳われた魔王が、俺のために走って救急箱を取りに行き、怪我なんて弱いからするんだと蔑んでいたのに、噛んだぐらいで手当てを申し入れてきた。
なんて強力な惚れ薬を作ってしまったんだろうな、カミーユは。
「しかし、初夜に大嫌いなんて初々しい反応をベットでされるとは思わなんだ。痴話喧嘩なんて新婚っぽくて悪くないな」
「しょ!? し? え、は?」
結構本気で俺は気持ちを伝えたはずなんだが、ダンの脳内ではさっきの俺は、風呂場で噛まれて機嫌悪くなった、初心な新婚初夜の態度って片づけているのか。
本当に俺は失望して悲しかったのに、か。
「何をしている。手当をするから戻れ」
「俺は、新婚なんて思っていない。一人前になるまで待ってって言ったし、婚前交渉しないって言った」
「私はただ、日本の奥ゆかしい伝統である『あ、いやっ』は恥ずかしいだけで嫌じゃないという愛撫を、しただけだ。それ以上のことはしていないだろ」
あっきれた。
おもいっきりキャリーケースを投げつけると、背中に目がついているのか華麗に避けた。
「私の嫁はDVしちゃうのか」
「ばかあ、よくみろ、この胸を」
上半身の服を脱ぐと、ぷっくりと赤くはれた乳首が、痛々しく震えていた。
「服を着るときだって擦れて痛かった。痛いって暴れても、噛むし、歯で捩じるように摘まむし、ちぎれそうなほど引っ張るし、全然、全然、気持ちよくなかった。この」
へたくそ!
俺の言葉に、大げさに救急箱を大理石に落とすと、ダンはよろめいた。
観葉植物を薙ぎ払いながら、壁に倒れて、俺を驚いた顔で見る。
「私に、かのような言葉を投げつけるとは」
「痛い愛撫は、ただの暴力だよ。俺は優しくしないと、家には戻らない」
「だが毎日開発しないと、雌乳首には」
「優しくしないと、家には帰らないっ」
もう一度叫ぶと、声が震えてしまった。
毎日、ダンの愛撫に恐怖を感じながら、新婚ごっこなんてふざけるな。
俺だって、色々と脅迫されるネタは握られているし、権力や地位や、力では敵わない。
だからもうダンの良心と、惚れ薬の効果を信じるしかないんだよ。
痛いのは嫌だ。なんだろう、征服されているだけで悲しくなるんだ。
「どうするんだ、ダン」
投げ飛ばしたキャリーケースを取りに行こうとダンの前を横切ろうとして、腕を捕まえられた。
「ようやくお前に再会できたんだ。手放すなんてありえない」
「で、どうするんだ」
「開発は我慢する」
苦渋の表情だったが、渋々宣言してくれた。
前世と違って今のダンは、意外と俺のことを優先してくれるらしい。
惚れ薬の効果なんだろうけど、魔王の噛み癖は封印してくれるなら、まあ。
もう少し呪いを解くためにそばに居てやっても、いい。
「まずは、優しく」
「そうだ。やさしくだよ」
「優しく、その熟れた……じゃない、腫れた乳首に軟膏を塗って手当てをしてやろう。私の可愛いリン、おいで」
確かに一番ひりひり痛んで、若干腫れているかもしれない。手当てを自分から志願したダンの心意気を買って、手当てぐらいさせてやろう。
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アンさま
感想ありがとうございます。一生懸命なお馬鹿たちを頑張って書きました。
更新、がんばります!