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四、ウソツキ、嘘つき、うそつき

Side:南城一矢

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嘘つきが三人いる。

この話は、一生彼女に聞かせず死ぬまで、それこそ墓の中に入っても、添い遂げられても黙っていた方がいいんじゃないかなって思った。

『あたしさあ、あの子、小学校の時に教室に閉じ込めたことがあんだよね』

下品に笑う女子が『あの子』と指さしたのは、クラス委員の美里さんと一緒に窓にもたれて笑っている女の子だった。

中一の入学式に、大人びていて物おじしないような落ち着いた姿に、一瞬目を奪われたのを覚えている。

が、全く男子と話さず、常に委員長と行動していて、誰にも心を許していない感じで近づきにくい。

そもそも近づくつもりはないんだけどでも、同じクラスなので普通に話がしてみたいと思ったんだ。

『えー、なにそれ? なんで』

『だって先生があのこばっか贔屓してたんだよ。むかつくんだよね、いいこぶって。そのくせ、服はいっつもブランド品』

『あー、ママも言ってた。あの子、いっつも高いワンピースばっか着てるって』

『美里を引き立て役みたいに隣においてさ、性格悪いよね』

彼女に聞こえても問題ないのか、教室内で彼女がいるにもかかわらず、下品な大声を上げて、気分は良くなかった。

『あの子、雷が駄目らしくて教室で美里を待ってるときに雷が鳴りだしてさあ、どうなるのかなって教室の電気消してドア押えたら、わんわん泣いて、超うけんの』
ペラペラな安い服より、生地もしっかりしているしデザインも拘っていたらブランド品で何が悪いのだろう。

人が泣くのを楽しむ人の思考が理解できない。

「……その話って何が面白いの?」

「一矢くんっ」

明らかに、焦った表情をしている。だが、聞かれて嫌な話を大声でする理由が分からない。彼女に聞こえるよう、攻撃をしていたのか自分の力を誇示したかったのか分からないが、共感もできない。

「俺も服は、好きなブランドしか着ないし。恐怖を与えて面白がる理由と君が得たものを教えてほしい」

「……ええ?」

「単純に理解できない君の思考回路が知りたいんだ。何が面白くて今の話をしていたのかなって」

 こちらは不快だったよというと、わああっと泣き出した。

 泣くぐらいなら、どうして雷で泣いた彼女の気持ちを理解してあげなかったんだろう。

「お前なあ、今のはやばいだろ」

泣いた彼女を連れて女子生徒が数人、教室から出て行く。

「なにが?」

 心配して声をかけてくれたのは、同じくクラス委員をしている麻琴だ。

 人当たりが良く、勤勉で会話していても頭の回転が速いので楽しい。

「今のは、彼女をかばったと思われる。お前じゃなくて彼女を攻撃対象にするんじゃないか」
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