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デート記録と婚姻届。
デート記録と婚姻届 八
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世界が広がっていく。
それに私は柔軟に変わっていけるのだろうか。
「ふふ。デイビットによろしくね、美麗ちゃん」
佐和子さんは笑う。
決めるのは、私だと。
三月に短大を卒業し、四月で21歳になり――放り出された世界で自由に。
したいこと、見つけた。あったのに飲み込んでいたんだ。
ーーー
ーー
ー
家に帰ってゴロゴロ寝がえりばかりで、あまりよく眠れなかった。
寝なければお腹の子供にも悪いのに、私は。
道は一杯あって、もう自分で選んでもいいと今度は、選べる悩みが出来た。
それが、嬉しくわくわくしている半面、一人ではないからちゃんと相談しなきゃいけない。
自分勝手に好きに決められることなんて現実では限られていて難しいんだ。
そう思うと、頭の中がぐちゃぐちゃで自分が何に対して不安や不満があるのかさえ分からなかった。
「大丈夫ですか?」
だから、朝迎えに来たデイビーに不思議そうな顔をされても、へらりと笑うしかなかった。
何に大丈夫かと言われたのかと思ったけど、どうやら後ろにファスナーがあるワンピースを後ろ前に着ていたらしい。
「着せてあげましょうか? 後ろのファスナーは自分では上げられないでしょう」
「あ、はい、あの」
「脱がすのも、――上手いですよ」
「き、きゃー!」
デイビーは朝から彼らしさ全開でした。
私の叫びに美鈴が稽古場から顔を出し、私の服の後ろ前に顔を真っ赤にして脱衣場へ連行されてしまった。
美鈴の服を借りたのだから尚の事。
玄関でデイビーの笑い声を聞きながら、私は着替えて美鈴にファスナーを上げてもらったのでありました。
「悩み事ですか?」
「悩み事の整理がつかないことが悩みです」
デイビーの車に乗り込みながら、深いため息が出てしまった。
「じゃあ、後で観覧車にでも乗りながら聞きましょう」
「本当に乗るんですか!?」
何処に向かうか分からないまま、そう驚くとデイビーは当たり前だと言わんばかりに頷く。
「貴方も乗りたくなります。賭けても良いですよ」
「何を賭けるんですか」
いつもいつも、自信満々に賭けるけど賭けるものは大事なものなのだろうか。
私がデイビーの困るものを賭けに欲しいと言ったらどうするんだろう。
「そうですね。美麗は欲しいものとか無さすぎるし……何が喜ぶかな」
まずはそこからなんだ、とこそばゆい気持ちになりながら着いた先は、某有名ブランドのジュエリー店で車を止めると御店の店員がすぐに出迎えてくれていた。
「お待ちしておりました。ブラフォート様、此方です」
平日だからか、御客は見えなかったのに二階の個室へ案内された。
この前、美鈴の好きな芸能人が此処で結婚指輪を買っていたと騒いでいた所だ。
白を基調にした店内は、高級感が漂っている。綺麗な店員さんがチョコと紅茶を持ってきてくれて、私たちの前に置くと大きなファイルも取り出し開いた。
「ブラフォート様のお祖母様からから譲り受けたこの婚約指輪のデザインの変更と、結婚指輪の購入についての御話でよろしいでしょうか」
「はい。お願いします」
「!」
知らない、私、お祖母さまの婚約指輪なんて知らないよ!
うろたえる私の手を、デイビーは握るとウインクなんてして微笑む。
ビロードの箱を開くと、デイビーと同じ瞳の色のダイヤが輝く指輪が仕舞われていた。
「ロイヤルブルーサファイアって名前の宝石なんですが、この飴玉が乗っかっているような指輪のデザインがどうも私は古臭くて嫌なんです。それに服に引っかかっても危ないですし」
「えええ!? でもお祖母さまの大切なものなんじゃ」
「私が貰ったから私のものです」
「えええええ」
私が慌てている間に、どんどん話は進んでいき驚いてる暇なんてない。
色んなデザインを見せられ、私もいつの間にか興奮しながら選んじゃったけれども。
結局決まったデザインだと、宝石を削らなきゃいけないらしい。
削った宝石でイヤリングも作れるからと、パンフレットも貰ってしまった。
結婚指輪は、桜の花びらが舞っているような彫刻のデザインが何枚か既に出来ていて、桜に形どられたピンクダイヤを内側に埋めたいとのこと。
そのデザインを見た時、可愛くて息が詰まるかと思った。
でも一番うれしかったのは、デイビーが桜が舞う、あの初めての賭けの日を大事にしていることが嬉しかった。
だから、私からは指輪の内側にデイビーと同じ瞳の宝石も入れて欲しいと提案しただけ。
はっきり言って、分からないことばかりだからこんな風に説明してくれて意見を聞いたのちに何個かデザインを出してくれたりほぼ決めてくれていたのは嬉しかった。
「後は、結婚する日にちを内側に刻めば出来上がりですね」
「な、なんか恐ろしい金額だったのですが大丈夫ですか?」
満足げなデイビーの艶々した顔とは反対に私は見たこともない金額が並んでいて、未だにちょっと呆然としている。
「一生に一回なんですから、気にしないでください」
さ、行きましょうとデイビーは私の手を掴むとウキウキと歩いて行く。
ど、どうか、これ以上高額な場所には行きませんように!
私の願いを神様は叶えてくれたのか次に向かった場所は――手芸屋さんだった。
それに私は柔軟に変わっていけるのだろうか。
「ふふ。デイビットによろしくね、美麗ちゃん」
佐和子さんは笑う。
決めるのは、私だと。
三月に短大を卒業し、四月で21歳になり――放り出された世界で自由に。
したいこと、見つけた。あったのに飲み込んでいたんだ。
ーーー
ーー
ー
家に帰ってゴロゴロ寝がえりばかりで、あまりよく眠れなかった。
寝なければお腹の子供にも悪いのに、私は。
道は一杯あって、もう自分で選んでもいいと今度は、選べる悩みが出来た。
それが、嬉しくわくわくしている半面、一人ではないからちゃんと相談しなきゃいけない。
自分勝手に好きに決められることなんて現実では限られていて難しいんだ。
そう思うと、頭の中がぐちゃぐちゃで自分が何に対して不安や不満があるのかさえ分からなかった。
「大丈夫ですか?」
だから、朝迎えに来たデイビーに不思議そうな顔をされても、へらりと笑うしかなかった。
何に大丈夫かと言われたのかと思ったけど、どうやら後ろにファスナーがあるワンピースを後ろ前に着ていたらしい。
「着せてあげましょうか? 後ろのファスナーは自分では上げられないでしょう」
「あ、はい、あの」
「脱がすのも、――上手いですよ」
「き、きゃー!」
デイビーは朝から彼らしさ全開でした。
私の叫びに美鈴が稽古場から顔を出し、私の服の後ろ前に顔を真っ赤にして脱衣場へ連行されてしまった。
美鈴の服を借りたのだから尚の事。
玄関でデイビーの笑い声を聞きながら、私は着替えて美鈴にファスナーを上げてもらったのでありました。
「悩み事ですか?」
「悩み事の整理がつかないことが悩みです」
デイビーの車に乗り込みながら、深いため息が出てしまった。
「じゃあ、後で観覧車にでも乗りながら聞きましょう」
「本当に乗るんですか!?」
何処に向かうか分からないまま、そう驚くとデイビーは当たり前だと言わんばかりに頷く。
「貴方も乗りたくなります。賭けても良いですよ」
「何を賭けるんですか」
いつもいつも、自信満々に賭けるけど賭けるものは大事なものなのだろうか。
私がデイビーの困るものを賭けに欲しいと言ったらどうするんだろう。
「そうですね。美麗は欲しいものとか無さすぎるし……何が喜ぶかな」
まずはそこからなんだ、とこそばゆい気持ちになりながら着いた先は、某有名ブランドのジュエリー店で車を止めると御店の店員がすぐに出迎えてくれていた。
「お待ちしておりました。ブラフォート様、此方です」
平日だからか、御客は見えなかったのに二階の個室へ案内された。
この前、美鈴の好きな芸能人が此処で結婚指輪を買っていたと騒いでいた所だ。
白を基調にした店内は、高級感が漂っている。綺麗な店員さんがチョコと紅茶を持ってきてくれて、私たちの前に置くと大きなファイルも取り出し開いた。
「ブラフォート様のお祖母様からから譲り受けたこの婚約指輪のデザインの変更と、結婚指輪の購入についての御話でよろしいでしょうか」
「はい。お願いします」
「!」
知らない、私、お祖母さまの婚約指輪なんて知らないよ!
うろたえる私の手を、デイビーは握るとウインクなんてして微笑む。
ビロードの箱を開くと、デイビーと同じ瞳の色のダイヤが輝く指輪が仕舞われていた。
「ロイヤルブルーサファイアって名前の宝石なんですが、この飴玉が乗っかっているような指輪のデザインがどうも私は古臭くて嫌なんです。それに服に引っかかっても危ないですし」
「えええ!? でもお祖母さまの大切なものなんじゃ」
「私が貰ったから私のものです」
「えええええ」
私が慌てている間に、どんどん話は進んでいき驚いてる暇なんてない。
色んなデザインを見せられ、私もいつの間にか興奮しながら選んじゃったけれども。
結局決まったデザインだと、宝石を削らなきゃいけないらしい。
削った宝石でイヤリングも作れるからと、パンフレットも貰ってしまった。
結婚指輪は、桜の花びらが舞っているような彫刻のデザインが何枚か既に出来ていて、桜に形どられたピンクダイヤを内側に埋めたいとのこと。
そのデザインを見た時、可愛くて息が詰まるかと思った。
でも一番うれしかったのは、デイビーが桜が舞う、あの初めての賭けの日を大事にしていることが嬉しかった。
だから、私からは指輪の内側にデイビーと同じ瞳の宝石も入れて欲しいと提案しただけ。
はっきり言って、分からないことばかりだからこんな風に説明してくれて意見を聞いたのちに何個かデザインを出してくれたりほぼ決めてくれていたのは嬉しかった。
「後は、結婚する日にちを内側に刻めば出来上がりですね」
「な、なんか恐ろしい金額だったのですが大丈夫ですか?」
満足げなデイビーの艶々した顔とは反対に私は見たこともない金額が並んでいて、未だにちょっと呆然としている。
「一生に一回なんですから、気にしないでください」
さ、行きましょうとデイビーは私の手を掴むとウキウキと歩いて行く。
ど、どうか、これ以上高額な場所には行きませんように!
私の願いを神様は叶えてくれたのか次に向かった場所は――手芸屋さんだった。
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