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デート記録と婚姻届。
デート記録と婚姻届。一
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朝目覚めたら、出勤時間ぎりぎりだった。
ごそごそと布団から起きると、縁側をあり得ない光景が通った。
通った――?
「お風呂、ありがとうございました」
「いえいえ。皆さまはまだ寝ておいでですか?」
「はい。今から起こしますね」
デイビットさんがお手伝いの立花さんとにこやかに会話していて、思わず目を疑う。
というか、今あの人、腰にタオル姿で縁側を歩いてなかった?
「デイビットさん?」
「ああ、おはよう。昨夜はぐっすり眠れたかな?」
襖から顔を出した私に、お風呂上がりのデイビットさんが牛乳を片手にやってくる。
いつもワックスで後ろに流している金髪が、前髪を下ろし幼く見える。
前髪が降りるだけで、こんなに印象が違うんだ。
って、違う。
「遅刻です!ああああ、お風呂入ってない。お化粧落としてない、ああああ」
辺りを確認してまた目を疑った。
母と美鈴が寄り添うようにして眠っていたから。
とっくにお稽古の時間なんて過ぎてるのに。
「って、今は仕事仕事」
洗面台へ走ろうとして、憐れもない姿のデイビットさんに腕を掴まれる。
「貴方は今から私にキスしたくなります。賭けませんか?」
「すいません、今、私急いでて」
突然、この状況で何を言っているのかと思いつつもデイビットさんは呑気に話を続けた。
「会社へ電話しておきました。一時間遅れると」
「ええ!?」
「若い男の方が分かったと言ってましたよ」
「えええ!?」
幹太さんだ。寝坊したって言ったらきっと怒る。
真っ青な私に対して、デイビットさんは自分の頬をチョンチョンと指差す。
「ね?」
可愛くウインクされてしまえば、何だか賭けに負けた気分を味わってしまって私は気づけば背伸びしていた。
少し屈んでくれたデイビットさんの石鹸の香りがする頬へ口づけをする。
それだけで、満足そうに笑ってくれた。
「さあ、ご飯を食べましょう。仕事場へ送ります」
「デイビットさんは?」
「今日はオフです。もう少し、麗子さんたちと話をして、貴方を迎えに行きますね」
そう促され、立花さんが用意してくれたご飯を二人で頂いた。
納豆にお味噌汁、鮭にほうれん草の御浸しといういつものメニューだったがデイビットさんは写メを撮るぐらい喜んだ。
バスローブ代わりに、デイビットさんが借りてきた浴衣が、190センチのモノが無く子供のようにツルツルテンな浅黄色の浴衣でついつい笑ってしまう。
「ああ、これは駄目です。麗子さんに私用の浴衣を作って貰わなければ」
「じゃあサイズを測らなきゃですね」
「メジャーで、ですか?」
首を傾げる姿が可愛くて笑おうとして拳をつくり口元に運んでいた左手を止める。
母は、私の身長や肩幅など測りもせずに、ちゃんと仕立ててくれていた。
そしてサイズはピッタリ。
私の事なんて見てないと思っていたのに、やはり母は私の母なんだ。
「デイビットさん」
「はい?」
「賭けは貴方の勝ちですね」
その言葉に優雅に納豆を混ぜておいた手を止める。
不思議そうな顔をしたので笑っておく。
今、貴方にキスしたくなりました、なんて言ってあげないんだから。
ごそごそと布団から起きると、縁側をあり得ない光景が通った。
通った――?
「お風呂、ありがとうございました」
「いえいえ。皆さまはまだ寝ておいでですか?」
「はい。今から起こしますね」
デイビットさんがお手伝いの立花さんとにこやかに会話していて、思わず目を疑う。
というか、今あの人、腰にタオル姿で縁側を歩いてなかった?
「デイビットさん?」
「ああ、おはよう。昨夜はぐっすり眠れたかな?」
襖から顔を出した私に、お風呂上がりのデイビットさんが牛乳を片手にやってくる。
いつもワックスで後ろに流している金髪が、前髪を下ろし幼く見える。
前髪が降りるだけで、こんなに印象が違うんだ。
って、違う。
「遅刻です!ああああ、お風呂入ってない。お化粧落としてない、ああああ」
辺りを確認してまた目を疑った。
母と美鈴が寄り添うようにして眠っていたから。
とっくにお稽古の時間なんて過ぎてるのに。
「って、今は仕事仕事」
洗面台へ走ろうとして、憐れもない姿のデイビットさんに腕を掴まれる。
「貴方は今から私にキスしたくなります。賭けませんか?」
「すいません、今、私急いでて」
突然、この状況で何を言っているのかと思いつつもデイビットさんは呑気に話を続けた。
「会社へ電話しておきました。一時間遅れると」
「ええ!?」
「若い男の方が分かったと言ってましたよ」
「えええ!?」
幹太さんだ。寝坊したって言ったらきっと怒る。
真っ青な私に対して、デイビットさんは自分の頬をチョンチョンと指差す。
「ね?」
可愛くウインクされてしまえば、何だか賭けに負けた気分を味わってしまって私は気づけば背伸びしていた。
少し屈んでくれたデイビットさんの石鹸の香りがする頬へ口づけをする。
それだけで、満足そうに笑ってくれた。
「さあ、ご飯を食べましょう。仕事場へ送ります」
「デイビットさんは?」
「今日はオフです。もう少し、麗子さんたちと話をして、貴方を迎えに行きますね」
そう促され、立花さんが用意してくれたご飯を二人で頂いた。
納豆にお味噌汁、鮭にほうれん草の御浸しといういつものメニューだったがデイビットさんは写メを撮るぐらい喜んだ。
バスローブ代わりに、デイビットさんが借りてきた浴衣が、190センチのモノが無く子供のようにツルツルテンな浅黄色の浴衣でついつい笑ってしまう。
「ああ、これは駄目です。麗子さんに私用の浴衣を作って貰わなければ」
「じゃあサイズを測らなきゃですね」
「メジャーで、ですか?」
首を傾げる姿が可愛くて笑おうとして拳をつくり口元に運んでいた左手を止める。
母は、私の身長や肩幅など測りもせずに、ちゃんと仕立ててくれていた。
そしてサイズはピッタリ。
私の事なんて見てないと思っていたのに、やはり母は私の母なんだ。
「デイビットさん」
「はい?」
「賭けは貴方の勝ちですね」
その言葉に優雅に納豆を混ぜておいた手を止める。
不思議そうな顔をしたので笑っておく。
今、貴方にキスしたくなりました、なんて言ってあげないんだから。
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