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少女の話。
少女の話。
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変なの……。
私の話なんかより、絵描きさんの話の方がキラキラした宝石箱のようにワクワクして楽しいのにな。
私の好きな食べ物は、ママが作ってくれる苺のケーキ。
家に帰る道から匂ってくる夜ご飯のいい匂いも大好き!
ピーマンとトマトが苦手だけど、いつも頑張って食べるの。
そうしたらね、パパとお兄ちゃんが優しく頭を撫でてくれるの。
お兄ちゃんは10以上歳が離れてるからパパみたいなの。
パパとお兄ちゃんは私に凄く優しくて甘やかすから、ママがいつも呆れちゃってるんだよ。
私には黄色と赤色が似合うって。
そう言ってリボンやお洋服や靴を沢山買ってくるの。
大体はママがその中から私に似合う服を選んで、リボンは結んでくれるの。
ママに髪の毛を結んでもらうのは大好きだよ。皆で海の岬でピクニックするのも好きだったの。
――でももうずっと家族はばらばらなんだ。
パパとお兄ちゃんは「戦争」に行っちゃったの…
なにかね、とある国の土地をめぐって世界が二つに分かれて喧嘩してるんだよ。
だから私とママは二人っきりになっちゃった。
もうずっとずっと帰ってこないの。
ママはパパ達が頑張ってるからってケーキを作る回数も減っちゃたし、
毎日気を紛らわす為にお仕事で忙しそうなの。
だから隣の家の4つ年上のお兄ちゃんといつもいた。
楽しい夢を見て懐かしくて泣いた夜も
パパ達に会いたくて泣いた夜も
ずっと一緒に寝てくれたんだ。
私にはとても大切な友達だったの。
「絵描きさん、ちゃんと聞いてる?」
ずっと黙ってる絵描きさんに振り返って聞いてみた。
「聞いてるよ。一言も聞き逃さないように」
………変なの。
絵描きさんって変なの。
いつも笑ってるくせに、笑顔が笑ってないの。
上手く言えないけど、お兄ちゃんやパパよりもずっとずっと年上みたい。
「私の友達も、戦争に行っちゃった。勝手にママと私の手紙を、必ずパパ達に届けるからって約束までして」
でも私は沢山沢山泣いたの。
行かないでって。
だって戦争だよ?
鉄砲撃ったりするんだよ。
人を殺しにいくんだよ。
そんな事するより、ずっと一緒に傍にいてよ。
なのにただずっと笑うだけ。
私は枕を投げて、本を投げて、投げる物が無くなったらベッドに潜って、ただひたすら泣いた。
あの時にもっと沢山話を聞いておけば良かったのになぁ……。
西の国へ船で向かう途中に船が爆弾によって沈んだの。
と~~ても深い海の真ん中で、誰も助からなかったの……
だからおばさんがここにお墓を作ってくれたの。
沢山泣いたけど、帰ってくるって約束を破った友達を、私は怒らないよ。
悪いのは戦争だもん。
戦争が人の命を奪ってるんだもん。
パパとお兄ちゃんが帰ってきて、またママと皆でピクニックに行くまで。
それまで私は諦めないの。
きっと、戦争なんて終わっらまた皆で楽しく生活できるから。
こんなに楽しい日々を奪った戦争を私は赦せないけど。「絵描きさんも、戦争嫌いだよね」
あっ
また哀しそうな顔した。
絵描きさんはそれで笑ってるつもりなのかな?
絵描きさんはゆっくり口を動かした。
「戦争は大嫌いだよ。ずっと、永遠に……」
そう言うと目を逸らしちゃった。
「人の話を聞く時と何か伝える時は目を見なさいってパパとママに言われなかったの?」
私は目を逸らされるのはかなしいよ。
私の存在さえ見てないのかなって不安になる。
そうしたら絵描きさんはちゃんとこっちを見た。
そうだね。ごめんね、って……。それが嬉しくて私はにっこり笑ったの。
私の話なんかより、絵描きさんの話の方がキラキラした宝石箱のようにワクワクして楽しいのにな。
私の好きな食べ物は、ママが作ってくれる苺のケーキ。
家に帰る道から匂ってくる夜ご飯のいい匂いも大好き!
ピーマンとトマトが苦手だけど、いつも頑張って食べるの。
そうしたらね、パパとお兄ちゃんが優しく頭を撫でてくれるの。
お兄ちゃんは10以上歳が離れてるからパパみたいなの。
パパとお兄ちゃんは私に凄く優しくて甘やかすから、ママがいつも呆れちゃってるんだよ。
私には黄色と赤色が似合うって。
そう言ってリボンやお洋服や靴を沢山買ってくるの。
大体はママがその中から私に似合う服を選んで、リボンは結んでくれるの。
ママに髪の毛を結んでもらうのは大好きだよ。皆で海の岬でピクニックするのも好きだったの。
――でももうずっと家族はばらばらなんだ。
パパとお兄ちゃんは「戦争」に行っちゃったの…
なにかね、とある国の土地をめぐって世界が二つに分かれて喧嘩してるんだよ。
だから私とママは二人っきりになっちゃった。
もうずっとずっと帰ってこないの。
ママはパパ達が頑張ってるからってケーキを作る回数も減っちゃたし、
毎日気を紛らわす為にお仕事で忙しそうなの。
だから隣の家の4つ年上のお兄ちゃんといつもいた。
楽しい夢を見て懐かしくて泣いた夜も
パパ達に会いたくて泣いた夜も
ずっと一緒に寝てくれたんだ。
私にはとても大切な友達だったの。
「絵描きさん、ちゃんと聞いてる?」
ずっと黙ってる絵描きさんに振り返って聞いてみた。
「聞いてるよ。一言も聞き逃さないように」
………変なの。
絵描きさんって変なの。
いつも笑ってるくせに、笑顔が笑ってないの。
上手く言えないけど、お兄ちゃんやパパよりもずっとずっと年上みたい。
「私の友達も、戦争に行っちゃった。勝手にママと私の手紙を、必ずパパ達に届けるからって約束までして」
でも私は沢山沢山泣いたの。
行かないでって。
だって戦争だよ?
鉄砲撃ったりするんだよ。
人を殺しにいくんだよ。
そんな事するより、ずっと一緒に傍にいてよ。
なのにただずっと笑うだけ。
私は枕を投げて、本を投げて、投げる物が無くなったらベッドに潜って、ただひたすら泣いた。
あの時にもっと沢山話を聞いておけば良かったのになぁ……。
西の国へ船で向かう途中に船が爆弾によって沈んだの。
と~~ても深い海の真ん中で、誰も助からなかったの……
だからおばさんがここにお墓を作ってくれたの。
沢山泣いたけど、帰ってくるって約束を破った友達を、私は怒らないよ。
悪いのは戦争だもん。
戦争が人の命を奪ってるんだもん。
パパとお兄ちゃんが帰ってきて、またママと皆でピクニックに行くまで。
それまで私は諦めないの。
きっと、戦争なんて終わっらまた皆で楽しく生活できるから。
こんなに楽しい日々を奪った戦争を私は赦せないけど。「絵描きさんも、戦争嫌いだよね」
あっ
また哀しそうな顔した。
絵描きさんはそれで笑ってるつもりなのかな?
絵描きさんはゆっくり口を動かした。
「戦争は大嫌いだよ。ずっと、永遠に……」
そう言うと目を逸らしちゃった。
「人の話を聞く時と何か伝える時は目を見なさいってパパとママに言われなかったの?」
私は目を逸らされるのはかなしいよ。
私の存在さえ見てないのかなって不安になる。
そうしたら絵描きさんはちゃんとこっちを見た。
そうだね。ごめんね、って……。それが嬉しくて私はにっこり笑ったの。
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