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だから、呪文のように嘘を唱えた。

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 沙也加に携帯に送ってもらったホームページの地図を頼りに駅のホームに降り立った。
 式場の一つ隣の駅だ。式場から駅までは送迎バスが出るので、二次会のバーまで不便はなさそうだ。

 二次会のバーは、ホームから降りて五分もしない。南口のタクシー乗り場の右側に見えるテナントビルの二階だった。一階が普通のバーで、二階が団体客ようのようだ。
 BAR『platinum』と書かれた虹色にライトアップされた看板の下の、煉瓦の壁、ライオンの口から伸びるドアノブ。
 少し変わったデザインで、中に入ると『animal』と壁にかかれ、フラミンゴのイラストが描かれた壁と、ライオンの描かれた壁が目に飛び込んできた。

「桃花―、うえ、うえ」
「沙也加、お疲れさまって酒くさい」
 二階の手すりから手招きする沙也加の鼻がすでに赤かった。

「バーなんだから、お酒くさくて当たり前じゃない?」
「飲むペースが速すぎる」
「だって、メニューのお酒の味も確認しときたいじゃん」
へらへら笑う沙也加の後ろで、ダーツをしている二人が見えた。

 二階は、壁に星座の形に星が描かれていて、小さなステージとソファが30、小さなバーカウンターは10席、立ち飲み用のテーブル、ダーツ、雰囲気はとても良かった。

「こっちが、好きな人はだいたい吉田さんに取られちゃう井上くん、えーっと桃花の旦那様とは」
「銀行の同期でーす。俺も銀行員です。笹山とは、悪くないんだけど恋愛対象には見られないって振られる同盟です」

「あ、……私は都築桃花です。酔ってますね、井上さん」

 はきはきした受け答えだけど、せっかくさわやかでイケメンそうなのに出てくる言葉が子供っぽい。
テンションもどこかハイになってて、間違いなく酔っている。

「いやあ。沙也加さんがお酒強いから釣られて飲んでたら、酔っちゃいました」

「お水飲んでどうぞ。沙也加と井上さん、ありがとうございました。ここ、素敵だと思います」
「だろー! 俺が見つけたの、俺が!」

 ワインを抱きしめながら完全に酔っている笹山が、大声で近づいてきた。
 もう明らかに分かるぐらい酔ってる奴は、近づいてくるな。
「笹山、酔っぱらったらグーで殴るからね。ほら、水飲んでよ」
「……都築さんってどっかで見たことがあるような」

 私が水を注いでいで無理やり笹山の口に押し付けていたら、首をかしげて観察された。

「笹山たちとは同じ大学でしたが」
「え、……あー、飲み会でたまに見かけてたっていう酒豪美人?」

 残念ながら私はモデルや女優になれるほどの美人ではない。
 私より沙也加や泰城ちゃんの方が千倍可愛い。
 そんなに飲み会の時は、面倒くさい男たちと話さず黙々と飲んでいたのが印象に残っているのだろうか。

 別に話しかけてこないのに、酔っ払いに話しかけるほど面倒なことはしない。

「違います。けどよっしーさん曰く、私が叔父さんと帰っていくのがどうたらこうたらと」
「そうそう。神山も話しかけようとしたのに急に戻ってきてさ。あの人の彼女なら手が出せないってあきらめてたんだよ。でも手を出してる!」

 笑い上戸なのか、ソファに座ると両足をバンバン叩きながら笑っている。

「桃花たちは、一応お見合いなんですよー」
「一回破談してるから、恋愛結婚扱いになるんかな?」
「えー、海外に行くから結婚延期していただけって聞いたから、お見合いじゃないの。破談だったの?」
招集がつかなくなってきたので沙也加に目配せする。
すると、バーカウンターの方に手招きされた。

 二人はソファ席に放置してカウンターの上のメニュー表を見せてくれた。

「お酒の種類によって、集める会費が変わるんだけど40人以上予約で、幹事と新郎新婦の会費は無料だってさ」
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