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 神の思惑 5

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「あひゃっ! あっ! ひ…っ!」

 そこは大きな広間。縦一列に並べられた料理を挟んで、左右二列に座る豪奢な出で立ちの人々。床に置かれたクッションで寛ぐその姿は、アラビアン・ナイトのように絢爛な宴だった。
 唯一違うのは、数人が一人の少年を囲んで淫らな行為に耽っていること。

 当たり前のごとく二輪挿しされ、源之助はナイジェルの血縁だという男達に輪姦されている。
 前だけをはだけて少年を揺さぶる二人は、恍惚とした顔で柔らかな肉の締付を愉しんでいた。

「おうおう、愛いのう。……可愛らしい嫁だ。くっ……っ! 狭い…っ!」

「父者、無理を召さるな……、う…っ」

「そなたら、こちらにも早う回せ。これは儀式ぞ? 愉しむでないわ」

 微笑ましげな声をかけつつ、酒や料理を嗜みながら順番を待つ王族達。

 はあはあ息を荒らげた男達から、次々と新たな精を受け取る少年。神様へ捧げるため、精は多ければ多いほど良いがモノには限度が有った。

 ……ひいぃぃーっ! 裂けちゃう、お尻が……っ! あーーーーっ!!

 性急ではないものの、延々と体内の悦い処を掻き回されて、源之助は終わりのない悦楽に悶絶する。彼らは慣れた愛撫で責め立て、自分達が弾けると同時に少年にもイくことを強要した。
 声のない悲鳴をあげて仰け反る細い肢体。源之助が達したのを中で察し、男性はイき上手な子供に満面の笑みを浮かべる。

「悦いなあ? はあ……、堪らん。極上な嫁を捕まえたのう、殿下は……」

 びくびく痙攣する源之助を褒めるように撫で回し、己の精を注ぎ込んだ男性は、名残惜しそうな顔で次の相手に渡した。
 少年のあられもない嬌態で興奮気味な周りは、ギンギンにおっ勃った御立派様を次々と源之助の中に捩じ込んでいく。

「ひゃあっ? も…っ、無理ぃぃ…っ! ああぁーんっ!」

「泣くでない。ほれほれ、喉が渇いておらんか? 飲ませてやろうな」

 ちゅ…っと吸口のような器を口に含まされ、船旅からこちら、叫び続けてカラカラな喉を源之助は無意識に潤した。

 ……あ。美味し…… って、ああぁぁっ!

 飲むのも邪魔する神のカウンター絶頂。

 ドロドロに溶かされまくり、快感の坩堝と化した少年の体内は蕩け切っている。

 ……他の王家でも乱交はデフォだったけどぉぉっ! ここは人数が、おかしいだろうぅぅっ?!

 ざっと見、広間には五十人近い男性らが座っている。老若問わぬ多くの人々全てが王族。

『……しきたりだから。歓迎会で嫁は親族に抱かれる。抱くといっても精を注ぐだけなんで、まあ。……辛抱してくれ』

 ……ふうん。王族ってのは、どこも似たようなことすんだね。

 そんな暢気なことを考えていた朝の自分を、源之助は殴り倒してやりたかった。

 ……死ぬっ! 死ぬってぇぇっ! どこもかしこも熱くて……っ! 目眩が……っ! ひいぃぃんっ!!

 ひいひい泣きじゃくる小さな子供を宥めすかし、王族達は、これでもかと源之助を可愛がる。
 しきたりとはいえ、ナイジェルは獰猛に眼をすがめ、忌々しげに苦虫を噛み潰していた。
 家族愛の強いクイナ王家は、親族の嫁を心から歓迎し情深く可愛がってくれるため、神に精も届きやすい。
 だからナイジェルには別腹の兄弟が何人もいた。

 ……理屈は分かるよ、理屈はな? けどさあ……っ!

 ギリギリ奥歯を噛み締めるナイジェルの肩を叩き、ナージャも眉間に深い皺を刻む。

「今夜だけだ。耐えろ」

「……おう」

 皆から手厚くもてなされる嫁。

 これは歓迎すべきことなのだと、源之助を愛するナイジェル親子は腹の底に燻る悋気を抑え込んだ。

 が、しかし、彼らは忘れている。

 源之助は、ナイジェルの盗賊団全ての嫁なのだ。



「王家の歓迎会は終わったな? 次はうちの一族に会ってくれ。みんな楽しみにしてるぞ?」

「その後は俺のとこな?」

「私の親族も待ちかねていますよ。正式な王子妃となる前に、仲間達の親族と睦んでくださいね?」

「………へ?」

 唖然とする少年を余所に日程が組まれ、源之助は数日置きで大勢の男達に輪姦された。それこそ、蜜月すら生温いと思えるほど淫猥な宴の嵐。



《……ここにさっさと連れて来てたら、とっくに千人斬り出来てたな》

『結果論どす。まあ、神様の睦みに慣れてはんやから、これくらい平気でござんしょ』

 しれっと呟かれたコフィンの台詞など知らない少年。

 毎日瀕死になりつつ、ようようしきたりという凌辱から解放された源之助を待っていたのは、王太子妃という地位と伴侶の溺愛だった。

「……ナイジェル、下ろして」

「駄目だ。ちょっと眼を離すと、すぐに男を咥え込みやがって…… 夜以外、ヤらせんの禁止な」

 ……俺が望んだわけじゃない。

 各王子にはそれぞれ専属の部下がいる。それが盗賊団となり仕事をするわけだが、ナイジェルの帰国と入れ替わりで第三王子が部下と出稼ぎに出たらしい。
 正式な皇太子妃となった源之助は、盗賊団の嫁という肩書はなくなった。代わりに、元伴侶だったナイジェルの部下達は王太子妃の愛人という位置に落ち着く。
 一族に輪姦させた以上、源之助は彼等の嫁だ。これは覆せない事実婚。なので公式の愛人として認め、ナイジェルの部下らは源之助を慰める権利を持った。

 ……となれば当然、盛る奴もいるわけで。

 昼夜問わず愛しまくられる少年に、ナイジェルの堪忍袋の緒が盛大に切れる。

 結果、こうして日がな一日中源之助を抱きしめて、床に下ろさない旦那様の一丁あがり。
 元々お世話好きなナイジェルは、食事も湯浴みも手ずから行い、本当に源之助を床に下ろさない。靴すら履かせず、その足にキスをし舐めたりして弄ぶ。

「やめれっ! そんなとこ、汚いってっ!」

「なんで? お前の身体に汚いとこなんてないさ。どこでも舐めてやるぞ?」

 源之助が逃げられぬよう靴どころが服も着せない徹底ぶりで、バスタオル一枚巻いただけな嫁に、いたく御満悦な王太子。
 ちょっとズレたらタオルが外れそうな恐怖。あられもない格好を薄い布地一枚で隠している源之助は、誰かが執務室を訪れるたびに気が気でなかった。
 そんな初心な反応が愉しくて、ついつい悪戯ばかり仕掛けてしまうナイジェルである。
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