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 新たな理不尽 10

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「う……っ、がぁぁ……っ、翌日残るとか、聞いてねぇぇ……っ」

『自業自得でんがな。神様を煽るなんて自殺行為やし。そんな程度で済んでようござんしたわ』

 あの後、結局あっさり負けた源之助は、これでもかと神に抱き潰された。
 あらゆる部位に穿たれた針で丹念に丹念に中をいたぶられ、長々と寸止めを味合わされたあげく、イかせてくれと泣き叫ばされる。
 そして言質を得た神は、少年の腹を突き破る勢いで衝き上げまくった。いつもより、ずっと巨大化した御立派様で。

《あんな……にっ! おあずけさせるからぁっ! こんなんなっちゃったよっ? 責任取ってよねっ!》

 ごちゅごちゅ掻き回しながら、神の腕ほどもありそうな一物が猛り狂い、源之助の胸のすぐ下まで深々穿たれる。
 
 ……うっそぉ、物理的にあり得ないだろぉぉっ?!

《この夢の森で……っ! そんな世迷い言が通じるかぁぁっ!!》

 夢の森に構築された源之助の身体は紛い物。現実の身体とシンクロしてはいるが、その時、その時に神が造る泡沫の夢。

『……っぉぶっ! ぅ……っ、…、うぅ……っ!!
ーーーーーーっ!!』

 数回打ち上げられる度に襲い来る凄絶な愉悦。それに呑み込まれ、溺れ、全身がピンっと硬直したまま激しく痙攣させられる源之助。
 イきっぱでガチガチに固まったまま抜け出せなくなった最愛を、神はうっとり甘い眼差しで見つめた。

《こういうのも良いね。……もっとイけよ。ずっと痙攣させてやるわ。ほら》

『……………っっっ! きゃーーーーっ!!』

 人形に穿たれた針が凄まじく振動を始め、イける部位全てを強制的に極まらせる。
 眼を見開いて絶叫する源之助を抱きしめながら、その震えを愉しみ、神はうねるように伸縮する内部を心地好さ気に衝き上げた。

 触手らの責めも加わり、地獄も生ぬるい官能の嵐で、悶絶しまくらされた少年である。



「あいつもサドっ気があんのな。もともとそういう奴だったけど……… まさか翌日に残るほどされるとは思わなかったわ…… ぐ……っ」

 夢の森の後は疼きが残ってたりはしたものの、こんな腰くだけになったことはない。結局は紛い物の身体だ。シンクロで愉悦で残った疼きも、しばらくしたらなくなった。

『……それだけ神様の愛情が深いってことやね。同調で味わっただけなのに、実際のダメージが残るほど。……あんさん、何回か死んでますからな? 神様が身体だを再構築しては抱き潰してん。気づいてはらんみたいやけど、一回、腹も裂けましたんで?』

 ……イイぃぃっ?!

 コフィンの説明に、源之助の腹の奥がずくりと疼いた。そして抜けていく冴え冴えとした悪寒。

『ほんま、夢の森でよろしかったわ。リアルやったら、とうに死んでます。……それでも、速攻で神様が完治させはるやろけど』

 ……エンドレス凌辱とか、ネットのエロ漫画でしか見たことないわーっ!!

『神様煽るからどす。反省しなはれ。……あんま可愛いこと言うのんもやめぇや?』

 ……そんなんした覚えないってーっ! あいつが勝手に盛ってるだけじゃんーっ!!

 ううぅ……っと撃沈されたまま呻く御子様。

『……無自覚って怖いわあ』

 それでも数時間で回復してしまう祝福という名の呪い。

 えぐえぐ寝台でミノムシになりつつ、少年が呻いていた頃。

 別の場所でも呻く者がいた。





「……グエンだ、間違いない」

「そう名乗っていたな。なかなかの玉だったぞ? 身請けしたかったが…… くそっ」

 三十センチほどに成長した卵を膝に抱え、幸せそうに撫でるナージャ。その前で茫然自失する息子は、驚愕に瞳を大きく揺らしていた。
 早く生まれてこいと孫に語りかける父親を余所に、息子は水色の三つ編みを無意識に掴んで眉をしかめる。
 二人の話を周囲で聞いていた仲間たちも、卵を抱えながら似たような顔をしていた。

「……お頭、ある意味、僥倖じゃ?」

「そうっすよ。王宮よりも娼館のが襲いやすい。子供が生まれるまでの辛抱ですよ」

「ああ…… 待ってろよ、グエン」

 ギリっと奥歯を噛みしめる息子を不思議そうに見つめ、ナージャは首を傾げる。

「お前ら、グエンを知っているのか?」

 その言葉に頷き、数十人もたむろう男たちが挑戦的に眼を剥いた。

「……その卵の相手だ。グエンは俺達の嫁だよ」

「なんだとっ?!」

 驚くナージャの前に居並ぶ男達は、ナイジェルを筆頭とした盗賊団。ナージャの話していた、出稼ぎ息子達である。
 
「男娼をやってるだなんて…… 何があったんだ? グエン。拐われて売られたのか? あのクソ王子、妃を守れもしなかったのかよっ!」

「妃っ? おいおい、なんのこった?」

 話の見えないナージャ。

 そんな父親に簡単な説明をし、ナイジェルは一時帰国を考える。どうせ卵が孵化するまでは動けないのだ。ならば、少しでもグエンの側にいたい。

「良いんじゃないか? そろそろお前も俺の後を継ぐ準備をしないとだしな。こうして後継者も出来たし? 他の兄弟と交代して、国へ帰ろう」

 好々爺な祖父の顔で卵を撫でていたナージャの表情が、一瞬で残忍な為政者のモノに変わる。

「……どうせ親父もグエンにのめり込んだ口だろう? 嫁を共有したいだけじゃないのか?」

 ぎくぅっと肩を波打たせる大男。

 それに卑らしい笑みを浮かべ、吐き捨てるようにナイジェルが呟いた。

「まあ、親父なら良いさ。他の男に触られてんのは我慢が出来ないがな」

「じゃあ、帰りがてら返してもらっていくか」

「良いっすね」

 にたりと獰猛に口角を歪める野獣の群れ。

 そんな不穏な相談がされているとも知らず、今日も暢気に御客様達を悦ばせている源之助である。
 
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