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 理不尽な溺愛 3

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「……平和だ」

「どした?」
 
 嫁になった少年は雌犬調教から解放され、盗賊らにこれでもかと甘やかされた。
 睦みの数は跳ね上がったが、調教みたく問答無用な無体はなくなり、愉悦に泣き叫ぶのは変わらないものの、身体はたっぷりな精を与えられ穏やかだ。
  
 ……これを平和だと思うあたり、慣らされちゃったよなあ。俺も。

 うにゃうにゃとナイジェルの腕に抱かれ、源之助は午後の日差しに微睡む。
 今は拠点を移動中。
 何でも、数ヶ月おきに彼らは拠点を変えるらしい。大きな仕事をした直後が多く、この国以外にも複数の拠点を持っているのだとか。

「あ~、気が滅入るな。拠点移動の何が嫌って、一番最初の掃除だよなあ」

「しゃーなしやん。雌犬が手に入った時は、国境の拠点に行くのが俺等のしきたりだし?」

 ……ん? なんか変なことを聞いたような?

 うとうと夢現な源之助を胸に抱え、ナイジェルは馬車の中に敷かれた毛皮の上で座っていた。厚手のクッションが毛皮の下にあり、なかなか快適である。

「寝てていいぞ? もうしばらくかかるしな。物も売り捌きたいし、幾つかの街を経由してくから」

「そか…… ナイジェルぅ……」

「ん?」

「なんか、優しくて好きぃ……」

「…………、……………っっ!」

 ぼっと顔を朱に染め、ナイジェルが悪態をついた。

「な……っ、嫁に優しくすんのは、当たり前だろうがっ! いや。そうじゃなくっ! あ~~~~っ! もうぅぅぅっ!」

 片手で己の髪をガシガシ掻き回し、ナイジェルは半寝ぼけな源之助に口づける。

「いらんことばっか言う口は塞いでやるっ!」

 ちう…っと吸い付く穏やかな唇。その動きが気持ち悦くて、源之助も、ちゅ…っと吸い付いた。
 可愛らしい嫁の仕草に堪らず抱きしめ、ナイジェルはゴロゴロ毛皮の上を転がる。

「お前はぁぁ…… はあ…… 幸せで死にそう」

 ……ナイジェルの口から、そんな言葉を聞こうとは。

 思わぬ台詞を耳にし、微睡みが吹っ飛ぶ源之助。

『嫁でっせ? 当たり前ですやん。あんたさん、許婚や側室いう軽い立場ばっかやったから蜜月経験してないんで知やんかもですけど、蜜月越えたらマジで変わらはりますからな? 男はんは』

 ……なにそれ?

 可愛い、可愛いと抱きしめつつ、耳やうなじを食み、片手で拘束して、股間をくちくち弄るナイジェル。
 ふ……っ、ふっ……っと荒らぐ息が艶かしく、源之助の肌をぞくりと粟立てた。お尻に当たる固いモノが布越しでもナイジェルの昂ぶりを少年に伝える。

 ……うわーっ! 馬車ん中で盛んなぁぁーっ!!

 あわあわする少年に呆れたかのようなコフィンの声が聞こえた。

『せやし言うたですやん。蜜月を済ました男はんは、半端なく嫁に執着しま。それこそ地球でいう目に入れて持ち歩きたいくらいにですな。……聞こえてないか』
 
 ……聞こえてるっ! それを言うなら、目に入れても痛くない、だっ! 阿呆ぅぅっ!!

 あっ、あっと喘がされ、毛皮に押し付けられつつ、ナイジェルに握り込まれた源之助のモノが固く張り詰めていく。

「気持ち悦いか? なあ?」

「悦ぃ……、は……っ、ナイジェルぅぅ……っ」

 トロリと零れる透明な蜜を意地悪く先端に塗り込まれ、ぴゃっと仰け反る嫁の細い背中。両手を前に回して棹を扱きながら、ナイジェルは玉袋も丁寧に揉んでやる。
 きゅうぅぅっと上がる玉を無理やり握り、こりこり擦り合わせるよう掌の中で弄んでやると、可愛い嫁は、息を呑み込みビクビクと痙攣した。

 ……すげぇ可愛ええ。ここか? それともこっち? あああ、挿れて掻き回してやりてぇな。

「……我慢しろよ? ここで出したら、毛皮が汚れるから」

 いつもの指輪を撫でて、ナイジェルが源之助の股間のリングを締める。
 無情にも少年の一物の根本を締め上げる極悪非道なリング。今にも達しそうなところで寸止めを食らい、源之助は涙目だった。

「くあ……っ? あっ! ひど……っ!」

「……出せなくてもイけるだろ?」

 舐めるように囁やき、ナイジェルは愛撫を続ける。

「あひゃ…っ! ひうぅぅ……んっ! ひ…っ、んんんんっ?!」

「このままイくか? それとも……挿れて欲しいか?」

 聞かなくても分かるだろうことを問われ、疼く身体を持て余した源之助は、彼の望む言葉を与えた。

「挿れ…っ、挿れてっ?」

「なんで疑問系なんだよ、変わんねえな、お前。嫁なんだから、もっと俺を欲しがれよ。ほら」

 ゴリゴリ押し付けられる彼の猛り。その布越しに脈打つ一物を挿れて欲しくて、少年は淫らなお強請りを口にする。

「ほ、欲しいっ、ちょうだい、ナイジェルっ」

「どうして欲しい? なあ、コレでどうされたい?」

 耳の奥まで尖らせた舌先でぴちゃぴちゃ抉じ開け、彼はさらなるお強請りを源之助に強要した。

 ……どうって。 はあっ! あっ! イく、イく、いぃぃぃっ!

 ぶるっと震えて甘いイきしながら、今にも零れそうなほど涙の溜まった潤んだ眼差しで、源之助は必死にナイジェルを求める。

「挿れ…て、あっ! 奥までっ、あひっ?!」

「奥まで……? それで?」

 うなじに噛みつき、チロチロ踊る淫猥な舌先。その擽るような愛撫が堪らなく、源之助は産毛まで逆立てて達した。イくばかりで精を与えられない少年の腹の中は爆発した色欲でドロドロだ。

「挿れて掻き回してっ! ぐちゃくちゃにっ! 僕の中にナイジェルのモノをブチまけてようぅぅっ!」

「はあ…… 堪んね。そんなに俺が欲しいかよ。……良いぜ、ブチまけてやるよ」

 満足いくお強請りをもらい、至極良い笑顔なナイジェル。

 少年の願いどおり、たっぷりとブチ込んでブチまけて、長い旅の余暇をイチャイチャと楽しむ二人。いや、楽しんでいるのは一人か。
 途中の小休止では源之助だけをイかせて精を吐かせ、馬車が出発するとまたゴロゴロ転がり、引き込んだ嫁を悪戯するナイジェル。

 そして夜の夜営では他の男達にも代る代る可愛がられ、源之助には休む暇もない。

 その分、翌日の午前中は甘やかし、ナイジェルは少年を優しく寝かせてくれる。

 いつもの微睡みに身を任せ、ナイジェルの膝枕で眠る源之助は、心地好いこの生活に慣れてきた。いや、慣らされた。

 ……自分の順応力に呆れ返るわ。

『さいですなあ。こちらには好都合ですけど』

 ……喧しい。

 こんな暮らしも悪くないと思いつつ、源之助はナイジェルの悪戯が始まるまで泥のように眠る。
 雌犬を連れて行く拠点というものが、いったいどんな所なのか知りもせずに。
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