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 理不尽な接待 10

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「…………」

「どうかなさいましたか? お嫁様」

「ささ、お取り寄せした果物でございます。閣下らもお好きなのですよ?」

 うふふ、おほほと周りに侍る男達。

 あ~っと軽く天を仰ぎ、リドルは侍る使用人らの年若そうな少年を抱き込んだ。

「えっ? あ、お許しをっ!」

 されることを理解して、少年はか弱い抵抗をみせる。それに、にや~っと悪い笑みを浮かべ、リドルは少年を懐に引き倒し可愛がった。

「初心だねぇ? お兄さんとイイコトしよ?」

「駄目です、お嫁様っ!」

「いけませんっ、閣下に叱られますよ?」

 慌てて止めようとする使用人達だが、まだ婚儀を上げていない貴族の婚約者に触れるわけにはいかない。そんなことをしたら、婿たる貴族の逆鱗に触れる。
 だからこそ引き倒された少年も涙目なのだ。これが主に知れようものなら、よくて鞭打ち、悪くすると手足のどこかを落とされる。
 そんな貴族家のしきたりなど知らないリドルは、遠慮なく少年のモノを扱いた。
 深く口づけられ、乳首を爪弾かれながら一物を嬲られる少年は、羞恥と恐怖と快感で頭の中がぐちゃぐちゃだった。
 
「う…ぶ、ん…うぅ、んんっ、んーーーっ!!」

 リドルの手管に踊らされ、あっという間に少年は弾ける。その忙しなく上下する胸の頂きを舐め、リドルは淫猥に嗤った。

「か~わいい。めちゃくちゃ感じてるじゃん? 俺のもしてよ」

「あっ、ぁん……うぐ……っ」

 うっとり上気した少年の頭を掴み、リドルは自分のモノを咥えさせる。そして、ゆっくり腰を動かし、少しずつ奥へと捩じ込んでいった。

「あ……ふぅ、ん……上手だ。ほら、もっと呑みこめ……」
 
「んぅっ! ん……? んんん………っ!!」

 ごちゅっと根元まで呑み込まされ、少年の四肢が強張った。その哀れな姿に舌舐めずりし、リドルは突き上げを早めていく。

 ……と、そこで開く部屋の扉。

 ばんっと開けられた扉から入ってきたのは、閣下とその弟達。

「……浮気か? よくもまあ堂々と」

「はあ? たんなるスキンシップさ。可愛いだろ? ひんひん泣くんだぜ?」

「も……申し訳ございません、御主人様ぁ……」

 はあはあ泣き腫らした顔で、ひたすら平伏する少年。それの頭を踏みつける閣下の軍ブーツ。

「ちょっ? 何してんだ、やめろっ!」

 咄嗟に少年の身体を引き寄せ、リドルは背後に隠した。それがさらに気に入らない閣下。

「私の忍耐を試しているのか? それとも愛情を? どちらも有り余るほど持っているつもりだがね…… それより多いのは悋気だ」

「……へ?」

 言うが早いか、閣下はリドルの髪を掴んで上向かせた。

「……ってぇっ! 離せよ、おいぃぃっ!」

「初犯だし、今回は見逃してやるが…… 次にやったら、また貞操帯をつけるぞ? それでもやったら両手を拘束して、次は口枷…… 目隠し…… どこまで縛り付けたら君は素直な嫁になるかな?」

 ぎらりと昏い光を一閃させる閣下の眼。獰猛な視線に絡みつかれて、リドルは全身を粟立てた。

 ……やべえ、本気だ、こいつ。

 平民なリドルは王侯貴族の貪欲さを知らない。特に男の情欲を。
 平民のように奔放ではない上流階級。全ての子供は超箱入りで、夜会ぐらいでしか可愛がりを受けることもない。
 ゆえに素直な純粋培養。それは跡取りたる人間も同じだ。特に嫁不足でもあったため、手に入れた獲物への執着は半端ない。
 平民だって嫁を繋いで監禁するのが普通なのだ。財力、権力を持ち、とことん執着する輩が嫁をどうするかなどお察しだ。

「勘弁して……く……れよ。俺ぁ、平民なんだ……分からねぇよ……っ」

「……平民は嫁の浮気を許すのか?」

「………すまない」

 痛いところをつかれたリドル。自分だって、許婚になった源之助が浮気するなど許しはしなかった。街で男に声をかけられただけで嫉妬し、お仕置きした。

 ……こいつも同じか。

 その返事に満足したのか、閣下はリドルに口づけ、ひょいっと抱き上げる。

「……今後、こいつには老人の側仕えだけをつけろ。遊ぶ気も起きないくらいな」

 嫁が珍しく素直に謝っただけで、閣下は上機嫌だった。

 ……何気に、ちょろいな、閣下は。

 こうして綱渡りなリドルの遊びが始まる。どこまでなら閣下に許されるかというチキンレース。

 強かな嫁に遊ばれる未来を、閣下は知らない。
 
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