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 狂乱との遭遇 3

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「かは……っ! う、うぅぅ!! やめ…っ、…てっ!」

「なんでぇ? ここでもイけるだろ? 出させないけどさ?」

 くっくっとくぐもった笑いをもらし、ヒューは弟の御立派様に捩じ込んだ玩具をぐちゅぐちゅ動かした。狭い鈴口を貫く長いプジー。それに先端から最奥まで掻き回されて、ショーンは震えるほどの快感に身悶える。
 ひいひい泣き喚く弟の顎を背後から掴み、ラウルはショーンを貫いたまま熱い吐息を耳に吹きかけた。鼓膜まで舐めるような艶めかしい吐息。昂る雄の息遣いは、ショーンの反抗を梳る。

「中がぎゅんぎゅん蠢いてるぞ? 嫌がるわりに身体は悦んでいるな…… ほら、チイに撫でてもらえ」

 ごちゅごちゅ最奥を突き上げるラウル。それに反応して暴れるスライムの激しい動きもあいまり、ショーンは前も後ろも兄らに責め立てられて失神寸前である。

「チ、チイ……っ! 俺……っ、んぅ……」

 ヒューはプジーを動かすかたわら、小脇に抱えた千里も可愛がっていた。くちゅくちゅとお豆を摘み、撫で回す器用な指。それに翻弄される彼女は、ショーンの正面に固定されていて、兄達に嫐られる二人はお互いに貪るよう口づけを交わす。

「ショーン、ショーン、ショーン……っ」

 はあはあ喘ぎながら、夢中で唇を合わせる妻二人。そのあまりに扇情的な光景が、ラウルとヒューの雄を猛らせた。

「夜は長い。寝られると思うなよ、ショーン」

「チイは疲れたら終わろうな。先に眠って良いぞ?」

 雌を求める雄の本能。相性の良い個体同士で擬似的なソレを行うことは可能だが、本物の雌のソレは相性を越える。
 千里から散々蜜や唾液をすすり、爆発的な情欲を得た三人は、ラウルの言葉通り朝まで貪りあった。途中で許されたものの、ねっとり絡みつく兄らの劣情は深く、陰囊が空っぽになってもショーンを求める。

「も、むり……っ、むりだってぇぇ…、うぇっ、…ぇぇえん」

「泣ける間は余裕だ。まだまだイけるだろ?」

「そうそう。……はあっ、堪らねえな、ずっと挿れてられるわ、俺ぇぇ」

 抜かずの何発注がれたのか。どうやら突き殺されてしまったらしいスライムが動かなくなったのだけが幸いのショーン。

 失神しても無理やり起こされ、本当に空が白むまで可愛がられたショーンは、珍しく翌日腰がたたず、ベッドの住人に成り果てる。
 さすがに罪悪感を抱いたらしい兄貴ーズに甲斐甲斐しくお世話されながら。

「………もう、知らん。絶対ぇ許さない」

「……そりゃないよ、お前も承知しただろう?」

「そうだぞ? お仕置きは前半のみで、あとは愛し合っただけじゃないか。妻なら当然の……」

 あれこれ言いわけするラウルとヒュー。それにブチ切れ、ショーンがガバっと起き上がった。

「それぞれならなっ? その両方が合わさったら、ただの暴力なんだよっ!! ?! ~~~~~~~っっ!!」

 勢い良く身体を動かしたため、背筋を突き抜ける激痛にショーンはへなへなと崩折れた。それに慌てて、ラウルとヒューが駆け寄っていく。

「ばかっ! 起きるなって、ほらっ!」

 優しく弟を抱き上げて、そっと身体を横にさせるヒュー。その手つきには慈愛しか見えない。労るように何度もショーンの腰をさすり、ショーンも落ち着いたのか細く淡いため息をついていた。

「静かに寝ていろ。さ、食べられそうか? 起きなくて良い。枕だけ…… そう、顔を横にして」

 枕を充てがって頭を高くし、ラウルは運んできた食事をショーンの口に運ぶ。何度も匙を往復して食べさせるラウルの目にも慈愛しか浮かんでいない。
 如何にも可愛くて仕方なくて、デロ甘な二人を呆れたような顔で見つめ、千里は少し離れた位置から兄弟を見守っていた。

 ……夕べから、いったい何を見せられているのだろうか、アタシは。

 悋気丸出しな兄貴ーズ。

 千里を一人占めしたとか、お仕置きだとか。どれもこれも取ってつけた理由にしか思えない。たんに、妻を可愛がる理由が欲しいだけ。この光景が雄弁に物語っている。
 
 ……アホくさ。どっちに嫉妬したんだか。

 一人占めしたショーンになのか、一人占めされた千里になのか。男心は複雑怪奇。
 まあ、彼らが幸せならそれで良いかと達観する千里。

 だが、彼女は知らない。獣人のねちっこい執着を。

 兄達から妻とされるショーンが受けている溺愛は、この先、三兄妹と関係を持つ千里にも降りかかることを。
 今は庇護下であっても身体の関係がないため、ラウルらの千里に対する執着心は淡い。しかし身体繋げて精を注ぎ、自身のマーキングした獲物には半端なく執着するのが肉食獣だ。
 そこにショーンも加わるのだから、彼女の未来は監禁確定。ドロドロに甘やかされ始終絡みつかれる日々が待っている。



「やはり繋いでおくべきか? ショーンは少しやんちゃが過ぎるから」

「ん~、新居は、そうすっか。泣いて嫌がるだろうけど、コイツの泣き顔は可愛いし。ひょっとしたらおねだりしてくれるかもしれないしなぁ? なんでもするから外してくれとか? ふふ、何させてもらおうかなぁ」

「ああ、良いな、それ。すごく可愛いな」

 疲れ果てて眠る妻を優しく撫でてやりなが、口にするのは鬼畜な妄想。

 これがオウチという世界だった。
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