【フリー台本／朗読＆掛け合い】「小さな幸せのお手伝い」

［朗読・語り］

【第３話】「"天使の"おはなし」

──我は天使。我々には１日のノルマってのがあってさっ！　なんと１日に２０件の人間達に"幸運"をお届けしなきゃいけないワケよっ！　しかもこれまた何気に面倒な仕事内容なもんで。
　"幸運"は大き過ぎても小さ過ぎてもいけない。大き過ぎたら人はお調子者になって何かしらやらかしてしまう……逆に、小さ過ぎてもそれが幸運だと気づけない可能性もあるんだよね。びちょーせー（※微調整）ってやつが重要なんだよ。大変じゃね？　こんな大変な仕事を毎日毎日お勤めしてる我超超ちょー偉くない？　当たり前？　ハイソーデスカ。
　さーてさて、現在人間達に１８件もの幸運を与えましたとさ、ありがたく思え！　あと少しでノルマがたっせー（※達成）できるどー！　がんばるどー、おー！　……これ今真顔で心ン中で呟いてるからね？　そーとー冷めきってるよ。まぁ今冬だし、全部ぜぇーんぶ冬のせいにしちまえっ！　さっさと終わらせて帰宅してビールと砂肝喰らうぞー！　命ありがたくイタダキマス……はい合掌！！
　ん？　……ぉおっ！　あんなところに人間の男の子が公園のブランコで座り込んでるじゃん！　ノルマ残り少しだし、あそこら辺でさっさと幸運を与えて終わらせますかねっ！　はぁーい近づきまして……おやおや、どうやらこの子泣き疲れてるのか目元が真っ赤だよ！　何があったん？　天使サンがハナシキコカ？　……まぁ冗談はさておき、ちょいと頭ン中覗かせてもらいますン……あら！　この子、好きな子を泣かせちゃったのね！　ぁーあー、そりゃヘコむわな。
　おしっ！　このスーパーウルトラパーフェクト天使サンっがッ！　二人をくっつけ……るのは流石に幸運が大き過ぎるから、仲直りのお手伝いをしよう！　待ってな！　このスーパーウルトラかっこ以下略がその子を見つけてくるからな！　レッツゴー！　さて、その女の子はどこに……ん？　意外と近くにいる！　空から見渡せるっていいねっ！　見つけやすいもん。
　女の子は何をして……あらネコちゃん！　木に登って下りれなくなっちゃったんだね。可哀想に、女の子も心配してるよ。──ん？　……ピーン！　……ここで我はイイコトを思いついた。よぉし早速さっきの少年の所へいくどー！　……ぁ、いたいた！　ぉーいメソメソしてる場合ちゃうで！　ぇー……と、どう誘導しようかな。あ！　我がネコになりゃいいんだ！　必殺！　ネコの鳴き真似！　ナァーオ……フッ、我ながら上手い。ほら！　少年が不思議がって立ち上がって声のした方向がどこか探し始めてる！
　よぉーしよし、こっちだよー！　お、お！　よっしゃ合流～！！　ふふ、二人ともビックリしてるね！　……後はまぁ、頑張れッ！