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15.脅かされた安寧
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帝都に魔女を発見次第、警備隊もしくは兵団に知らせる事を義務とする命令が新聞と掲示板を使って大々的に発表されたのは、産婆を保護してから二日後の事だった。
従わなかった者には厳罰が課せられる内容に、帝都は一気に重苦しい空気に包まれていった。
店は臨時休業となり、静まり返った食堂に集まったヒュー娼館の者達は何とも言えない不安を抱えたまま黙り込んでいた。
「今は産婆やひっそりと営業していた薬師や占い師達が狙われているらしい。うちみたいな所はまだ大丈夫だろうが、評判の良くない娼館にもすぐに疑いの目が向くだろうな。そうなったらいずれはうちの番って訳だ。そういえばディアンヌはどこだ?」
マイノが腕組をしながら辺りを見渡し、足りない者達を確認し出している。部屋にいる者達もいるから全てが集まっている訳ではないが、こんな時は皆でいる方がいいと思いウィノラは捜索をかって出た。
「ディアンヌ? いないの?」
扉を叩いてみるが返事はない。仕方なくドアノブを回してみると、扉には鍵がかかっていなくすんなりと開いた。
「ディアンヌ?」
ウィノラは部屋と飛び出すと食堂に走って戻った。
「ディアンヌがいないの! 荷物も無くなっているわ!」
「ほんっとうにもう! 次から次へと」
アデリータは頭を抱えながら立ち上がった。
「探しに行って来るよ。皆はもう部屋に戻りな。こんな所に集まっていても仕方ないだろう」
その時、食堂の入り口が激しく開き、門番が飛び込んできた。
「女将、ディアンヌが捕らえられたそうです!」
静まり返っていた娼館に怯えた悲鳴が上がる。アデリータは門番の後ろにいる男に視線を向けた。
「クラウゼ伯爵様、どうしてこちらに……」
「バラード様!」
座り込んでいたデルマがマントを外したバラードに飛び付くと、バラードは抱き止めながらアデリータを見た。
「急ぎの用事があるからすぐに戻らなくてないけない。デルマと数人なら連れて行けるがどうする?」
早口にそう言うと、その言葉にデルマは腕に力を入れてバラードから離れた。
「嫌よ、行かないわ」
「デルマ! 我儘を言っている場合じゃないんだ! ディアンヌが軍団に捕まった。しかも第一師団だ。いずれここも帝国の知る所になるぞ」
「それからなおさら行けないわ。私も皆と一緒にここに残る」
「デルマ! 頼むから言う事を聞いてくれ」
「自分だけ助かる為にあなたと行けと? 私の家族は皆ここにいるもの!」
「私は確かにまだ家族じゃないが、それじゃあこんな時は一緒に居られないのか?」
「もう行って! 出て行って!」
デルマは叫び声を上げると奥へと消えて行った。
「クラウゼ伯爵様、ディアンヌが第一師団に捕らえられたというのは本当でしょうか」
「残念な事に本当だ。しかし何故ディアンヌは帝都を出ようとしていたんだ? この時期に妙な行動を起こせば目を付けられる決まっているじゃないか」
「……私のせいだわ」
「ウィノラ?」
「きっとロラを迎えに行こうとしたのよ。ディアンヌはロラを凄く心配していたから」
「それで帝都を出ようとしたのかい。今娼館の女が帝都を出ようとすれば逃亡しようとしていたと思われてもおかしくはないだろうね」
「貴族達の間にももちろん今回のご命令に疑問を持っている者達がいるんだ。その者達と共に協力して、なんとか陛下にお考えをお変え頂こうと謁見を申し出ている最中なんだよ。その合間にデルマを連れて行こうとしたんだが、すっかり嫌われてしまったようだな」
「デルマは気が動転しているだけですから、きっとすぐにクラウゼ伯爵様の元に向かうと言い出すはずです」
「そうだといいが。また時間を開けて迎えを寄越すからその時はデルマ以外の者達も受け入れよう。といっても数人程度だが」
「数人で十分です、ありがとうございます。こちらで選別して一緒に行かせます」
「そうしてくれ、くれぐれも皆気をつ付けるように。頼んだぞ、アデリータ」
「お任せ下さい」
「クラウゼ伯爵様なら帰ったよ」
アデリータは暗い厨房に膝を抱えて座っていたデルマの前に行くと、そっとその肩を抱き寄せた。
「クラウゼ伯爵様の為にした事なんだろう?」
「……私が一緒だったらあの人も捕らえられしまうわ」
「偉かったね。デルマは本当にクラウゼ伯爵様を愛しているんだね」
「うぅ、女将、私悲しいわ。とっても苦しいのよぉ」
しがみつくように泣き続けるデルマを、アデリータは抱き締め続けた。
「あまり気にしないようにね」
食堂の入り口から離れたウィノラとイリーゼは、中の二人に気づかれないようにそとその場を後にした。
「ロラを行かせたりしなければこんな事にはならなかったのに……」
「どのみちこうなっていたわ。皇帝陛下が望んだのならいずれ片っ端から怪しい者達は連行されたはずだもの。それにそうなったら怪しまれるのはこういう女だらけの場所だからね」
「さっきの第一師団ってどういう人達なの?」
「この国の軍事力そのものであるアイテル軍団の中でも、特に恐ろしいのが第一師団よ。第一師団の旗を見ただけで敵は逃げ出す程で、戦闘の精鋭集団と言った所ね。師団長は第一皇子のガリオン殿下よ」
「ガリオン殿下……」
最も皇帝の地位に近いとされている第一皇子。十五歳の頃から戦場に趣き、数々の戦歴を持つ異色の皇子だった。帝国民はそんなガリオン皇子を支持する者達が大多数を締めている。特に支持を集めているのが若い男性達からで、ガリオン殿下に憧れて警備隊や兵団を志望する若者達が多くいると、警備隊の客達が話しているのを聞いた事があった。
「第一師団に捕まったのならディアンヌがここの事を吐くのも時間の問題だわ」
「何それ、まるで拷問でもされるのが当然みたいに!」
イリーゼは苦しそうに唇を噛んだ。
「駄目よ、絶対に駄目! 助けないと。クラウゼ伯爵に頼んでなんとかならないの? イリーゼ姉さん!」
「相手はこの国の皇子なのよ! 下手をすればクラウゼ伯爵も捕らえられてしまうわ!」
「皇子……そうよ。皇子よ!」
「ウィノラ、まさかオーティス殿下に頼む気じゃないでしょうね?」
「オーティス殿下のお母様は第二側妃様よ。あの時エデル殿下の治療の報酬はいりませんと言ってきたけど、でもやっぱり貰う事にする。そしてディアンヌを釈放して貰えるようにお願いしてきます!」
「そんな事したら危険よ。女将さんに相談しましょう」
「止めても無駄よ。ディアンヌは絶対に助けてみせるから!」
ウィノラは走り出した。エデルの屋敷までは走っていける。いつ来るか分からないオーティスの迎えを待つ事は出来ない。屋敷に行けば皇宮に連絡をしてもらえる。表向きオーティスは支援者なのだから連絡をしても不審がられる事はない。ウィノラは街の中だけは早歩きで目立たないように進み、人気が途絶えだした脇道に入ると、エデルのいる屋敷へと坂を駆け上がって行った。
屋敷に到着したのは夕暮れになる頃だった。
「すみません開けて下さい! 誰かいませんか?!」
いつもならすぐに使用人が出迎えてくれていた。今は走って来たのだから気づかれなかったとしても、玄関を叩いても返事がないのはおかしい。扉を開けようとした所で鍵が掛かっている事に気が付いた。庭に周り中の様子を伺うが誰の姿も見当たらない。元々使用人の数が少ないから中の方にいれば気付かないかもしれない。しかし何度声を掛けてもどこの窓も開いてはいなかった。
「どうして誰もいないのよ。そうだ、レン! どこにいるの?」
しかし返事はない。気配を探ってみてもレンがいる場所が分からなかった。それはレンが自発的に意識を閉ざした事を意味していた。本来フェッチは魔女の能力の一部でありどこにいても繋がっている。しかしフェッチにも意志があり、故に勝手に行動する事もある。しかしレンがそんな事をしたのはこれが初めてだった。
「レン! どこにいるの? レン!」
庭で一人叫んだ声は、薄暗くなり始めた空に吸い込まれるように消えていった。
トボトボと歩いていると、あと少しで大通りという所で目の前に見知らぬ男達が目の前に現れた。声が出ない。怖くて堪らない。本当に恐ろしい時は悲鳴など出ないのだと知った瞬間には、あっという間に取り囲まれていた。
「やめ……」
叫ぼうとした瞬間首の後ろに衝撃が走り、ウィノラの意識は途絶えていた。
従わなかった者には厳罰が課せられる内容に、帝都は一気に重苦しい空気に包まれていった。
店は臨時休業となり、静まり返った食堂に集まったヒュー娼館の者達は何とも言えない不安を抱えたまま黙り込んでいた。
「今は産婆やひっそりと営業していた薬師や占い師達が狙われているらしい。うちみたいな所はまだ大丈夫だろうが、評判の良くない娼館にもすぐに疑いの目が向くだろうな。そうなったらいずれはうちの番って訳だ。そういえばディアンヌはどこだ?」
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「ディアンヌ? いないの?」
扉を叩いてみるが返事はない。仕方なくドアノブを回してみると、扉には鍵がかかっていなくすんなりと開いた。
「ディアンヌ?」
ウィノラは部屋と飛び出すと食堂に走って戻った。
「ディアンヌがいないの! 荷物も無くなっているわ!」
「ほんっとうにもう! 次から次へと」
アデリータは頭を抱えながら立ち上がった。
「探しに行って来るよ。皆はもう部屋に戻りな。こんな所に集まっていても仕方ないだろう」
その時、食堂の入り口が激しく開き、門番が飛び込んできた。
「女将、ディアンヌが捕らえられたそうです!」
静まり返っていた娼館に怯えた悲鳴が上がる。アデリータは門番の後ろにいる男に視線を向けた。
「クラウゼ伯爵様、どうしてこちらに……」
「バラード様!」
座り込んでいたデルマがマントを外したバラードに飛び付くと、バラードは抱き止めながらアデリータを見た。
「急ぎの用事があるからすぐに戻らなくてないけない。デルマと数人なら連れて行けるがどうする?」
早口にそう言うと、その言葉にデルマは腕に力を入れてバラードから離れた。
「嫌よ、行かないわ」
「デルマ! 我儘を言っている場合じゃないんだ! ディアンヌが軍団に捕まった。しかも第一師団だ。いずれここも帝国の知る所になるぞ」
「それからなおさら行けないわ。私も皆と一緒にここに残る」
「デルマ! 頼むから言う事を聞いてくれ」
「自分だけ助かる為にあなたと行けと? 私の家族は皆ここにいるもの!」
「私は確かにまだ家族じゃないが、それじゃあこんな時は一緒に居られないのか?」
「もう行って! 出て行って!」
デルマは叫び声を上げると奥へと消えて行った。
「クラウゼ伯爵様、ディアンヌが第一師団に捕らえられたというのは本当でしょうか」
「残念な事に本当だ。しかし何故ディアンヌは帝都を出ようとしていたんだ? この時期に妙な行動を起こせば目を付けられる決まっているじゃないか」
「……私のせいだわ」
「ウィノラ?」
「きっとロラを迎えに行こうとしたのよ。ディアンヌはロラを凄く心配していたから」
「それで帝都を出ようとしたのかい。今娼館の女が帝都を出ようとすれば逃亡しようとしていたと思われてもおかしくはないだろうね」
「貴族達の間にももちろん今回のご命令に疑問を持っている者達がいるんだ。その者達と共に協力して、なんとか陛下にお考えをお変え頂こうと謁見を申し出ている最中なんだよ。その合間にデルマを連れて行こうとしたんだが、すっかり嫌われてしまったようだな」
「デルマは気が動転しているだけですから、きっとすぐにクラウゼ伯爵様の元に向かうと言い出すはずです」
「そうだといいが。また時間を開けて迎えを寄越すからその時はデルマ以外の者達も受け入れよう。といっても数人程度だが」
「数人で十分です、ありがとうございます。こちらで選別して一緒に行かせます」
「そうしてくれ、くれぐれも皆気をつ付けるように。頼んだぞ、アデリータ」
「お任せ下さい」
「クラウゼ伯爵様なら帰ったよ」
アデリータは暗い厨房に膝を抱えて座っていたデルマの前に行くと、そっとその肩を抱き寄せた。
「クラウゼ伯爵様の為にした事なんだろう?」
「……私が一緒だったらあの人も捕らえられしまうわ」
「偉かったね。デルマは本当にクラウゼ伯爵様を愛しているんだね」
「うぅ、女将、私悲しいわ。とっても苦しいのよぉ」
しがみつくように泣き続けるデルマを、アデリータは抱き締め続けた。
「あまり気にしないようにね」
食堂の入り口から離れたウィノラとイリーゼは、中の二人に気づかれないようにそとその場を後にした。
「ロラを行かせたりしなければこんな事にはならなかったのに……」
「どのみちこうなっていたわ。皇帝陛下が望んだのならいずれ片っ端から怪しい者達は連行されたはずだもの。それにそうなったら怪しまれるのはこういう女だらけの場所だからね」
「さっきの第一師団ってどういう人達なの?」
「この国の軍事力そのものであるアイテル軍団の中でも、特に恐ろしいのが第一師団よ。第一師団の旗を見ただけで敵は逃げ出す程で、戦闘の精鋭集団と言った所ね。師団長は第一皇子のガリオン殿下よ」
「ガリオン殿下……」
最も皇帝の地位に近いとされている第一皇子。十五歳の頃から戦場に趣き、数々の戦歴を持つ異色の皇子だった。帝国民はそんなガリオン皇子を支持する者達が大多数を締めている。特に支持を集めているのが若い男性達からで、ガリオン殿下に憧れて警備隊や兵団を志望する若者達が多くいると、警備隊の客達が話しているのを聞いた事があった。
「第一師団に捕まったのならディアンヌがここの事を吐くのも時間の問題だわ」
「何それ、まるで拷問でもされるのが当然みたいに!」
イリーゼは苦しそうに唇を噛んだ。
「駄目よ、絶対に駄目! 助けないと。クラウゼ伯爵に頼んでなんとかならないの? イリーゼ姉さん!」
「相手はこの国の皇子なのよ! 下手をすればクラウゼ伯爵も捕らえられてしまうわ!」
「皇子……そうよ。皇子よ!」
「ウィノラ、まさかオーティス殿下に頼む気じゃないでしょうね?」
「オーティス殿下のお母様は第二側妃様よ。あの時エデル殿下の治療の報酬はいりませんと言ってきたけど、でもやっぱり貰う事にする。そしてディアンヌを釈放して貰えるようにお願いしてきます!」
「そんな事したら危険よ。女将さんに相談しましょう」
「止めても無駄よ。ディアンヌは絶対に助けてみせるから!」
ウィノラは走り出した。エデルの屋敷までは走っていける。いつ来るか分からないオーティスの迎えを待つ事は出来ない。屋敷に行けば皇宮に連絡をしてもらえる。表向きオーティスは支援者なのだから連絡をしても不審がられる事はない。ウィノラは街の中だけは早歩きで目立たないように進み、人気が途絶えだした脇道に入ると、エデルのいる屋敷へと坂を駆け上がって行った。
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「すみません開けて下さい! 誰かいませんか?!」
いつもならすぐに使用人が出迎えてくれていた。今は走って来たのだから気づかれなかったとしても、玄関を叩いても返事がないのはおかしい。扉を開けようとした所で鍵が掛かっている事に気が付いた。庭に周り中の様子を伺うが誰の姿も見当たらない。元々使用人の数が少ないから中の方にいれば気付かないかもしれない。しかし何度声を掛けてもどこの窓も開いてはいなかった。
「どうして誰もいないのよ。そうだ、レン! どこにいるの?」
しかし返事はない。気配を探ってみてもレンがいる場所が分からなかった。それはレンが自発的に意識を閉ざした事を意味していた。本来フェッチは魔女の能力の一部でありどこにいても繋がっている。しかしフェッチにも意志があり、故に勝手に行動する事もある。しかしレンがそんな事をしたのはこれが初めてだった。
「レン! どこにいるの? レン!」
庭で一人叫んだ声は、薄暗くなり始めた空に吸い込まれるように消えていった。
トボトボと歩いていると、あと少しで大通りという所で目の前に見知らぬ男達が目の前に現れた。声が出ない。怖くて堪らない。本当に恐ろしい時は悲鳴など出ないのだと知った瞬間には、あっという間に取り囲まれていた。
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