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160・エチュード
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「だいぶ遅くなったな」
時計で時間を確認しながら階段を下っていく。
現在の時間は十八時二十八分。
レッスン室を出てからすでに一時間半近く経過している。
セルニアはまだレッスンをやっているんだろうか?
それともすでに終わって、俺が戻ってくるのを待ちくたびれているとか。
そんなことを考えながら、すっかりぬるくなった午後ティーホットと、アイス午後ティーを両手に、早足で三階のレッスン室へ戻る。
「すみません、戻りました」
防音しようが施された、通常よりも分厚い扉の向こう。
そこには、まだセルニアがいた。
出てきたときと同じように岩永先生、水原さんたちに見守られて、にゃーにゃーと楽しそうにボイストレーニングを受けている。
ただ、一つだけ出てきたときと違っているのは……
「あら、お帰りなさいませ」
なんか、セルニアの頭に猫耳が付いていた。
柔らかそうな毛がもふもふとリッパに生えた猫耳。
見事な猫耳お嬢さまである。
これはいったいなんじゃらほい?
俺の願望がもたらした幻覚か?
いや、これはレッスンの一環で、着けていると音感が良くなるとか、声の響きが良くなるとかそういう感じのアイテムかも。
「あれはアタシの趣味よぉーん」
岩永先生の身も蓋もない答えが返ってきた。
「だってぇ、一生懸命に歌う麗華ちゃんがあんまり可愛いから、ついイジりたくなっちゃってぇーん。
下の声優フロアのマネージャーに借りてきたのぉ。でも、どうどう? 良い感じにはまってるでしょぉーん」
めっちゃ個人的な理由だった。
まあ、確かに猫耳を着けて、さらに手を猫手にして一生懸命にゃーにゃー歌うセルニアの姿は、めっちゃ可愛いんだけど。
しかも本人、明らかに楽しんでいる。
そんなふうに見ていると、岩永先生が、
「あら、気に入ったぁ? だったらあなたも着けてみないぁーい、これぇ」
「え?」
いきなり岩永のオッサンがそんなことを言い出した。
「うん、きっと似合うわよぉーん。あ、もしネコがあんまり好きじゃないんだったら犬耳とかうさ耳とかも用意できるわよぉ」
「全力で遠慮させていただきます」
「えぇーん、そんな即答しなくてもぉ。残念ねぇ。絶対似合うと思ったんだけどぉ」
それは男として致命的ななにかを失うような気がする。
しかしセルニアが、
「え? 貴方も着けるのですかっ?」
期待の眼差しを向けていた。
俺はその期待の眼差しを見なかったことにした。
「さてと、それじゃボイストレーニングはこれくらいにして、次はエチュードをやってみましょうか」
「エチュード」
セルニアが猫耳を着けたまま首をひねる。
「練習曲ですか?」
「ああ、違うのぉ。確かにピアノとかではそういう意味だけどぉ、こういったレッスンでは演技練習のことを言うのぉ。
まあ、簡単に言うとぉ、お題を与えられてぇ、それに沿って演技を即興劇みたいな物かしらぁーん。分かるぅ?」
「はい、わかりますわ」
「それじゃあ、まずはとにかくやってみましょうか。案ずるよりも三つ子を産むが易しっていうしねぇーん」
そう言うと岩城先生は、箱を持ってきた。
小さなミカン箱くらいの大きさの、何の変哲も無い箱。
「この中にはカードが入ってるのぉ。で、カードには色んなシチュエーションって言うか、色んな状況が書かれている。
そのカードを引いて、でたカードにある指示に従って、その状況をアドリブで演じる感じねぇーん。いい?」
「はい」
「じゃあ、引いてちょうだい」
言われて相変わらず猫耳をつけたままのセルニアは、箱の中からカードを取り出す。
出てきたカードに書かれていたのは、
「どれどれ。うん。
さみしがり屋の女の子が、大きくなりすぎて飼いきれなくなっちゃった、ペットのコモドオオトカゲと、夕日が照らす河原で涙の別れをするしーん。
あら、素敵じゃない」
いやいや、待て待て待て。
素敵とか言う以前に、飼育していた巨大爬虫類の不法投棄だろう。
なんか良い話っぽくまとめてるけど。
俺のそんな内心の突っ込みなどは、セルニアが知るよしもなく、
「分かりましたわ」
と素敵な笑顔で答えた。
そう言えば、セルニアもお嬢さまだし、あの大きな館にはもしかして、見てはならない生き物が飼育されているのだろうか?
「そうよぉ。細かいシチュエーションとかは、その場に応じて自分で設定しちゃっていいから、とにかくやってみてくれるかしら?」
「はい、分かりましたわ」
そしてエチュードが始まった。
「……きょ、今日で、お別れなのですね、パトラッシュ」
棒読みだった。
「わ、わたくし、お別れしたくありませんわ。もっと、あなたと、一緒に居たいですわ」
メチャクチャ棒読みだった。
一生懸命な表情で演技をセルニアなんだが、別にわざと棒読みではなくて、単純に演技をすること自体が初めてらしい。
ピアノとか、その手のコンクールに出場しているから、人前に出ること自体は平気だけど、これは初めての上に、セルニアには演技の才能が無いらしいのだ。
「あなたが、いにゃくなってしまったら……」
途中で噛んだ。
「わたくしは、ど、どうやって、生きていけば良いのか、わからなくて……」
その表情はそれまでのものとは違い、かなり緊張している。
ただ撮られるだけだった写真撮影や、習っていたという発声法に近い、比較的なじみのあったボイストレーニングと比べて、今回は初めての体験の上、自分から能動的にアドリブを入れるというのが、上手くいかないらしい。
周りでは、水原さんと岩永先生も、
「これって、吉祥院さん、人前で演技をするとかは苦手なのかしら」
「うーん、さっきのボイトレを見る限り、センスは基本的に悪くないはずなのに、どうしてこうなっちゃってるのかしら? んんー?」
困ったように、揃って首をひねる。
その視線を受けて、また自分でもぎこちない演技になってしまっていることは分かっているのか、セルニアの表情が焦った物になっていき、ますます棒読みに拍車がかかる。
「えーと、麗華ちゃん。もう少しリラックスって言うか、肩の力を抜いた感じでやってみてくれるかしら?」
「あ、はい」
「緊張とかしなくて良いからねぇ。自然に語りかけるつもりでやればばっちりだから」
「分かりましたわ」
うなずき返して演技を再開する。
だが自然にやることを意識すればするほど、緊張のスパイラルにはまっていくようで……
「わ、わたくし、あなたにゃ、あなたが……その……つまり……」
もはやメタメタ。
これ以上続けてもセルニアのプライドが傷付き、落ち込む一方で、いたたまれない気分になるだけだ。
ここは一度、仕切り直して落ち着かせるべきだと思う。
「あの、すみません」
「なぁに?」
「あの、セルニアも疲れてきたみたいですし、この辺で少し休憩を入れて」
「あ、そうだったわ」
そこに突然、俺の顔を見た水原さんが、パンと手を鳴らした。
「すっかり忘れてた。ねえ、あなた。良かったら一緒にやってみないかしら?」
「え?」
いきなり指名された。
「ほ、ほら吉祥院さんは緊張してるみたいだから、あなたが一緒にやってくれれば少しは落ち着くんじゃないかと思って。どうかしら?」
「それは……」
セルニアの力になれるのは願ってもないことなんだが。
俺はセルニアの方を見ると、レッスン室の中央で俯き、群れからはぐれたペンギンの子供みたいな表情をしていた。
そうだな。
少なくとも、このままセルニア一人で続行させるよりはいいかもしれない。
「わかりました、やります」
「ホント?」
「ええ、もちろん」
「じゃあ、さっそくやりましょう」
水原さんが意気込み、そんな流れでエチュードに参加することとなった。
しかし、なんだか最近、演技や演劇になぜか縁があるな。
時計で時間を確認しながら階段を下っていく。
現在の時間は十八時二十八分。
レッスン室を出てからすでに一時間半近く経過している。
セルニアはまだレッスンをやっているんだろうか?
それともすでに終わって、俺が戻ってくるのを待ちくたびれているとか。
そんなことを考えながら、すっかりぬるくなった午後ティーホットと、アイス午後ティーを両手に、早足で三階のレッスン室へ戻る。
「すみません、戻りました」
防音しようが施された、通常よりも分厚い扉の向こう。
そこには、まだセルニアがいた。
出てきたときと同じように岩永先生、水原さんたちに見守られて、にゃーにゃーと楽しそうにボイストレーニングを受けている。
ただ、一つだけ出てきたときと違っているのは……
「あら、お帰りなさいませ」
なんか、セルニアの頭に猫耳が付いていた。
柔らかそうな毛がもふもふとリッパに生えた猫耳。
見事な猫耳お嬢さまである。
これはいったいなんじゃらほい?
俺の願望がもたらした幻覚か?
いや、これはレッスンの一環で、着けていると音感が良くなるとか、声の響きが良くなるとかそういう感じのアイテムかも。
「あれはアタシの趣味よぉーん」
岩永先生の身も蓋もない答えが返ってきた。
「だってぇ、一生懸命に歌う麗華ちゃんがあんまり可愛いから、ついイジりたくなっちゃってぇーん。
下の声優フロアのマネージャーに借りてきたのぉ。でも、どうどう? 良い感じにはまってるでしょぉーん」
めっちゃ個人的な理由だった。
まあ、確かに猫耳を着けて、さらに手を猫手にして一生懸命にゃーにゃー歌うセルニアの姿は、めっちゃ可愛いんだけど。
しかも本人、明らかに楽しんでいる。
そんなふうに見ていると、岩永先生が、
「あら、気に入ったぁ? だったらあなたも着けてみないぁーい、これぇ」
「え?」
いきなり岩永のオッサンがそんなことを言い出した。
「うん、きっと似合うわよぉーん。あ、もしネコがあんまり好きじゃないんだったら犬耳とかうさ耳とかも用意できるわよぉ」
「全力で遠慮させていただきます」
「えぇーん、そんな即答しなくてもぉ。残念ねぇ。絶対似合うと思ったんだけどぉ」
それは男として致命的ななにかを失うような気がする。
しかしセルニアが、
「え? 貴方も着けるのですかっ?」
期待の眼差しを向けていた。
俺はその期待の眼差しを見なかったことにした。
「さてと、それじゃボイストレーニングはこれくらいにして、次はエチュードをやってみましょうか」
「エチュード」
セルニアが猫耳を着けたまま首をひねる。
「練習曲ですか?」
「ああ、違うのぉ。確かにピアノとかではそういう意味だけどぉ、こういったレッスンでは演技練習のことを言うのぉ。
まあ、簡単に言うとぉ、お題を与えられてぇ、それに沿って演技を即興劇みたいな物かしらぁーん。分かるぅ?」
「はい、わかりますわ」
「それじゃあ、まずはとにかくやってみましょうか。案ずるよりも三つ子を産むが易しっていうしねぇーん」
そう言うと岩城先生は、箱を持ってきた。
小さなミカン箱くらいの大きさの、何の変哲も無い箱。
「この中にはカードが入ってるのぉ。で、カードには色んなシチュエーションって言うか、色んな状況が書かれている。
そのカードを引いて、でたカードにある指示に従って、その状況をアドリブで演じる感じねぇーん。いい?」
「はい」
「じゃあ、引いてちょうだい」
言われて相変わらず猫耳をつけたままのセルニアは、箱の中からカードを取り出す。
出てきたカードに書かれていたのは、
「どれどれ。うん。
さみしがり屋の女の子が、大きくなりすぎて飼いきれなくなっちゃった、ペットのコモドオオトカゲと、夕日が照らす河原で涙の別れをするしーん。
あら、素敵じゃない」
いやいや、待て待て待て。
素敵とか言う以前に、飼育していた巨大爬虫類の不法投棄だろう。
なんか良い話っぽくまとめてるけど。
俺のそんな内心の突っ込みなどは、セルニアが知るよしもなく、
「分かりましたわ」
と素敵な笑顔で答えた。
そう言えば、セルニアもお嬢さまだし、あの大きな館にはもしかして、見てはならない生き物が飼育されているのだろうか?
「そうよぉ。細かいシチュエーションとかは、その場に応じて自分で設定しちゃっていいから、とにかくやってみてくれるかしら?」
「はい、分かりましたわ」
そしてエチュードが始まった。
「……きょ、今日で、お別れなのですね、パトラッシュ」
棒読みだった。
「わ、わたくし、お別れしたくありませんわ。もっと、あなたと、一緒に居たいですわ」
メチャクチャ棒読みだった。
一生懸命な表情で演技をセルニアなんだが、別にわざと棒読みではなくて、単純に演技をすること自体が初めてらしい。
ピアノとか、その手のコンクールに出場しているから、人前に出ること自体は平気だけど、これは初めての上に、セルニアには演技の才能が無いらしいのだ。
「あなたが、いにゃくなってしまったら……」
途中で噛んだ。
「わたくしは、ど、どうやって、生きていけば良いのか、わからなくて……」
その表情はそれまでのものとは違い、かなり緊張している。
ただ撮られるだけだった写真撮影や、習っていたという発声法に近い、比較的なじみのあったボイストレーニングと比べて、今回は初めての体験の上、自分から能動的にアドリブを入れるというのが、上手くいかないらしい。
周りでは、水原さんと岩永先生も、
「これって、吉祥院さん、人前で演技をするとかは苦手なのかしら」
「うーん、さっきのボイトレを見る限り、センスは基本的に悪くないはずなのに、どうしてこうなっちゃってるのかしら? んんー?」
困ったように、揃って首をひねる。
その視線を受けて、また自分でもぎこちない演技になってしまっていることは分かっているのか、セルニアの表情が焦った物になっていき、ますます棒読みに拍車がかかる。
「えーと、麗華ちゃん。もう少しリラックスって言うか、肩の力を抜いた感じでやってみてくれるかしら?」
「あ、はい」
「緊張とかしなくて良いからねぇ。自然に語りかけるつもりでやればばっちりだから」
「分かりましたわ」
うなずき返して演技を再開する。
だが自然にやることを意識すればするほど、緊張のスパイラルにはまっていくようで……
「わ、わたくし、あなたにゃ、あなたが……その……つまり……」
もはやメタメタ。
これ以上続けてもセルニアのプライドが傷付き、落ち込む一方で、いたたまれない気分になるだけだ。
ここは一度、仕切り直して落ち着かせるべきだと思う。
「あの、すみません」
「なぁに?」
「あの、セルニアも疲れてきたみたいですし、この辺で少し休憩を入れて」
「あ、そうだったわ」
そこに突然、俺の顔を見た水原さんが、パンと手を鳴らした。
「すっかり忘れてた。ねえ、あなた。良かったら一緒にやってみないかしら?」
「え?」
いきなり指名された。
「ほ、ほら吉祥院さんは緊張してるみたいだから、あなたが一緒にやってくれれば少しは落ち着くんじゃないかと思って。どうかしら?」
「それは……」
セルニアの力になれるのは願ってもないことなんだが。
俺はセルニアの方を見ると、レッスン室の中央で俯き、群れからはぐれたペンギンの子供みたいな表情をしていた。
そうだな。
少なくとも、このままセルニア一人で続行させるよりはいいかもしれない。
「わかりました、やります」
「ホント?」
「ええ、もちろん」
「じゃあ、さっそくやりましょう」
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