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78・グレイシー呪術
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「いらっしゃい いらっしゃい。おいしいよー」
「見ていってください。楽しいですよ」
「こちらで一休みいかがッすかー」
みんな客引きをしている。
「学校案内って言っても、今日は学園祭だからな。みんな店をやってる」
「お兄さま、あのロシアンたこ焼きというのに興味があるのですが」
「ロシアンたこ焼き? それはなんじゃらほい?」
俺は店の人に聞く。
「これは八個の内、一つが激辛という物だ。度胸試しにお二人でどうぞ」
湖瑠璃ちゃんはニヤリと笑って、
「お兄さま、勝負を挑みます」
「受けて立とう」
俺達は水がなみなみと入ったコップを用意し、ロシアンたこ焼きをワンパック買った。
「では、わたしから」
「どうぞ」
この緊張感、小学四年生オセロ県大会の決勝以来か。
湖瑠璃ちゃんは一つためらいもせずにパクリと言った。
「もぐもぐ、ごっくん。セーフです」
「次は俺だ」
ためらいを見せてはいけない。
ためらいを見せたとき、それは敗北の味となる。
「パクリ。もぐもぐ、ごっくん。セーフ」
残り六つ。
「いきます。パクリ。もぐもぐ、ごっくん。セーフ」
「行くぞ。パクリ。もぐもぐ、ごっくん。セーフ」
残り四つ。
いよいよ確率が上がってきた。
ギャンブラーの血が騒ぐ。
「行きます。パクリ。もぐもぐ、ゴックン。セーフです。ふふふ……」
「ぬう、あと三つ。確率 三分の一」
落ち着け、俺。
考え抜け。
裏をかくんだ!
「これだ! パクリ。もぐもぐ……ッッッ! グハァアッッ!! 口の中が大炎上!!!」
「勝ちましたわ!」
「み! 水! 水ー!!」
緊張感溢れる湖瑠璃ちゃんとの勝負の次は、オカルト研究会に呼び止められた。
不気味な笑みの、女子部員の占い師が、
「ふふふ……どうですか、そこのお二人。わたしが一つ占ってあげますよ」
「いや、俺、こういうの信じないから」
しかし湖瑠璃ちゃんが俺の袖を引っ張って、
「いいではありませんか。占って貰いましょう」
「まあ、湖瑠璃ちゃんが そう言うなら」
そして占い師は水晶玉に手を掲げ、なにやら怪しげな動きを始めた。
「ふふふ……なかなか面白い占い結果が出ました。
貴方と着物美少女さん。深い繋がりがありますね。これは かなり深い繋がりです。言うなれば、魂の繋がり。恋人同士になれば、素敵なカップルになるかも知れませんよ。ふふふ……」
湖瑠璃ちゃんは まんざらでもなさそうに、
「いやーん。お兄さまと湖瑠璃は そんなに深く繋がっているんですか。でも、お兄さまにはお姉さまが居ますし、これは禁断の愛、不倫になってしまうのでしょうか」
喜ぶ湖瑠璃ちゃんだが、俺はうさんくさいとしか思わなかったり。
その心を見透かしたかのように、占い師はビシィッ、と指差してきた。
「貴方、うさんくさいと思っていますね」
「えー、お兄さま、湖瑠璃と繋がっていて嬉しくないんですか」
「いや、湖瑠璃ちゃん。こういうのは、当たるも八卦、当たらぬも八卦って言うから」
占い師は不気味な笑みで、
「ふふふ……わたしがブラジルで学んだ、グレイシー呪術に間違いはありません。貴方と着物美少女は、深い繋がりがあるのです。ふふふ……」
なんだかなぁ。
次、お化け屋敷。
「お兄さま、お化け屋敷に入りましょう」
「お化け屋敷かぁ。俺、心霊物 苦手なんだけどな」
「クスクス、怖いのですか、お兄さま。なら 度胸を着けるために、なおさら入りましょう。大丈夫ですよ。学園祭のお化け屋敷なんて大したことありません。それに湖瑠璃が付いています」
「わかったよ、湖瑠璃ちゃん」
俺は受付をすると、受付の人は中に向かって声をかける。
「二名 入りまーす。スタンバイしてくださーい」
生きてる人間がお化けをやってるってわかっちゃうなぁ。
こうして俺達はお化け屋敷に入った。
続く……
「見ていってください。楽しいですよ」
「こちらで一休みいかがッすかー」
みんな客引きをしている。
「学校案内って言っても、今日は学園祭だからな。みんな店をやってる」
「お兄さま、あのロシアンたこ焼きというのに興味があるのですが」
「ロシアンたこ焼き? それはなんじゃらほい?」
俺は店の人に聞く。
「これは八個の内、一つが激辛という物だ。度胸試しにお二人でどうぞ」
湖瑠璃ちゃんはニヤリと笑って、
「お兄さま、勝負を挑みます」
「受けて立とう」
俺達は水がなみなみと入ったコップを用意し、ロシアンたこ焼きをワンパック買った。
「では、わたしから」
「どうぞ」
この緊張感、小学四年生オセロ県大会の決勝以来か。
湖瑠璃ちゃんは一つためらいもせずにパクリと言った。
「もぐもぐ、ごっくん。セーフです」
「次は俺だ」
ためらいを見せてはいけない。
ためらいを見せたとき、それは敗北の味となる。
「パクリ。もぐもぐ、ごっくん。セーフ」
残り六つ。
「いきます。パクリ。もぐもぐ、ごっくん。セーフ」
「行くぞ。パクリ。もぐもぐ、ごっくん。セーフ」
残り四つ。
いよいよ確率が上がってきた。
ギャンブラーの血が騒ぐ。
「行きます。パクリ。もぐもぐ、ゴックン。セーフです。ふふふ……」
「ぬう、あと三つ。確率 三分の一」
落ち着け、俺。
考え抜け。
裏をかくんだ!
「これだ! パクリ。もぐもぐ……ッッッ! グハァアッッ!! 口の中が大炎上!!!」
「勝ちましたわ!」
「み! 水! 水ー!!」
緊張感溢れる湖瑠璃ちゃんとの勝負の次は、オカルト研究会に呼び止められた。
不気味な笑みの、女子部員の占い師が、
「ふふふ……どうですか、そこのお二人。わたしが一つ占ってあげますよ」
「いや、俺、こういうの信じないから」
しかし湖瑠璃ちゃんが俺の袖を引っ張って、
「いいではありませんか。占って貰いましょう」
「まあ、湖瑠璃ちゃんが そう言うなら」
そして占い師は水晶玉に手を掲げ、なにやら怪しげな動きを始めた。
「ふふふ……なかなか面白い占い結果が出ました。
貴方と着物美少女さん。深い繋がりがありますね。これは かなり深い繋がりです。言うなれば、魂の繋がり。恋人同士になれば、素敵なカップルになるかも知れませんよ。ふふふ……」
湖瑠璃ちゃんは まんざらでもなさそうに、
「いやーん。お兄さまと湖瑠璃は そんなに深く繋がっているんですか。でも、お兄さまにはお姉さまが居ますし、これは禁断の愛、不倫になってしまうのでしょうか」
喜ぶ湖瑠璃ちゃんだが、俺はうさんくさいとしか思わなかったり。
その心を見透かしたかのように、占い師はビシィッ、と指差してきた。
「貴方、うさんくさいと思っていますね」
「えー、お兄さま、湖瑠璃と繋がっていて嬉しくないんですか」
「いや、湖瑠璃ちゃん。こういうのは、当たるも八卦、当たらぬも八卦って言うから」
占い師は不気味な笑みで、
「ふふふ……わたしがブラジルで学んだ、グレイシー呪術に間違いはありません。貴方と着物美少女は、深い繋がりがあるのです。ふふふ……」
なんだかなぁ。
次、お化け屋敷。
「お兄さま、お化け屋敷に入りましょう」
「お化け屋敷かぁ。俺、心霊物 苦手なんだけどな」
「クスクス、怖いのですか、お兄さま。なら 度胸を着けるために、なおさら入りましょう。大丈夫ですよ。学園祭のお化け屋敷なんて大したことありません。それに湖瑠璃が付いています」
「わかったよ、湖瑠璃ちゃん」
俺は受付をすると、受付の人は中に向かって声をかける。
「二名 入りまーす。スタンバイしてくださーい」
生きてる人間がお化けをやってるってわかっちゃうなぁ。
こうして俺達はお化け屋敷に入った。
続く……
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