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69・開き直りますわ
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日曜日の午後一時。
駅からバスに揺られて十五分。
俺とセルニアは、食器レンタル店に到着した。
店はモダンな感じの、やや大きめの店。
「ここがレンタル店ですわ」
「なんか、良い雰囲気の店だな」
「わたくしの館でも時々利用しますの。お客様が多く見られたときなどに」
さて、俺達は店を見て回る。
「この辺りは良い感じだけど、値段が高いな。それに脆そうだ。学園祭だから、なにかの弾みで壊れるかも知れないことを計算に入れておかないと」
「そうですわね。弁償しなくてはなりませんし。あまり繊細な扱いが必要な物は避けた方が良いのかも知れませんわね」
そして俺達は別の場所に。
「これは値段は手頃だけど、喫茶店向けって感じじゃないな」
「そうですわね。ファーストフード店のホットドリンク用と言った感じでしょうか」
別の場所へ。
「この辺りは良さそうじゃないか。値段も手頃だし、比較的 頑丈そうだし」
「デザインも趣向が凝らしてあって、良い雰囲気ですわ」
「とりあえず、候補としては第一だな」
俺達は品物の検討し終えると、駅へと帰ることにしたのだが、俺はふと思いつく。
「そうだ、セルニア。もし良かったら、どこかの喫茶店に入らないか?」
「え? 喫茶店に入るのですか?」
「うん。学園祭でやる喫茶店の参考にでもしようかと思って。それと、今日はセルニアが案内してくれたお礼に、なにか奢らせて欲しいなと思って」
「え、えっと、そうですわね。それも 良いかもしれません。では、喫茶店に入りましょう」
セルニアの様子が少しおかしいような気がする。
「どうしたの? セルニア。なにか気になることでもあるの?」
「いえ、なんでもありませんわ。それより喫茶店へ行きましょう」
なんだろう?
俺は少し気になったけど、セルニアがなんでもないと言ったので、深く考えずにいた。
そして駅の路地裏にある小さな喫茶店に入ることにした。
秘密の穴場のような雰囲気の店だ。
中に入ると、ドアの小さな鐘がカランカランと鳴る。
「いらっしゃい」
喫茶店のマスターが案内する。
マスターはひげが似合う、細身のダンディーな中年だった。
女性にもてそう。
セルニアは不自然に爽やかな笑みで呟く。
「こうなれば 開き直りますわ」
「なにが?」
「なんでもありませんの。さあ、喫茶店を見てみましょう」
店内はこぢんまりとしているが、落ち着いた良い雰囲気で、ビートルズのインストゥメンタルが流れている。
マスターがファンなのだろうか?
「こういう雰囲気、良いよな」
「ええ、そうですわね。わたくしたちのはコスプレ喫茶ですが、こういう風に王道を押さえておくほうが良いかもしれませんわね」
「そうだな」
マスターの入れてくれたコーヒーも良い味だ。
「みんなでコーヒーの入れ方も勉強しておいた方が良いよな」
「それでしたら、わたくしが役に立てると思いますわ。こう見えてもコーヒー検定の一級資格を持っておりますのよ」
「おお、さすがセルニア」
「それほどでもありませんわ」
こうして俺達は喫茶店を堪能した。
その後も喫茶店を数軒 回ってみることにし、三件目を回ったときだった。
プルルル……
俺の電話が鳴った。
「湖瑠璃ちゃんからだ」
「えっ!?」
セルニアが動揺した声。
「どうしたの?」
「えっと、今は出ない方がよろしいかと思いますの。喫茶店の取材で忙しいですし」
「いや、そんなに忙しくはないと思うんだけど」
「それは そうなのですが……」
「ねえ、セルニア。本当に今日は様子がおかしいよ。なにかあったの?」
「い、いえ、別に何も」
セルニアの目が泳いでいる。
これは、何かあった。
間違いなくなにかあった。
そして湖瑠璃ちゃんの電話は、そのなにかに関係している。
「電話に出る」
「あ、あの、それは……」
セルニアが止めようとしていたが、俺は構わずに電話に出た。
湖瑠璃ちゃんが焦った声で聞いてきた。
「お兄さま! 今 お姉さまと一緒ですか!?」
「一緒だ。でも、セルニアの様子が段々おかしくなってきて、変な感じだ。なにかあったのか?」
「実は、今日お姉さまのピアノの稽古に、フランスから特別講師が招かれたのですが、その予定をすっぽかしたんです」
「特別講師って、それ何時の予定だったの?」
「午後一時からでした」
それ、俺達の予定と完全に一致している。
湖瑠璃ちゃんが続けて、
「お父さまがブラックドックを連れてそちらに向かいました。わたしもお母さまを連れてそちらに向かいますから、それまでなんとか時間稼ぎをしてください」
「時間稼ぎ。今からか。なんとかやってみる」
俺と湖瑠璃ちゃんの話が聞こえていたのだろう、セルニアの顔色は悪い。
「セルニア、どうしてピアノの練習のことを言ってくれなかったんだ?」
「だ、だって、それは、その……」
「とにかく、お父さんがこっちに向かってる。逃げ回って時間を稼ごう」
「は、はい」
「スマフォは持っているか?」
前の時のように、GPSを使われるかも知れない。
「いえ、今日は持ってきていません。以前のこともありましたから」
「よし、逃げよう」
俺達は手を取って走り始めた。
俺たちが駅構内に入ると、さっそく駅前に黒塗りのベンツが無断駐車してきた。
側面に吉祥院家の家紋が描かれている。
そして黒服の男たちが三人降りてきた。
「こっちだ」
俺はセルニアを引っ張って、プラットフォームへ。
ちょうど電車が来ている。
「電車に乗ろう」
そして電車に乗ったと同時に、発車した。
「これで巻いたか?」
しかし後ろの車両が騒然とし始めた。
見ると黒服の男が乗っている。
くそ、あいつらも乗ってきたのか。
たぶんヤの付く職業と間違われている。
とにかく移動して時間を稼がないと。
「セルニア、前に行こう」
満員電車をなんとか前に進む俺達。
後ろから人が驚く声が聞こえてくることから、黒服の男たちも付いてきているのだろう。
しかし満員が幸いして、奴らも上手く進めないようだ。
そして最前列車の一番前に来た。
もう これ以上は進むことは出来ない。
だが、ちょうど駅に到着した。
「降りるぞ」
俺達は駅に降りると、入れ替わりで人が乗車し始めた。
黒服の男たちは人だかりに遮られて動けない。
この隙に できる限り離れよう。
駅を降りれば松陽商店街。
しかし、そこにも黒服の男たちの姿。
黒服の男の一人が俺達を指差した。
見つかった。
くそ、どこかに逃げ道はないか。
「あそこだ!」
俺はセルニアを引っ張って路地裏に入った。
とにかく走る。
どこをどう走ったのか分からない。
気がつけば大通りに出た。
バス停にバスが止まっている。
「アレに乗ろう」
そして俺達はバスに乗った。
黒服の男たちは乗れなかった。
なんとか巻いたか。
続く……
駅からバスに揺られて十五分。
俺とセルニアは、食器レンタル店に到着した。
店はモダンな感じの、やや大きめの店。
「ここがレンタル店ですわ」
「なんか、良い雰囲気の店だな」
「わたくしの館でも時々利用しますの。お客様が多く見られたときなどに」
さて、俺達は店を見て回る。
「この辺りは良い感じだけど、値段が高いな。それに脆そうだ。学園祭だから、なにかの弾みで壊れるかも知れないことを計算に入れておかないと」
「そうですわね。弁償しなくてはなりませんし。あまり繊細な扱いが必要な物は避けた方が良いのかも知れませんわね」
そして俺達は別の場所に。
「これは値段は手頃だけど、喫茶店向けって感じじゃないな」
「そうですわね。ファーストフード店のホットドリンク用と言った感じでしょうか」
別の場所へ。
「この辺りは良さそうじゃないか。値段も手頃だし、比較的 頑丈そうだし」
「デザインも趣向が凝らしてあって、良い雰囲気ですわ」
「とりあえず、候補としては第一だな」
俺達は品物の検討し終えると、駅へと帰ることにしたのだが、俺はふと思いつく。
「そうだ、セルニア。もし良かったら、どこかの喫茶店に入らないか?」
「え? 喫茶店に入るのですか?」
「うん。学園祭でやる喫茶店の参考にでもしようかと思って。それと、今日はセルニアが案内してくれたお礼に、なにか奢らせて欲しいなと思って」
「え、えっと、そうですわね。それも 良いかもしれません。では、喫茶店に入りましょう」
セルニアの様子が少しおかしいような気がする。
「どうしたの? セルニア。なにか気になることでもあるの?」
「いえ、なんでもありませんわ。それより喫茶店へ行きましょう」
なんだろう?
俺は少し気になったけど、セルニアがなんでもないと言ったので、深く考えずにいた。
そして駅の路地裏にある小さな喫茶店に入ることにした。
秘密の穴場のような雰囲気の店だ。
中に入ると、ドアの小さな鐘がカランカランと鳴る。
「いらっしゃい」
喫茶店のマスターが案内する。
マスターはひげが似合う、細身のダンディーな中年だった。
女性にもてそう。
セルニアは不自然に爽やかな笑みで呟く。
「こうなれば 開き直りますわ」
「なにが?」
「なんでもありませんの。さあ、喫茶店を見てみましょう」
店内はこぢんまりとしているが、落ち着いた良い雰囲気で、ビートルズのインストゥメンタルが流れている。
マスターがファンなのだろうか?
「こういう雰囲気、良いよな」
「ええ、そうですわね。わたくしたちのはコスプレ喫茶ですが、こういう風に王道を押さえておくほうが良いかもしれませんわね」
「そうだな」
マスターの入れてくれたコーヒーも良い味だ。
「みんなでコーヒーの入れ方も勉強しておいた方が良いよな」
「それでしたら、わたくしが役に立てると思いますわ。こう見えてもコーヒー検定の一級資格を持っておりますのよ」
「おお、さすがセルニア」
「それほどでもありませんわ」
こうして俺達は喫茶店を堪能した。
その後も喫茶店を数軒 回ってみることにし、三件目を回ったときだった。
プルルル……
俺の電話が鳴った。
「湖瑠璃ちゃんからだ」
「えっ!?」
セルニアが動揺した声。
「どうしたの?」
「えっと、今は出ない方がよろしいかと思いますの。喫茶店の取材で忙しいですし」
「いや、そんなに忙しくはないと思うんだけど」
「それは そうなのですが……」
「ねえ、セルニア。本当に今日は様子がおかしいよ。なにかあったの?」
「い、いえ、別に何も」
セルニアの目が泳いでいる。
これは、何かあった。
間違いなくなにかあった。
そして湖瑠璃ちゃんの電話は、そのなにかに関係している。
「電話に出る」
「あ、あの、それは……」
セルニアが止めようとしていたが、俺は構わずに電話に出た。
湖瑠璃ちゃんが焦った声で聞いてきた。
「お兄さま! 今 お姉さまと一緒ですか!?」
「一緒だ。でも、セルニアの様子が段々おかしくなってきて、変な感じだ。なにかあったのか?」
「実は、今日お姉さまのピアノの稽古に、フランスから特別講師が招かれたのですが、その予定をすっぽかしたんです」
「特別講師って、それ何時の予定だったの?」
「午後一時からでした」
それ、俺達の予定と完全に一致している。
湖瑠璃ちゃんが続けて、
「お父さまがブラックドックを連れてそちらに向かいました。わたしもお母さまを連れてそちらに向かいますから、それまでなんとか時間稼ぎをしてください」
「時間稼ぎ。今からか。なんとかやってみる」
俺と湖瑠璃ちゃんの話が聞こえていたのだろう、セルニアの顔色は悪い。
「セルニア、どうしてピアノの練習のことを言ってくれなかったんだ?」
「だ、だって、それは、その……」
「とにかく、お父さんがこっちに向かってる。逃げ回って時間を稼ごう」
「は、はい」
「スマフォは持っているか?」
前の時のように、GPSを使われるかも知れない。
「いえ、今日は持ってきていません。以前のこともありましたから」
「よし、逃げよう」
俺達は手を取って走り始めた。
俺たちが駅構内に入ると、さっそく駅前に黒塗りのベンツが無断駐車してきた。
側面に吉祥院家の家紋が描かれている。
そして黒服の男たちが三人降りてきた。
「こっちだ」
俺はセルニアを引っ張って、プラットフォームへ。
ちょうど電車が来ている。
「電車に乗ろう」
そして電車に乗ったと同時に、発車した。
「これで巻いたか?」
しかし後ろの車両が騒然とし始めた。
見ると黒服の男が乗っている。
くそ、あいつらも乗ってきたのか。
たぶんヤの付く職業と間違われている。
とにかく移動して時間を稼がないと。
「セルニア、前に行こう」
満員電車をなんとか前に進む俺達。
後ろから人が驚く声が聞こえてくることから、黒服の男たちも付いてきているのだろう。
しかし満員が幸いして、奴らも上手く進めないようだ。
そして最前列車の一番前に来た。
もう これ以上は進むことは出来ない。
だが、ちょうど駅に到着した。
「降りるぞ」
俺達は駅に降りると、入れ替わりで人が乗車し始めた。
黒服の男たちは人だかりに遮られて動けない。
この隙に できる限り離れよう。
駅を降りれば松陽商店街。
しかし、そこにも黒服の男たちの姿。
黒服の男の一人が俺達を指差した。
見つかった。
くそ、どこかに逃げ道はないか。
「あそこだ!」
俺はセルニアを引っ張って路地裏に入った。
とにかく走る。
どこをどう走ったのか分からない。
気がつけば大通りに出た。
バス停にバスが止まっている。
「アレに乗ろう」
そして俺達はバスに乗った。
黒服の男たちは乗れなかった。
なんとか巻いたか。
続く……
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